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2007年09月18日
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「わたしの非暴力1」ガンジー森本達雄訳より

「ヤング・インディア」1931年12月31日号より

(略)

暴力的手段と非暴力的手段について

わたしたちがインドで採っている方法には、欺瞞・虚偽・はかりごとその他一切のみにくい暴力や不真実など入り込む余地は絶対にない。
すべてが包み隠さず公明正大に行われている。
なぜなら真理は隠し立てを嫌うからである。
率直になればなるほど誠実になれる。
真理と非暴力に生活の基礎を置いている人には、敗北とか絶望はない。
非暴力の方法は、どんな形をとるにしても受動的な無気力な方法ではない。
真理と非暴力はこの世界で最も積極的な力であろう。
血なまぐさい武器を振り回し、敵とみなす人々を滅ぼそうとする者は、時には息を入れる必要がある。一日のある部分は実質的には休止の状態にある。
真理と非暴力の信奉者にはその必要はない。真理と非暴力は有形の武器ではないからだ。
それは人間の胸に宿る。
人が目覚めていようと眠っていようと、歩いていようと気ぜわしく走り廻っていようとそれらは積極的に働き続ける。
真理と非暴力の甲冑を身にまとう戦士はいついかなるときでも活動している。


(アインシュタインが戦争に参加しないように人々に呼びかけたことについて聞かれ)

「わたし(ガンジー)の回答はただ一つ。
もしヨーロッパがその方法をとりあげることができれば、それにこしたことはなかろういうことです。
アインシュタイン博士は、どうもその方法をわたしから盗用されたらしい。
けれども、ただ兵役を拒否するだけでは十分ではない。
兵役はもっと根深い病の一つの徴候にすぎません。
兵役に登録していなくても、他の方法で戦争を支持するならばひとしく犯罪に荷担しているのだということに気づいていただきたい。
軍事的に組織された国家を支持するものは、男であれ女であれ、罪に参加しているのです。
税金を支払うことによって国家の維持に荷担している者は、老人であれ若者であれ、みな罪に荷担しているのです。
だから、戦争中わたしは自分に言い聞かせたのです。
自分は兵士でないが、軍隊に援助してもらった食糧を食べている。
それなら軍隊に入って、弾丸で倒れるのが一番いいのだ、さもなければ山中に隠遁して自然に生えているものを食べるべきだと。
兵役拒否は、国家を維持する一切の体制の非協力と比べれば、はるかに表面的なものです。
けれどもその場合、妨害も非常に迅速にかつ効果的になるために、諸君は監獄行きや路頭に迷う危険を冒すことになります」

(ピエール・セレゾンは、興奮して言った。
「私たちは私たちの真理を説き、あなたは普遍的な真理を説いておられます」)

「ネロやムッソリーニに統治された国家でも、長所が皆無とは言えません。・・・
それらは頭にきらきら輝く宝石をつけているが、猛毒の毒をもった昔話の大蛇のようなものです。
ひとたびわれわれが体制に対して非協力で闘う決意をした以上は体制全体を拒否しなければなりません。
こうしてわたしは、インドにおけるイギリスの統治は国民の精神を押しつぶし、その成長を妨げているという結論に達しました。
そこで一切の特権を、役職も、法廷も、肩書きも捨て去る決意をしたのです。
採るべき政策はそれぞれの国において違うでしょうか、犠牲と無私の精神こそが根本的な点です。」

(それならばスイスの人々はどのようにすべきか?)

「いまここでは軍国主義的な精神状態を取り除くには、どうすればよいかが問われています。
諸君は国家のために兵役に服することを条件として、生活上の特権を教授しておられる。
そこでこそ、国家から軍国主義的な精神状態を取り除かねばなりません。」

(それではスイスで組織された国債赤十字社の活動をどう評価するのか)

「わたしは戦争の後で救済するという考えをやめて、戦争のないところで救済することを考えるべきではないかと言いたい。
赤十字社をも含めてさまざまな副産物を生み出してきた戦争などよりも、生活の欲望と境遇の奴隷となった自らの愚かさのために傷ついた幾百万という人々、さらにまたこの地上に家のない幾百万人の人たちがいるのです。
ですから明日の平和団体が行うべき国際的奉仕事業は山ほどあるのです。」

(小国であり中立国のスイスにどうして武装解除を求められるのでしょう?)

「わたしはスイスだけでなくすべての国に語りかけています。
スイスが中立であり、侵略をしない国であることを考えるとなおさらスイスは軍隊を必要としないでしょう。
諸君は世界に武装解除を説き、軍隊がなくてもやっていけるだけの勇気を示すべきです。」

(武装解除をした中立国が、他の国が破壊されるのを見過ごすことができるでしょうか?)

「ある国の軍隊が隣国を蹂躙するのを中立国が見過ごすのは臆病だからです。
もし私がスイスの大統領なら、侵略軍の道をさえぎり、あらゆる供給の道を断つでしょう。
諸君は、男や女や子どもたちの人垣を造り、侵略者達に諸君の屍の上を歩かせてやればいいのです。
そんなことは人間の忍耐を超えた不可能なことだと諸君はおっしゃるかもしれない。
そかし、そうではない、それは本当に可能なことだったのです。
昨年、インドのジャラートで、婦人達が警棒の攻撃に敢然として耐えたし、またペシャワールでも、多くの人々が弾丸の雨を浴びながら、暴力に訴えずに耐え忍びました。
他国への安全道路を要求する軍隊の前に、こうした人々が立ちふさがっていることを想像してみてください。
その軍隊は人々を平気で踏み潰してゆくほど野蛮だと、諸君は言われるかもしれない。
それでもわたしはあえて言うでしょう。
諸君は蹂躙されながら、なおも諸君の義務を果たすことになるのだ。
罪のない人々の屍の上を踏み越してゆくような軍隊は、2度と同じ経験を繰り返すことはできないでしょう。
非暴力は決して弱者の武器なのではなく、この上もなく雄々しい心をもつ人の武器なのです。」










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最終更新日  2007年09月18日 21時43分15秒
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