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2009年04月25日
テーマ：報徳記＆二宮翁夜話(503)
カテゴリ：報徳記＆二宮翁夜話
「二宮尊徳の相馬仕法」（岩崎敏男著昭和４５年７月発行）１００～１０２ページ
なお仕法掛に宛てた組頭以下連名の提出書類の例は次のようなものである。これは弘化３年南組のものであるが、他も皆同じようなものである。 右は当村方の儀、年来困窮難渋致し居り、余儀なく難村御取直し旧復永安の御仕法歎願し奉り候処、格別の思召を以て、去る巳十二月御発業仰せ出され、御仁恵の趣微細に御教誡成し下し置かれ、孝行人は勿論、かねて本業出精致し心掛よろしく、往々村内の手本にも相成候奇特人、当村南組一同の目鑑を以て、少しも依怙贔屓（えこひいき）なく入札仰せつけられ、高札の者より夫々御褒美として金子並に農具成し下し置かれ、其上一番札の者へ、暮し方御取直し報徳善種金として、無利５ヶ年賦拝借仰せつけられ、当人共の儀は申し上ぐるに及ばず、一同重々有難く勤農罷在り候処、猶又今般去冬の通り、孝養人は勿論、出精奇特人を見立て、少しも依怙贔屓なく入札仕るべき旨、巨細に御教誡下し置かれ、一同畏み奉り、御趣意に基き、村役人は勿論小前末々まで、一人別入札致し差上奉り候処、早速御開封成し下し置かれ、一番札の者へ御褒美金並に農具下し置かれ、其上無利五ヶ年賦金御加え候につき、一番札より夫々次第を以て御褒美成し下し置かれ、当人共は申し上ぐるに及ばず、村方一同重々冥加至極有難き仕合せに存じ奉り候。以上 投票には自覚と責任が伴うわけであり、又選ばれた人には保証人が必要であった。報徳金借用証文の例 一、金十両 右は当村方の儀、去冬中格別の御仁恵を以て、荒地開発借財返済、暮し方取直し旧復の御仕法組立て成し下し置かれ、当村南組一同にて再入札仰せつけられ候処、私儀一番札落札相成り候につき、御褒美金並に農具頂戴、其上金拾両無利息五ヶ年賦拝借仰せつけられ、重々有難き仕合せに存じ奉り候。右金子少しも無益に仕らず、村方入札除の面々に一割利付にて相頼み置き、追々山代並に肥灰代等に仕り度く存じ奉り候。此上御返上納の義、農業一向に相励み、年々十月二十日限り御上納仕るべく、万一当人差支へ候節は入札人引受け、御割合の通り聊かも滞りなく御上納仕るべく候、後日の為証文件の如し 弘化三丙午年三月 拝借人 遠藤東九郎 入札人受 六次郎外十一名（氏名省略） 肝煎 鈴木藤兵衛 御仕法御掛合中様 投票はすべて責任ある記名投票であり、それに直ぐに開票して結果が公にされるので、たとい村の怠け者でも慎重熟慮せざるを得なかったとみえる。無責任の投票をして物笑いの種にされたくなかった。こうして正しい者を選らばなければならないという考えに皆なって、真面目な投票がいつでも行われるようになったのである。俺は大丈夫当選すると自惚れた怠け者が、一票も入らず、妻子の前に頭が上らず、それ以来働くようになったなどの話もある。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2009年04月25日 12時49分43秒
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