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テーマ:好きな絵本教えて下さい(711)
カテゴリ:木谷ポルソッタ倶楽部ほか
ソーントン・バージェスの動物童話は気づきに満ちています。
バージェスは、1874年生まれのアメリカ人で幼くして父が亡くなり母一人子一人で苦労して育ちました。 小学校の頃から働き家計を助けてきたのです。 「ビーバーが森にやってきた」の冒頭の歌 Work, work all the day「働け 働け 一日中」にもそんな生き方が反映されているかもしれません。 でも、I have got no time to playではなく、野原や林や沼地が大好きな少年でした。新聞記者となり、大好きな自然や動物などを書いて評判となりました。バージェスは、1905年に結婚し、翌年男の子が生まれましたが、夫人は出産後亡くなりました。 母親を亡くしたわが子に毎晩森の動物や鳥の話をしたのです。 その子が大きくなり、祖母のもとに引き取られると、毎日動物たちの楽しいお話を書いては郵送したのです。 それを聞いた友人からぜひその話をまとめるように言われて「西風かあさんのお話」が出版されたのです。 ですから、これらのお話には親からわが子への人生の訓えが愛情いっぱいにくるまれて語られているのですね。 「のねずみダニーのぼうけん」には弱者が知恵や友情で危機を乗り越える話です。 のねずみダニーは自分の家の入口に座って頬づえをついて憂鬱そうでした。 実はいとこの白足ねずみの尻尾を見ていらい、自分のずんぐりした、小さな尻尾がきになって、白足ねずみのような長い尻尾が欲しくてしようがなかったのです。 誰かがくると自分の尻尾が恥ずかしくてこそこそ隠れ、お日様の下で遊ばなくなり、しかめっつらばかりしていたのです。 ある日、ひきがえるの爺様が「どうしたんだね」って尋ねました。 「なんでもない」とダニーは答えたものの、爺様は親身になってこう言ったのです。 「お日さまは、いつものとおり輝いているなあ、ダニー。 食べるものも、飲み物もいっぱいあるんだろう。 いい服を着ているじゃないか、ダニー。 天気はいいし、食べ物も飲み物もいっぱいあるし、その上いい服を着て、いいことばかりじゃないか。 ダニーや、どうもお前には満足ってことが分かってないようじゃな。」 ダニーはやさしい爺様の言葉に自分の悩みを打ち明けます。 「そんなことだったのか。ハッハッハッ。」と大笑い。 「ところで長い尻尾があったら、どんな得があるのね。言ってごらん。」 「ぼ、ぼくだってもし尻尾が長かったらもっといい格好に見えるよ。」 「ダニーや、お前は長い尻尾ののねずみを見たことがあるかね。 勿論ないだろうな。 そんなのねずみがいたらなんと変な格好じゃろ。 ほっそりとしてハンサムでないと、長い尻尾は似合わんのじゃ。それぐらいは分かるだろ、ダニー。 それに長い尻尾など厄介じゃ。 いつも尻尾ばかりを気にして注意してなくちゃならんからな。 わしを見てごらん。 わしは醜い。見るのも嫌だというヤツもいる。 だがな、お百姓のブラウンさんの息子がきれいな毛皮が欲しくててんのビリーを追いかけるようにわしを捕まえたがるものなんか一人もいやしない。 いい声で鳴くからって、蛙のわしを籠で飼いたがるものもいないよ。 だからわしは今のままで満足さ。 なあ、ダニーやわしの言うことが分かれば、短い尻尾で満足できるだろう。」 ダニーはしばらく考えて答えました。 「そうかもしれないね。 それじゃ短い尻尾で我慢してみるよ。」 きっと子どもが自分の容姿や能力にコンプレックスに悩むのを、バージェスは、蛙の爺様を通してやさしく言い聞かしたのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月28日 22時24分33秒
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