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2019年11月30日
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カテゴリ:鈴木藤三郎
「日本近代産業の指導者と報徳」by村松敬司(「尊徳開顕」より)

安田善次郎(1838-1921)

 一介の商人から身を起し、一代にして巨富を積み、かつ金融大財閥を築きあげた。
無学歴、無資本にもかかわらず、至誠、勤労、分度、推譲を身をもって実践し、遂に大成したのである。少年時代より、尊徳に似て好学心が強く、野良仕事に出る時も懐に書物をしまい持ち、暇さえあれば読書し、夜は蒲団の中で天井に向かって字を指で書き覚え、また尊徳のごとく独力をもって家を興さんと決意して奮闘した。
彼は次のごとく述べている。

「真心をもって事に当る。たとえ他人の事であれ、自分の利害を見るごとくする精神である。」

「言によらず行ないをもってした。世には口の人、筆の人もあるが、私は口や筆の力よりも行ないの力の強いことを信じたからもっぱら行ないをもって身を処し、かつ部下を率いてきた。よし生涯華やかなことは少ないにせよ、行ないの力ほど大きな結果をもたらすものはない。これは私の事業上、処世上根本の法則として、今まで一貫してきている。」

「虚飾を避けて実益を収むること。」

「私の資産を作った一大原因は『分限を守る』という決心を堅く実行したのである。・・・
私はそのむかし鰹節屋をはじめた時から、我が生活は収入の10分の8と決め、いかなることがあってもこの規則を越えたことがない。」

「二宮尊徳翁の教えにも分限論はよほど懇切に説いてある。翁の説は10分の5をもって生活し、その余を蓄えよとしてある。10分の5では少し無理があるように思われるが、とにかく分限の必要は申すまでもないのである。貧しきは分限を守るが、富むとそれを乱しやすい。それではとうてい産を保つことはできないのである。」



明治41年12月(京都報徳講演会)

実業と報徳
    衆議院議員 鈴木藤三郎君述 より抜粋


諸君、報徳の道は至誠、勤労、分度、推譲というので、最も推譲をもって要となし、いかなる身分の人でも、日々夜々生涯一日も欠かずに推譲を致さねばならぬ。こういうことになっております。

二宮先生の推譲ということは、普通の譲に一歩を進めて推して譲る。すなわち催促のないことをこの方から致す。それが推して譲るという意味になっておるようであります。

この報徳の教えを専らに致しますれば、他(ひと)を益し、しかして自分を益するのであります。

これを農業にたとえますると、一番手短かで分かりやすい。それで二宮先生も農業の例を引かれて教えを立てられております。お百姓が田圃を耕うんして得る所の物を得んとするには、どう致しますか。ナスがなったら肥料をせよという農民ではナスは実らない。その実らぬナスに肥料をすれば嫌でも応でもナスは実る

本来人生社会に推譲くらい自他の利益なものはないと申してよろしい。

それで、至誠を以て本と為し、勤労を以て主と為し、分度を以て体と為し、推譲を以て要と為す。これを報徳の四綱領という。

その内で至誠と勤労、これは申すまでもなく、誠を以て勤労をしなければ人道の根源が立ちませぬから大切の事でありますが、また分度推譲は最も要義であります。

推譲を永く行っておりますれば、自他を益して富者は永く富を保ち、又貧者にして永く推譲を行っておりますれば富を致しまして、社会に貧者はなくなってしまうのでございます。

いかなる人でもこの推譲が出来るということは、すなわち分度によって出来るのである。人おのおのその天分によって度を立て、貧者は貧の天分によって度を立て、その分度外を推譲して往けば、年々歳々絶えず永続的に実行することが出来ますけれども、分度を立てなければ出来ませぬ。それで分度論ということを報徳会の先輩が著述したことがあります。

人はその収入の半ばを以て活計を立て、その半分を分外として、その半分を又二つに分かって四分の一を他用として慈善等に向かって推し譲り、それからその四分の一を家の為に貯蓄する。

己の取る事業の繁盛を願うならば、報徳の分度推譲を実業に行う、これが一番確かに発展の出来る道と存じます。農工商いずれをやるにも一人では出来ませぬ。いかなる事業でも上下相和し貧富相和して一つの仕事をしなければならぬ。それで二宮先生の教えにも、天地相和して万物を生じ、男女相和して子孫を生じ、貧富相和して財宝を生ずと言われてございます。すなわち万物を生ずるも相和するにあり。子孫を生ずるも相和するにあり。又財宝を生ずるも相和するにあって、相和するということは一番肝要である。その相和するということは何によって相和するかと言えば、すなわち推譲にあります。推譲なかりせば直に争論を起しまするが、互いに相推譲あれば相和して往きます。それから推譲を為すには是非とも分度を立てなければ常に行う事が出来ませぬ。又二宮先生の教えに事業に対して推譲を行えば、こういう結果を為すということが歴然と教えてあります。

先師曰く『荒地を拓くには荒地の力を以てす』と。

荒地を開拓するに、その初め一段開墾をするだけの費用は資本金として是非必要でございます。その資本金は一円で出来ますか五円で出来ますか存じませぬが、それだけの資本を以て初年に一段の地を開く。それから取り得た米を仮に一石と致します。ここに分度を立てますると、その半ばすなわち五斗を以て明年の食料とし、五斗以上は食わぬという分度を立てます。しかしてその残る所は分外の物とし、それを明年の経費とし、残り一石を推譲してその翌々年の開墾費に充てます。そういうことにして段々積算して往きますると、60年にして24億443万4751町余の田が開ける。かくのごとくただ一人が分度推譲すればほとんど世界一の田地を一人でもつことになります。これは決して漠然たる議論ではございませぬ。数字のことでございますから誰がやって見てもこういう数字が現れて来る。分度を立て推譲をするということは実にかくのごとく有利なものでございます。これは開墾ということでございまするが、この道理を商工業に応用致しまするならば、たとえ微力なる身分の商人でも一代に大きな商人になることは雑作もない。又どんな小さな職人でも一代に大きな工業家になること、やはり雑作もなく出来べきことで、えらい人傑でなければ出来ぬということではない。

難い事を平々凡々な人でも出来るように二宮先生が工夫発明して置かれたのでございます。

具体的に商業で申しますれば、何商を問わず商業の方法が、年々得る所の利益をただ訳もなく経費に使ってしまいますれば、何十年経ちましても漸く元通りを維持するに過ぎませぬ。然るにこれに分度を立てます。分度を立てて然うして分度外の財を以て我が商業の為に推譲する。客の方でまけろと言わぬでもこのほうから進んで推譲を致す。かくのごとくにして年々歳々推譲を致しますれば、その商売は年一年に栄えて来ます。それに従って推譲が厚く出来ます。こうすると願わず求めずして商業が盛んになるのは申すまでもありませぬ。然うして推譲は人を益することが前(さき)になってしこうして後に己が得るということでありますから、分度を立て推譲をして為す富ならば、何ほど富ても人道において差支えはありませぬ。かように天下の人が分度を立てて推譲をすれば貧乏人はなくなります。

無資産でただ体を以て生活している人はいかがかと。これにも分度推譲が出来ます。しかし無資産の者は収入の分度とか金銭で推譲することは出来ませぬが又別に仕方があります。人に使われる人は日に幾らとか月に幾らとかいうものを得まして、朝何時に出て夕何時に帰るという約束をする。使われるのはすなわち天分で、勤める時間を約束したのは度でございます。それで推譲はどうするかというに、普通約束だけの仕事をしていただけでは推譲になりませぬ。それを勤務時間中に一生懸命余分に勤勉をする。それだけが推譲になります。この推譲を明けても暮れてもやったならば、いかなる人でも前の位置にいることはありませぬ。否が応でもその人は上へ昇って往きます。すなわちその人は昇進栄達を致して往くのでございますから、天下何人も行えば自他の利益であります。かくのごとく至誠、勤労、分度、推譲は実に偉大なる功徳をもっております。

すべての人が分度推譲を怠りなくやりさえすれば、60年に24億余町歩を開墾することが出来るという訳でありますから、すべての方面にいる人々がこれを実行したならば、我が国が今日20何億の借財があるといって心配するに及びませぬ。

一番必要なものは衣食住で、これが豊満でなければ何事も充分には出来ませぬ。それを円満にさせるのが報徳の道である。
至誠、勤労、分度、推譲を各方面の人々がやりますれば、何程の財貨も湧くがごとくに確かに数字で現わして往けます。
でありますから天下万人が報徳の道をやれば何百年を期して、金銭財貨は水のごとくになって、

そうすると人間に真誠に心が出て来て、金銭より水の方が貴いということになる。もしもこの水が10日なかったらどうなります。人は皆死んでしまいましょう。これほど貴い水を与えても恩とせず受けても徳と言わぬのはどういう訳か。それはどこを掘っても湧いて来るからである。金銭財貨もこれと同じで、これが国家社会に沢山あったら水より以下であります。これを要するに社会を円満に発達させるには天下の富を造る、天下の富を造るには、報徳の趣旨に基いて、至誠、勤労、分度、推譲を上下通じて日々夜々実行するということが本と考えます。





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最終更新日  2019年11月30日 21時15分09秒



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