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2016年07月03日
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二宮尊徳全集第21巻p..1136-1144
嘉永三庚戌年十一月
信州佐久郡志賀村
神津半右衛門家株再興子孫永続仕法附中
家株再復土台金繰入之事
一田畑反別四町歩
  此地代金六百両
       但一反歩に付平均拾五両の積り
   是者神津半右衛門、連々借財相嵩、
   五千両余と相成、往々数百年之旧家
   可及退転段、深致歎息、一家再復之
   仕法歎願申出、無余儀家株を減じ、
   大借一時に皆済之道相立、猶又先生
   内意に基き、常州青木村恩報金受取
   次第組入、旧復之為土台、質地受戻
   置、一家再興之仕法組立候事
一田畑反別一町壱反六畝拾五歩 有 中
  此地代金弐百両  但右同断
   是者前段之趣、親類有中、深致感服
   祖先以来之報恩之道相立度、格別之
   心願にて、弐百両之地面、本家再興之
   時節迄差出度旨願出候事
〆反別五町壱反六畝拾五歩
  此作徳※四拾九石壱斗七升八勺
        但反平均九斗五升弐合積
   代金四拾九両永百七拾文八分
        但両石替積り
右者信州佐久郡志賀村神津半右衛門儀、慶長年間より弐百有余年、連綿相続之旧家にて、持高五百石余、世々繁栄罷在候処、追々不仕合打続、殊に世並之弊風に流れ、不知不知暮し方分度を失ひ、意外之借財出来、元利五千七拾両余と相嵩、年々利払も不行届、此侭に相流候はゞ、次第に元利致増倍、往々祖先以来之家株退転之場に可至と、種々心労を尽し、当春以来一家再興之仕法、伝手を以二宮先生へ、歎願申出候得共、先生野常極難村々荒地開発、窮民撫育、村柄旧復之御良法御開業之折柄、御寸暇無之、衰弊御興復之大業、厚御頼被仰入、夫々御世話被申上候処、是又此時節御取始末等一時に相嵩、夫是御手も不被届砌に付、近隣は勿論、遠国よりも、日々御仕法歎願申来候得共、新規歎願向、大小となく一切御取敢無之候得ば、半右衛門方仕法立之儀も、同断堅御断相成候処、押て歎願申立、先生には迚も、前段之御時節柄、御世話不出来候共、門下之面々にて、如何様共仕法付致呉候様、数度之歎願、何分難黙止、無拠種々一家再復之実業申諭、猶、舎中限り取調可遣哉之段、内々先生へ申述候処、尤に御承知有之、内意之趣は、小田原駿相御領分村々、衰貧立直之仕法、先代加賀守殿より厚被命、多年取行来候処、蒙御召出候以来、御用繁旁世話不行届、相流候に付、一先づ御畳置に相成、前々繰入置候仕法金五千百両余、返金有之候得共、以前之身分とも違ひ、致受用方如何取計可然哉之段、其筋へ相伺候処、素より相対之儀、勝手次第可取計旨被仰渡、伺済相成居候間、此度半右衛門田畑其外共売払、借財致皆済候金高に向合候に付、繰入遣候ても可然哉之処、異船渡来之節、小田原表海防之用度に被相用候趣にて、于今用不致、且川副勝三郎殿知行所、常州真壁郡青木村、桜川用水堰極難場にて、度々押流し、荒地多分に出来、戸数次第に相減、衰貧極り深致歎息、去る天保二卯年より、一村再復之高堰致普請、荒地起返し、窮民撫育、入百姓新家作、夫食種穀、肥代に至迄差送り、世話致し遣り、一村致成就候間、前々繰入置候金子被致恩報旨、去る申年微細に書取、別紙之通、勝三郎殿より、其筋へ被相伺候処、伺済之趣を以、度々申来候得共、当時御料所向村々取直方之儀は、夫々御下ケ金も被下置候得は、右返金申酉戌三ケ年分、未だ遣道も見当り不申、受取方も無之、于今其侭相流居候処、空敷束置候儀も不本意に付、先づ遣道見当候迄、受取次第繰入遣道候はゞ、其内には半右衛門旧復之道も相立可申、青木村之儀も難場之高堰、一時之洪水変化も難計、上国之信州志賀村へ繰入置候はゞ、後年及大破候節、又々再復致遣し可申、左候へば両全之道に候間、右之趣を以、仕法組立遣候方可然哉之段、先生御内意有之候に付、仕法組立遣方可然哉之段、先生御内意有之候に付、持高之内田畑、家財、酒造蔵等借財方へ差向、大借皆済之道、別帳之通組立、右青木村恩報金六百両を種として、家株再興之仕法附取調候処、親類有中深致感動、祖先以来本家高恩を顧み、難渋之中より、代金弐百両之田畑、本家旧復之時迄、差出度旨申出候間任其意、都合八百両を以、質地受戻、今般借財皆済之為、売払候田畑家財、其外共不残致旧復候様、左に中勘組立申候





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最終更新日  2016年07月03日 01時14分15秒



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