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カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
夫れ国家の政体は多端なるが如しといへども之を要するに取ると施すとの二つに止まれり。此の二つを外にして又何事かあらんや。且盛衰安危も此の二つにあり。存亡禍福も亦然り、然して世上国の盛衰する所以を察せず何を以て其の衰廃を挙げんや。何となれば取ることを先んずれば国衰へ民窮し、怨望起り衰弱極る。甚しきは国家亡滅の大患に至れり。施すことを先んずる時は国盛んに民豊かなり。人民之に帰し上下富饒にして百世を経るといへども国家益々平穏なり。聖人の政は仁沢を施す事を以て先務とし、敢て心を取ることに用ゐず、暗君は取ることを先として施すことを悪む、治平乱暴の由つて起る所皆斯にあらざるものなし。今相馬の政施すを以て先と為すか、取るを以て先と為すか。苟くも取るを以て先とせば千万の労を積み百年の辛苦を尽すと雖も、決して中興再復の期ある可らず。又施すことを以て先務とせば何ぞ国を興すの難きを憂へんや。凡そ天下の生物無量なりといへども、血気あるもの施与の道を厚くして悦服せざるをものあらざる也。豈血気のものゝみ然らんや。 草木といへども之に与ふるに糞培を以てする時は、快然悦服の色顕る。之を残伐する時は彼豈之を快しとせんや。鳥獣虫魚人を惧れて遁るゝものは、我に取らんとするの心あるがゆゑなり。若し夫れ之を愛し之に与ふるに食を以てする時は忽ち悦服す。況んや蒼生に於てをや。義の為に命を軽んじ万苦を厭はざるものは何の為ぞや。君之に与ふるに食を以てするが故也。故に与ふる時は君臣となり、取る時は仇敵となる。独り百姓而已何を以て与へずして服するの理あらん。与ふる時は堯の民となり、取る時は紂の民となる、察せざるべけんや。 然るに世の民を治むるや、貢税を取るを以て先とし、与ふるを以て後とす。先づ与へざれば民其の生を安んぜず。民貧なる時は放僻邪肆至らざる所なし。終に貢税減少し土地荒蕪し上下の大患となる。与ふることを先とする時は、民其の生を楽しみ業を楽しみ土地毎年に開け、生財窮まりなく国の衰廃求むといへども復得べからず。是の故に取与の先後を明らかにして然後に政事を行ふもの政を知るものとなすべし。某廃亡を開き百姓を撫し余沢他邦に及ぶもの、他事あるにあらず。惟与ふることを先務とせんが故なり。子の国衰貧なりといへども、大いに仁沢を施し下民を撫する時は、何ぞ再復せざることあらんや。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年06月12日 02時47分26秒
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