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カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
5月28日のブラタモリは八王子で、「お題」は「八王子はどうしてでかくなったのか?」だった。
大久保長安が八王子発展の基礎となる元街をつくった。 長安は武田信玄の部下で、のちに家康の配下となり、鉱山の奉行としても活躍した。 八王子の街づくりについても信玄堤といわれる 切れた堤防と川除地をセットにして、川沿いに何基も設け、氾濫する水の勢いを抑止したという説明に、以前読んだ二宮翁夜話の雁がねつつみの機能がよく理解できた。 ・通常の河川の堤防はずっと連続して続いています。切れているところがあれば、そこから水が流れ出してしまう恐れがありますから、切れ目なく堤防を作るのが現在のやり方です。ところが信玄堤は、「霞堤」と呼ばれる不連続な構造を持つ堤防になっています。 ・霞堤は、イラストが示すように、間が開いている、変わった堤防です。完全な遮断を敢えてしないのです。大雨で川が氾濫すると、増量した水をわざと越流させ、霞堤間に導いて、滞留させます。そうすることで、洪水のエネルギーをパワーダウンさせるのです。霞堤はエネルギーを喪失した洪水流を速やかに本流に戻すという機能を担っています。平地部には霞堤を2重3重に築き、氾濫したとしても、その水を釜無川に戻しやすくしたのでした。 がっちりと切れ目なく築くほうが強固な対策に見えるかも知れませんが、この場合、いったん決壊してしまうと、あっという間にすさまじい氾濫と洪水が起きてしまいます。一見、脆そうに見える霞堤のほうが、いざというときの被害が少なくてすむのです。洪水を完ぺきに封じ込めることを目指すのではなく、洪水が起こることを前提に、流域全体の力を使って、水の流れを制御しているこのしくみは、「しなやかに強い」レジリエンスの好例ではないかと思います。(過去に学ぶ~甲府盆地の治水システム) 町田亘「最近、富士川で雁(かりがね)堤(つつみ)というものを築いています。これがその方法でしょう」 尊徳「事実なら、よく水を治める方法を心得たものである」 「二宮翁夜話」(底本は、「報徳要典」昭和9年1月1日発行) 二宮翁夜話巻之2 【54】尊徳先生はおっしゃった。 「太閤秀吉の陣法に、敵をもって敵を防ぎ、敵をもって敵を打つという計略があるという。実に良策である。水防にも、水をもって水を防ぐという方法がある、知っていなくてはならない。門人の町田亘(わたり)が言った。 「最近、富士川で雁(かりがね)堤(つつみ)というものを築いています。これがその方法でしょう。」 尊徳先生はおっしゃった。 「事実なら、よく水を治める方法を心得たものである。私の仕法もまた同じだ。荒地は荒地の力をもって開き、借金は借金の費用をもって返済し、金を積むには金に積ませる。教えもまた同じだ。仏教で、この世はわずかの仮の宿であり、来世こそが大事であると教える。これもまた、欲をもって欲を制するのである。死んだあとの世の事は、眼に見えないのだから、皆想像の説である。しかし、草をもって見る時は、おおよそ見える。今ここに草が一本あるとしよう。この草に向って法を説くに、『お前は現在、草と生れ露を吸い肥しを吸って喜んでいても、これは皆迷いというものだ。この世は、春風に催され生れ出たもので、実に仮の宿である。明日の朝にも、秋風が吹き立つならば、花も散り、葉も枯れ、風雨の艱難を凌いで生長しても、皆無益である。この秋風を、無常の風という。恐るべきではないか。早く、この世は仮の宿である事を悟って、一日も早く実を結んで種となり、火にも焼けない蔵の中に入って、安心しなさい。この世でこやしを吸い、露を吸い、葉を出し花を開くのは皆迷いである。早く種となって、草の世を捨てよ、種となれば、行くところに無量のいろいろな楽しみがある』と説くようなものだ。 これは欲の制しがたいことを知つて、これを制するのに欲をもって善を勧め悪を懲らしめる教えとしたのである。それなのに末世の僧侶達が、この教えで米や金を集める手段とする。悲しいことではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年05月30日 02時34分46秒
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