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カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
巻之八【一】眞岡県令某の属吏となる4 先生退き歎じて曰く、事斯に至るもの何ぞ可否を論ぜんや。道も亦斯に止れり。令初め我に命ずるに開田新田の事を以てす。我答へて曰く、土地の事官古来の定則ありと聞けり。猥りに手を下さば後日の憂ひあらんか。夫れ之を慮れ。令曰く、我江都に於て既に此の事を聞し、委任の命あり、子の事を挙ぐるもの則ち予がせしむる所なり。若し異論あらば我が一身に任ぜん。憂ふることあるべからず。子唯力を尽し事を成就せよ我之を頼むなりと。是の故に已むことを得ずして数月の間辛苦を尽し自財を散じ、衆役夫の力を労し許多の開田を為せり。是れ上下の為にあらずや。然るに下吏の言に驚き之を諭すことあたはず、又自ら任ずることあたはず、忽然として昔日の誓言を変じ自ら此の事を知らずとし、我一己の意を以て開田せしと列坐の中に於て叱す。自ら其の心を欺き、漠然として耻づる色なし。豈是れ人情の為し得べき所ならんや。我れ元より善は人に推し、他の過失は我に帰するを以て本意とせり。若し此の如き言を以て外人に当る時は、立処に其の身の進退を失はん。此の人と共に大道を行ふことのあたはざるは、此の一事を以て知るべし。然れども今我一身を退く時は、従来諸方の人民衰弊再復の道を求め、其の事未だ半ならず。安危の帰する所只我一人を望めり。故に我退かば道も亦廃せん。道廃する時は幾万の人民途を失ひ安堵の期あるべからず。我何ぞ之を棄つるに忍びんや。是我が道の行はれざることを以て、此の輩と共に愚を守り、歳月を送る所以なりと慨然として痛歎の色あり。従者皆悵然として愁悶に堪へず。先生の度量蒼海の量る可からざるが如きを感歎せり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年08月21日 22時47分57秒
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