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2020年11月03日
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農業食料工学会から「台湾の機械耕作概観」の転載許可をいただいた。

「千里の道を行っても右足一歩、左足一歩、右足左足と増減のないことをもって自在とすることは天地の間皆そうです。」(*)

*『二宮尊徳全集』第3巻日記p.408-409に、天保七年(一八三六)六月十六日、小田原藩の横沢時蔵にあてた手紙は、二宮金次郎が天保の凶作を予知していた話を証明する手紙である。

 お手紙拝見しました。仰せのように今年の時候は雨天・冷気勝ちで、諸作物の稔りのほどもおぼつかないことをお心にかけられ、飛脚をもってお尋ねくだされ、ご深意のほど、陣屋に詰めている者はもちろん、ご領内の領民が重々有難いしあわせに存じます。早くこちらから村役人をもって作柄の良否を申し上げるところ、少々延引しました訳は、豊田氏も先月十四、五日までは必ず帰村するべきてはずを定めて出立し、そのほか辻村の源左衛門も去年二十六日出立し、今月五、六日頃までには必ず帰村するべきつもりで出立しましたので、この両便で御地のご様子を承知した上で委細申し上げる心組みで一日一日と日遅れになりました。仕方なく昨十四日に知行所の村役人一同に申し付けて当陣屋内残らず出払って、田畑を検査し、確固とした作柄の模様を申し上げるようにと出張しました。帰宅したところへ飛脚が到着しました。天道自然と申しますか符節を合わせたようです。
 もっとも当年の時候遺作の模様は、昨年出張された時に詳しくお話し申し上げていたところですから、今更驚くようなことではありません。しかし、御議論も申し上げておいた旧冬の儀は、秋からまず日照りの模様、その上数度の地震、その上暖気と、陽が三つ重なったので、いずれ今年の夏は雨天・冷夏と陰が重なることは天地自然、これを承知して明白にご覧に入れたいと、いろいろ申し上げ、一円図をもって申し上げておいたところです。何も今になって変だと申すことではありません。年がらはもちろん、人の身の上、禍福吉凶、財産の盛衰、万事一々、陰陽がためらって合体せず、陰々と重なる時も陽々と重なる時も亡びる。天地が万年を経ても寒さ暑さが増減のないことを天地静謐と喜び、また百千万日を経ても昼夜は増減なく、千里の道を行っても右足一歩、左足一歩、右足左足と増減のないことをもって自在とすることは天地の間皆そうです。昨年、図をもって申し上げたように、前年の陽々と重なった次は、陰々と重なるのは、全く天地自然、なにぶん人の力の及ばないところです。
 まず当知行所(桜町陣屋内の領地)は、ヒエも蒔きつけ、米も別紙の俵数がございますから、これ以上の取り計らいは必要ありません。村内の結束が第一と考えています。そのほかは金子を繰り合わせ西ノ久保様(領主宇津氏)の差支えにならないよう取り計らいたいと存じております。どうか格別のご賢慮をもって、村内の結束、西ノ久保様のおしのぎなさるような良い方法を幾重にもお考えください。今年の作物は大豆少々よろしく、その次は小豆、芋なども少しよいように見えます。不作のものは綿、その外にごま・おかぼ・あわなどは追々赤くなり、根に虫がついた様子と人々は申しております。稲作もところどころ寄せ水の末、水上の土地、干鰯(ほしか)と肥料をたくさん施し、その上早く植えた場所はかなり実るようです。その外、日陰の土地、水窪、野地、谷田の類は植え付けたままで、また植え付けた時よりかえって赤い葉ができ、根が減じたものもあり、これから天気が良くなっても、ようやく天保四年くらいの実りになれば、まず大喜びと推察します。それとても今日までの模様ではなかなかそこまでも及ぶことは難しいと心配しております。しかし、どのように不作であっても、ご知行所(桜町領)につきましては、近郷近村よりはまずはしのぎやすいと思います。この段ご安心下さい。そのほかは天気が回復することを祈り、ご良策をご考案の上お示しくださるようお願いします。何にしましても、村役人が帰村の時、ご仁恵のほどお願い申し上げます。以上。





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最終更新日  2020年11月03日 03時55分40秒



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