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カテゴリ:通信教育・大学、教育、講座、講演会
11月19日に道南で開催された「スクールソーシャルワーカーの導入と役割」についての講演会に参加。
講師はスクールソーシャルワークの第一人者と言われている内田宏明先生(日本社会事業大学准教授)。 日本でのスクールソーシャルワーカーのパイオニアである山下英三郎さんの一番弟子ということなので、 友人と共に参加することにしたのだ。 子どもに関するボランティア活動をしているため、いじめや不登校、虐待や発達障害等には 人並みよりプラスの関心を持っている。 近年、文部科学省も増え続けるいじめや不登校対策の一環として、 スクールソーシャルワーカーの導入にも力を少し入れている。 しかし導入は自治体判断なので、財政が厳しい自治体では特に導入が進まないだろうということは予想される。 また、「ソーシャルワーク」は福祉分野では常識的な概念だが、教育分野ではまだまだ認知されていないだろう。 ということで、はっきり言って現在の子どもの問題がこれほど複層的なものであるにも関わらず、 スクールソーシャルワーカーの導入はあまり進んでいないようだ。 学校ソーシャルワーカー、都道府県で最大30倍の格差(毎日 2016.10.6) 学校でのいじめ問題などに福祉の専門家として対応する「スクールソーシャルワーカー」(SSW)の配置割合で、都道府県により最大30倍を超える格差があることが毎日新聞の全国アンケート調査で分かった。対象としている児童生徒1万人当たりの数(全国平均1・5人)は最少県で0・3人、最多県で9人超、11府県で1人に満たなかった。【大原一城、森野俊、田中将隆】 SSWは不登校や児童虐待も含め、教員だけでは解決が難しい問題に対応する。国は2009年度から人件費の3分の1を補助しており、16年度予算では10億円、17年度概算要求では約16億円を計上。19年度までに約1万の全中学校区に配置する目標を掲げている。 いじめ防止対策推進法施行から9月28日で3年が過ぎ、法制定のきっかけとなった大津市立中学2年の男子生徒の自殺から今月11日で5年となるのに合わせ、毎日新聞が9月中旬〜10月初旬、47都道府県と20政令市の教委に今年度の状況を尋ねる調査を書面で実施した。 各都道府県・政令市が配置するSSWの数は計1703人。文部科学省の統計では、15年度に国補助を活用したSSWは1399人だった。SSWの大半は非常勤で、「常勤」と明示したのは福岡市の1人と名古屋市の17人だけ。対象とする公立の小中高校と特別支援学校の児童生徒数は計約1130万人。 都道府県別で1万人当たりの数が多いのは高知9・4人▽島根7・9人▽鳥取6・0人など。1人に満たなかったのは千葉0・3人▽茨城0・4人▽秋田、三重、奈良0・5人▽栃木、群馬0・6人▽長野、鹿児島0・7人▽新潟0・8人▽大阪0・9人だった。46都道府県市(69%)が「十分でない」など増員の必要性を訴えた。文科省児童生徒課は「補助以外の3分の2の負担や成り手の少なさなど、都道府県により格差が生まれている」としている。 道内配置は3割 北海道内の市町村に配置されているSSWは今年度、札幌市など29市町村の計53人で、全179市町村の約3割にとどまっている。このほか、道教育委員会が非常勤のSSW5人を採用し、必要に応じて未配置地域をカバーしている。 道内のSSWは2008年、札幌市が初めて2人を配置し、徐々に増加しているが、国が配置目標数とする全中学校区数は約600に上り、大幅に不足している状況だ。道教委のSSW派遣回数は昨年度、計100回程度で、担当者は「十分な配置とは言えないが、どこまで増員できるか。小規模な自治体では適任者が見つかりづらいという事情もある」と指摘する。【昆野淳】 ■ことば スクールソーシャルワーカー いじめや不登校、児童虐待など子供が抱える問題について、本人だけでなく、周囲の環境を含めて理解し解決策を探る社会福祉の専門家。カウンセラーが「心のケア」を中心に働きかけるのに対し、ソーシャルワーカーは「取り巻く環境」に着眼し支援。国の補助事業では原則として社会福祉士か精神保健福祉士などの資格を求めている。中央教育審議会は2015年12月、「学校等において必要とされる標準的な職」として職務内容などを法令で位置付けることを検討するよう答申した。 ■スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置人数といじめ認知件数 配置人数 児童生徒1万人当たりの数 1000人当たりのいじめ認知件数 北海道 58 1.2 6.4 青森 21 1.7 8.6 岩手 16 1.3 13.0 宮城 57 3.1 69.9 秋田 5 0.5 11.0 山形 32 3.7 36.5 福島 54 2.7 4.1 茨城 11 0.4 13.9 栃木 12 0.6 9.5 群馬 11 0.6 10.1 埼玉 101 1.3 4.0 千葉 16 0.3 39.9 東京 155 1.6 7.0 神奈川 82 1.2 7.5 新潟 18 0.8 6.1 富山 33 3.2 7.7 石川 22 1.9 5.4 福井 18 2.7 9.0 山梨 13 1.6 25.3 長野 15 0.7 6.3 岐阜 16 1.0 11.6 静岡 57 1.6 11.3 愛知 53 1.0 13.3 三重 9 0.5 4.5 滋賀 15 1.0 9.0 京都 73 3.3 85.4 大阪 85 0.9 5.4 兵庫 68 1.2 4.2 奈良 7 0.5 8.8 和歌山 29 2.8 33.8 鳥取 35 6.0 8.7 島根 42 7.9 9.1 岡山 37 2.2 4.9 広島 34 1.2 5.2 山口 40 3.1 14.8 徳島 15 2.0 9.5 香川 51 5.2 4.5 愛媛 28 2.7 12.7 高知 59 9.4 9.4 福岡 65 1.4 6.8 佐賀 15 1.7 2.8 長崎 28 2.1 13.0 熊本 32 1.8 15.0 大分 19 1.7 25.3 宮崎 12 1.7 66.0 鹿児島 9 0.7 26.4 沖縄 20 − 5.1 ※SSWの数は2016年度の把握分を都道府県と政令市に尋ねて合算。市町村の独自配置で一部把握漏れの可能性がある。いじめ認知件数は文部科学省がまとめた14年度の数。小数第2位を四捨五入。沖縄は精査中 文科省のページを探したが、上記の統計がうまく見つけられなかった。 文科省ページで見つけたのはこれ。 私自身、まだスクールソーシャルワーカーの教育委員会での位置づけや実態、 この制度で求められている他の専門職や教員、 他機関などの地域資源との連携のありかたについてわからない部分もあるので、 一泊二日で道南まで足を運んだのである。 結果として、参加してとても良かったと思う。 スクールソーシャルワーカーの役割や現状の諸課題について自分なりに整理できたし、 今後色々な場面で教育委員会や学校と関わる時には、基礎的知識や情報として活用できるように思う。 というのは、地元の教育行政機関や学校現場でも、スクールソーシャルワーカーはどのような役割かすら、 きっと明確に理解している人は少ないだろうと思うからだ。 講師の内田先生は、師匠である山下先生とは対照的な個性の持ち主だった。 何年も前に山下先生のお話を聞いたときに、はじめてスクールソーシャルワーカーについて知った私なのだが、 その時は山下先生のお人柄にも深く感銘を受けた。 その一番弟子という内田先生の話を今回聞いて、あらためて山下先生の偉大さを間接的に感じた次第だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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