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カテゴリ:イマジン
2013.8.5 朝日新聞夕刊 『私の育て方』 丸山明夫 大阪府立淀川工科高 吹奏楽部顧問
合奏練習のさなか、どうしても旋律をしっくり吹けないフルートの生徒が立ち上がり、周りの生徒に「悪かったところを教えてください」と尋ねた。 丸山明夫は指揮の手を止め、じっと待つ。 次々に「トリルがちょっと前のめりかな」「なんかきつい感じ」と率直な声があが り始める。 それでも、空気が悪くなることはない。目的が個人の攻撃ではなく、いい音楽をつくることだということを、生徒ひとりひとりが肌で理解していることからだ。 子どもたちが生き生きしないから、メトロノームに合わせる基礎合奏はさせない。 「己を殺し人に合わせるのはアンサンブルやない。全員が、自分の歌を歌わんと。コンクールも、競い合うもやなく、大勢の人たちの前で、自分たちをのびのびと表現する機会に」との思いがある。 50年に及ぶ指導者人生の最初から、そう達観していたわけではない。 「なんでできへんのや!」 指揮棒が折れるほど譜面台にたたきつけたことも。 威嚇すると、生徒たちは切羽詰まって実力以上の音を出す。 でもそれは心からの「喜びの音」ではなかった。 1979年、夏、高校野球の閉会式でタクトをとるため、甲子園で決勝を眺めていた。 劣勢だった箕島高校(和歌山)の選手がバントに失敗した。 「かわいそうに。監督にどつかれるな」。 しかし尾藤公(ただし)監督は、笑顔で大きく手を広げ、戻ってきた子を迎えていた。 箕島は逆転、優勝旗を手にした。 「未熟なのは子どもやなく、オレの方や」と思い知らされた。 「教師が必死になりすぎると、生徒を管理したくなる。それがいつしか、暴言や体罰の温床になる」 いまは、自分が率先して音楽を楽しむ。生徒を気さくにかまいつつ、時にはほったらかしておく。しかし、相談の電話が来たら、仕事を中断しても必ず「どないした?」 と出る。いつでも、お前らが一番。そのシンプルな思いを伝えることに、精いっぱい心を砕いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年11月23日 02時27分38秒
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