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カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
先生門下を集会し諭して曰く、夫れ日光の土地たるや神君鎭坐の地にして、村々は皆其の祭田なり。実に此の地を再復し此の民を安んずるの策を命じ玉ふこと豈仕法の幸にあらずや。是の故に我が積年丹誠する所の仕法悉く筆記し之を奏せん。此の書一度全備する時は、仮令道行はれずといふとも、仕法の仕法たる所以は万世に及びて腐朽すべからず。孔子一世道を行ふことあたはざるも、其の書永世に朽ちずして道益々明かなり。二三子夫れ之を勉めよと。是に於て前々依頼の諸侯領邑の事を辞し、来客を止め、夜を以て日に継ぎ、僅々たる短文を筆するも尚数日の思慮を尽し、数十度の添刪を加へて然る後可なりとす。実に千辛万苦の力を尽し、肺肝を砕きたること誠心限りなしと謂ふべし。斯の如く研究の労を尽すこと三年にして猶未だ稿を脱せず。門下往往事の後れんことを恐れ、先生に告ぐると雖も、研究の足らざるを憂ひて後れんことを憂へず。時に真岡の県令鈴木某公事に由つて江都に至れり。先生に告げて曰く、早く書を奏す可しと。先生曰く、未だ全備すること能はず。是に於て県令官に聞す。官命じて曰く、全備せずと雖も可也。疾く出だすべしと。先生已むを得ず徹夜寝ずして心力を労し、終に数十巻となして之を官府に奏せり。此の時に当りては初め、命じ玉ふ時の閣老以下已に転勤あり。是の故に又開業の命下らずして徒に歳月を消す。門人其の他に至るまで、実業の行はれざることを歎息せり。時に諸侯の邦内再興の指揮を廃すること既に三年、是を以て小田原領を始めとして往々中廃に至るもの少からず。後仕法依頼の輩日光再復の書に法り、以て都邑を再興せんことを請ふ。先生曰く、官に奏して未だ可否の命を得ず、私に之を伝ふること能はずと。是に於て此の旨を以て官に請ふ。官之を許可す。是に由つて漸々道を行ふことを得たり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年05月29日 03時47分51秒
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