全て
| 報徳記&二宮翁夜話
| 二宮尊徳先生故地&観音巡礼
| イマジン
| ネイチャー
| マザー・テレサとマハトマ・ガンジーの世界
| 宮澤賢治の世界
| 五日市剛・今野華都子さんの世界
| 和歌・俳句&道歌選
| パワーか、フォースか
| 木谷ポルソッタ倶楽部ほか
| 尊徳先生の世界
| 鈴木藤三郎
| 井口丑二
| クロムウェル カーライル著&天路歴程
| 広井勇&八田與一
| イギリス史、ニューイングランド史
| 遠州の報徳運動
| 日本社会の病巣
| 世界人類に真正の文明の実現せんことを
| 三國隆志先生の世界
| 満州棄民・シベリア抑留
| 技師鳥居信平著述集
| 資料で読む 技師鳥居信平著述集
| 徳島県技師鳥居信平
| ドラッカー
| 結跏趺坐
| 鎌倉殿の13人
| ウクライナ
| 徳川家康
カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
二宮先生語録巻の二 【104】
【一〇四】禽獣唯貪を知て譲を知らざれば、是を以て一日も安んずるを得ざるなり。鴻荒の世、人類も亦然り。神聖推譲を以て人道を立て、兆民以て安んず。嗚呼、人類の禽獣に異なる所以の者、貪と譲とのみ。若し夫れ貪惏(貪る)饜く無き者、衣服を得れば則ち酒食を求め、酒食を得れば則ち声色(音楽や色欲)を求む。声色を得れば則ち不老不死を求む。田禄十石を得れば則ち百石を求め、百石を得れば則ち千石を求む。千石を得れば則ち万石を求む。苟くも貪惏底止する所無くして推譲の道を知らざれば、則ち何を以て禽獣と別んや。 1『報徳秘稿』六三二「夫れ天地の間に体を現わし生々するもの、有情の鳥獣・虫魚は論なし、無情の草木に至るまで終日終夜食を求め、相共に相奪うて止まず。父子兄弟といえども譲ることなし。蛇の蛙における、猫の鼠における、甚だ悪(にく)むべきが如し。然りといえども是天性の自然かくの如くせざれば、性を全うする事能わざるが故也。人倫といえども、芒々たる太古、神聖未だ出たまわず、人道未だ立たざるの前、何ぞ是に異ならんや。天照大神天降らせたまい、己を推して人に譲り、相助けて相養うの道を立たせたまいてより、鍬を作って耕し、鎌を作って刈り取り、宮室を作って風雨雪霜を支え、衣類を製して寒暑を凌ぎ、鍋釜を作って火食し、府庫を作って蓄積をなし、夫れよりして相続き、代々の神聖出させたまい、万事万物備えざる事なき事、かくの如くして今日に至る。実に極楽浄土と云うべし。是、只一の譲より致し来るなり。然るに禽獣の道太古より数千万歳相続きて絶えず。然りと雖も今日に至りて明日の為に食を蓄うることだも能わず。是何ぞなれば、譲の一字を知らざればなり。故に父子ありといえども父子の道なく、夫婦ありといえども夫婦の道なく、兄弟ありといえども兄弟の道なく、朋友ありといえども朋友の道なし。又君臣の道なし。故に疾病・老幼相助けず、常に力を以て相凌ぎ、病ある者は病んで死し、老うものは老いて窮し、強者は常に伸び、弱きものは常に屈す。是を人倫に見ば誰か能く忍ばんや。皆奪を知て譲をしらず、相生養するの道なければ也。夫れ人は是と異なり、太神以来譲道立ち、今日は明日の為に譲り、今月は来月の為に譲り、今年は来年の為に譲り、前代は後代の為に譲り、後世は又後世の為に譲り、世界相続を為す。譬ば昨年の米穀を食して来年の米穀を作るが如く、受けては譲り受けては譲り、以て人道立つ。かくの如く譲を以て相続する世界に生じ、譲を以て立つる人道に交わり、前聖の恩沢に浴して衣食住を豊かにし、妻子を私し、而して譲を知らぬもの、何ぞ禽獣と分たん。所謂国賊なる者か。故に予常に曰く、人にして譲を知らぬものは、家を出て穴居すべし。衣服を捨てはだかに居るべし。火食すべからず。五穀を食すべからず。道を行くべからず。橋を渡るべからず。凡そ人道作為のもの皆用いるべからずと。如何となれば、人道元譲に開け譲に成り、世々代々譲り譲りて、以下かくの如くなれば也。若し前世は後世の為にせず、後世は末世の為にせず、父兄子弟を育てず、才や不才を養わず、能は不能を憐れまず、富は貧を恵まず、知者は愚者を教えず、貴は賤者を撫でずば、人道此れに絶せん。東照神君曰く、天恩を受けて地に施せ、親恩を受けて子に施せ、仏恩を受けて僧に施せと。能々此の理を明弁して天道生々・人道相養うの徳を報ずべし。按ずるに貝原翁曰く、本邦の俗、政事を以て仕置と云う。前代の初聖、後世の為に仕置き、当代の人、又未来世の為に仕置くを云うなるべしと。思い合わすべし。」 《訳》鳥獣はただ貪ることを知って譲ることを知らないために一日も安んずることができない。太古の世、人類もそうであった。神聖が推譲により人道を立て、万民を安んじた。ああ、人類が鳥獣と異なるのは貪と譲とのみにある。もしあくなく貪る者は衣服を得れば酒食を求め、酒食が得られると声色(音楽と色欲)を求める。声色が得られると不老不死を求める。田を十石所有すれば百石を求め、百石を得れば千石を求める。千石を得れば万石を求める。貪欲が止まる所が無く、推譲の道を知らなければ、何によって鳥獣と分かつことができようか。 *写真は、5月27日ウォーキングでみかけた放し飼いの鶏たち お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年05月28日 02時28分54秒
|