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2006年09月27日
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カテゴリ:宮澤賢治の世界
平成16年6月11日付けの岩手日日ニュースに、斎藤文一氏が9日「宮沢賢治は銀河系に何を見たかー新しい宇宙論を中心に」と題して講演を行ったという記事がのっていた。

 斎藤文一氏は新潟大名誉教授でオーロラ研究の第一人者であるとともに宮沢賢治研究家でもある。

斎藤氏は「宮沢賢治は銀河系に何を見たか」というテーマで「銀河鉄道の夜」で、銀河鉄道がはくちょう座を出発してわし座、いて座、さそり座などを経由しながら南十字座へ至ることを紹介し、
「8月10日の午後8時ごろにイギリス海岸に立って見れば、北上川の流れに天の川銀河系を南下するこの航路が映り、ちょうど灯ろう流しのように見える」と説明した。

 続いて斎藤氏は宇宙創生やその進化について触れ、万物の根本が小さな原子であることを話し

「現在から見れば非常に乏しい情報の中で、賢治は全ての生き物が皆兄弟であるという結論を導き出している。

これは宇宙的にみても正しい考えだ」

と賢治をたたえた。

ちょうどはくちょう座(北十字という)から天の川にそって降りていくとさそり座に至る、

そして真南にはこの天球図にはみえないが、南十字星がある。

銀河鉄道の線路はここにひかれているのだ。

賢治は銀河鉄道の夜の着想をイギリス海岸を散歩しながら、得たのだ。

 あの白鳥ステーションでジョバンニが汽車を降りてプリオシン海岸で化石の「くるみ」を発見したり、大学士が大きな青じろい獣の骨石を発掘している場面がでてくる。

これはイギリス海岸で賢治が体験したことそのものなのだ。


○以前「白線流し」のドラマを聞くともなしに聞いていたら、女性の主人公が「銀河鉄道の夜」の「さそりの火」の話を相手の男にしていた。

思わずテレビにみいった。

そして感動した。

「お父さん斯(こ)う云ったのよ。

 むかしのバルドラの野原に一ぴきの蝎がいて小さな虫やなんか殺してたべて生きていたんですって。するとある日いたちに見つかって食べられそうになったんですって。

 さそりは一生けん命遁(に)げて遁げたけどとうとういたちに押えられそうになったわ、

 そのときいきなり前に井戸があってその中に落ちてしまったわ、もうどうしてもあがられないでさそりは溺れはじめたのよ。

 そのときさそりは斯う云ってお祈りしたというの、

 ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、

そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。

それでもとうとうこんなになってしまった。

 ああなんにもあてにならない。

どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉(く)れてやらなかったろう。

そしたらいたちも一日生きのびたろうに。

 どうか神さま。私の心をごらん下さい。

 こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。

 そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。

いまでも燃えてるってお父さんおっしゃったわ。

ほんとうにあの火それだわ。」

○ああ、さそりの最後の祈りのなんと人の心を打つことか。

「どうか神さま。私の心をごらん下さい。

こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸のために私のからだをおつかい下さい。」






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最終更新日  2006年09月27日 21時03分30秒
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