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テーマ:うつ病(670)
カテゴリ:心身の健康、不登校、ひきこもり
もう十数年の付き合いの人がいる。
私と同世代といえる人なのだが、人一倍優しくて生真面目で、とても純粋な女性。 そんな性格だから、子どもの頃から親が望む「いい子」になろうと頑張り、 「いい子」でいられなくなってからは罪悪感などに苦しみ、生きる意味を見失った頃もある。 その後色々ありながらも、結婚し子育てをし、仕事もして、 彼女なりに精一杯頑張り、生きてきたことは確かだ。 これ以上書くと、私が知っている個人情報に触れるかもしれないので避けるが、 息子さんが亡くなったことから、うつ病が重症化した。 もう何年も入退院を繰り返している。 うつ病で入院するということは、同じ病気の人と知り合いになることでもある。 この病気は、死にたくなる病気でもある。 昨年から今年にかけて、入院友達が何人も亡くなっているという。 先月は、同じ年頃の友人が、多分自ら一人暮らしの部屋で亡くなっているのを、 連絡が取れなくなったことを心配して訪れた彼女とご主人で発見することになる。 もちろん、ドアが開かないことから、アパートの管理人や警察に通報して発見したので、 直接は見てはいないことは幸いだった。 それが彼女の心理にどのような影響があるかは、推して知るべしである。 そのことを知ってから、今まで何度か彼女に会っているのだが、 とにかく私が言えることは、「会ってくれてありがとう。メールに返事をくれてありがとう」 「また次に誘った時は、迷惑がらないで会ってね」が基本。 彼女は自分でも時々呟く。 「私のようなものが生きていていいのだろうか」 「家事もできなくなってしまって、私がいない方が夫も楽だと思う」 「どうして次男の代わりに私が死ななかったのだろう」 その度に私は繰り返す。 「ご主人もご長男も、あなたがご次男と同じことをしたら、今のあなたより苦しむよ」 「ご主人は、息子と妻を同じような形で亡くしたらどう感じると思う? 自分に置き換えて考えてみて」 「ご長男にあなたがしなくてはならない事は、苦しくても生きて見守ってあげること」 「亡くなった息子さんは、命を削り取りながら頑張り続けたから、寿命が短くなったの。 いつかは必ず、あなたも私も間違いなく死ぬのだから、自然に死ねるまで頑張ろう」などなど。 それが彼女の命をつなぎとめることができるかどうかは、私にはわからない。 それでも、会った時もメールでも、「これができる間は彼女は生きてくれる」と信じながら、 「とにかく今日を、今を生きてください」と祈るばかりだ。 それほど、今の彼女は亡くなった人たちの世界に引っ張られている。 生きよう。とにかく今日を生きよう。それが一番大切なこと。 人としての一番の仕事は、今ある命を生き続けることだと思う。 そして、今日の一日に少しでも嬉しいことやありがたいことを見つけられたら、それで十分だと思っている。 二日前、彼女と会った時に約束した。 「あちらに引っ張られそうになったら、私が振り払ってあげるから、メールでも電話でもちょうだいね。 勝手にあちらに付いていったらダメだからね。」と。 その約束が、今も彼女のブレーキになって欲しいと願いつつ、これを書いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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