カテゴリ:ベストセラー・ビジネス書
先週の3連休に「ベストセラー考」を書かせていただいたわけですが、出版界をはじめ非常に反響があったので再びチャレンジしてみたいと思います。
ただ、よくよく考えると、私は大ベストセラーといえるものは『さおだけ屋~』しか出していないので、私の持論をこれ以上お話しするのもおこがましいかな、と。 ですので、今回からは実際にベストセラーになった本から学び取っていこうと思います。 だって、私なんかの話を聞くより、実際にベストセラーになった本を分析したほうが100倍得るものがあると思いますからね。 そこで今回は「細野真宏研究」と題して、ミリオンセラー『経済のニュースがよくわかる本』、最新刊『世界一わかりやすい株の本』もベストセラーになっている細野真宏先生の“ベストセラー力”を分析してみたいと思います。 1. 細野先生の本というと、かわいい“イラスト”や適度にまとめられた“Point”に目が行きがちですが、ベストセラーの本質はそこではないと思っています。 真のポイントは、その“紙面デザイン力”にあると思うのです。 「紙面デザイン力……?」 と思われる方も多いでしょう。 それもそのはず、この言葉はさっき私が自分で名付けたからです(^^; “紙面デザイン力”とは、その名のとおり、紙面をどうデザインするかという能力です。 「うちの本だって、行数や字の大きさにはこだわって作っているぞ」 「太字や赤字も多用しているぞ」 という方もいると思われますが、私が言う“紙面デザイン力”は文に限らず紙面全体を指しています。 そして、“紙面デザイン力”で一番大事なのは『余白をどう作るか』という能力です。 2. 細野先生の本では、余白が実にうまく取り入れられています。 たとえば、『世界一わかりやすい株の本』でも、「2・3行書いたら1行空ける」「左端は空ける」「イラストもベタ塗りにしない」と、余白を作るための仕事が実に細かいです。 とにかく余白があると、 (1)読みやすい (2)パっと見た感じやさしい感じがする (3)目線の誘導がスムーズにいく といった効果が得られます。 なのに、ムック本でも余白をうまく使っている本は少ないです。 私もムック本を作った際に 「文字数は決まってますから、余白は作らないでくださいね」 と言われました。 「別に数行ぐらい空いていてもいいじゃないですか」 と私が言うと、 「空いていると気になりますから」 というお返事が(;_;) 普段から本をたくさん読む人なら、他の本と違った感じがするので気になるかもしれませんが、あまり本を読まない普通の人はそんなに気にならないと思うんですけど……。 3. だいたい作り手には“余白恐怖症”の人が多いですよね。 「余白があるくらいなら、たくさん詰め込もう」と思うのでしょう。 ただ、広告デザインやWebデザインの世界では、「余白恐怖症にデザイン上手なし」という格言があるくらい、“余白を使うこと”が逆に求められます。 なぜなら、余白がないと読みづらくて、本当に訴えたいことが読み手に伝わらない危険性があるからです。 これはベストセラーを狙う本でも同じことがいえると思います。 ベストセラーを狙う本なら、本好きではない一般読者にも読んでもらう必要があります。 一般読者に読んでもらうためには、読みやすい文章である必要があります。 そのためには、日本語的に読みやすいことも必要ですが、形式がすでに読みやすいことも必要です。 なぜなら、本を選ぶ際に「パッと見た感じ、読みやすそう」という印象は重要なポイントですからね。 ですから、細野先生の本はどれも「紙面デザイン力」により余白が効果的に入っている結果、非常に読みやすく、さらに見た感じも読みやすそうなので、大ベストセラーになっていると思うのです(もちろん、中身もいいからですけどね)。 <明日の(後編)につづく> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.10.16 02:42:40
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