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2009年03月18日
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  「坂村真民」の詩の紹介(森信三「幻の講話」第二巻より)

○第四講「自分を育てるのは自分」
「  ひとりひそかに  坂村真民
  深海の真珠のように
  ひとり ひそかに
  じぶんを つくってゆこう


 ごらんのように、この詩はごく短い詩ですが、それだけにかえって、読む人の心に深く訴えるものを持っているといえましょう。
 坂村さんは、戦後海外からの引揚者の一人で、四国の片田舎で、極度の食糧難の中で、五人の家族をかかえて、日々を苦しい生活にあえぎつつも、その間自己の天職と考える詩作の道に励まれたのです。
 しかしながら、そのころ詩人としての坂村さんの本質を知る人は、ほとんど無かったといってもよいでしょう。
しかもそうした深い孤独の中にありながら、坂村さんは詩作のあゆみを怠らなかったのです。そしてこの詩は、ある意味ではそうした坂村さんの心境を表現したものといってよく、そのためにこんなに短い三行詩でありながら、よく万人の心を打つことができるのでしょう。」

○「前回、われわれ人間にとって、自分の生き方の探求ほど大事なものはないと申しました。そして、書物以上に大事なのは「師」で、書物に書かれた真理が平面的だとすれば、「師」を通して得られる真理は立体的で、人生のふかい真理は一人の生きた人格において初めて生かされるのです。われわれが真摯に人生の真理を探求しようとしたら、生きた人格として、全力を挙げて真理に生きようとしている「師」について学ばねばならない。
 真に「師」に学ぶということは、単に「師」の言われたり、行われることを模倣することで満足しないで、「自分を育てるものは結局自分以外にはないのだ」という態度を確立しなければならない。」

○鈴木鎮一先生はクリングラーに師事した。そして豊田耕児をエネスコに弟子入りさせた。鈴木先生は「耕児君、エネスコ先生をおたずねして本当によかったね。高い人間性―しかも、芸術によって身も心も洗い清められた人々に接することは、地上で一番大きな幸せです」と手紙を書いた。多くの優れた魂は優れた人格のもとで自分の生き方の探求を行ったのだ。





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最終更新日  2009年03月18日 20時08分02秒
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