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2005年08月09日
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長崎から「平和」を発信、60回目の長崎原爆忌

広島の原爆忌と違って、長崎の日の「その時間」は、
何か別のことをしていることが多い。
今日も、8月末の行事のための打ち合わせをしていた。
時間のせいだけでもなく、
どうもヒロシマよりナガサキの方が全体的に地味な感じがする。

私が初めて「原爆」を知ったのは、
小学校の5~6年生の頃だったと思う。
小学校の図書室で、私は借りる本を探していた。
するとその時、2~3年生の時の担任の先生が、
一冊の本を私に手渡した。
「これ、見てごらん。これは、君と同じくらいの年の子だね。
 こんなことが、君が生まれる前にあったんだよ」

先生が示したその本には、
傷ついた弟を背負った少年の写真があった。
私の記憶の中では、弟を背負ったその少年もまた、
顔が傷ついていたように思う。
そして、何かに怒ったような表情で、私を見ていた。

私は驚きと共に、他のページもめくった。
それは、信じられない悲惨な写真ばかりであった。
見ているうちに怖くなり、思わず目をそむけることがあったかと思う。
それが原子爆弾による被害の写真だということは、
きっとその時に先生が説明してくれたのだろう。
しかし私は、最初に聞いた先生の言葉だけしか覚えていない。
小学生にとってはあまりにも衝撃的な写真だったから、
最初に見た写真のことと、その時のショックと、
その本を見ている時に、窓から夕陽がさしていたことだけが記憶にある。

私はその日から、「原子爆弾」や「戦争」について関心を持つようになった。
原爆もショックだったが、やがてドイツのホロコーストを知った時も、
どうして人間はこのようなことができるのかと
信じられない思いがした。
私の理屈抜きの「戦争に対する嫌悪感」は、その時から育まれたと思う。

子ども達が小6と小4の時、家族で広島の平和記念式典に参列した。
北海道に住む私には信じられない暑さで、
このような季節に原爆で体を焼かれて苦しんだ人たちのことを想像し、
心が焼けるような思いがした。
私の左隣に座っていたおばさんの首筋にケロイドの跡を見て、
「広島の方ですか?」と声をかけた。
すると彼女は、
「そうです。私はこうして生き残ったけれど、学校の友達のほとんどが亡くなりました」と言った。
「だから私は、毎年必ずこの記念式に出て、友達に会いに来るの」
「はだしで歩いて逃げたのよ。本当に熱かった・・」
式典が始まる前の数分間、そんなお話を聞いた。
あのおばさんは、今も生きていらっしゃるのだろうか・・。
いつも、この季節になるとそう思う。
そしてまた、あの写真で見た少年は、生きているのだろうか・・と。

私の平和を念ずる気持ちは、あの写真集から始まった。
近いうちに必ず、長崎の原爆忌の式典にも参加し、
その場で平和を祈りたいと思っている。





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最終更新日  2005年08月09日 16時16分07秒
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