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テーマ:読書(8206)
カテゴリ:読書
図書館で目に留まり借りてきた本。
「北海道が危ない!」砂澤陣/著 著者砂澤陣氏は彫刻家砂澤ビッキ氏の息子である。 その彼が、どのような意味で「北海道が危ない」と言っているのかと借りてきたのだが、 一読して私としてはかなりショックな内容であった。 そのほとんどが、北海道アイヌ協会の利権がらみの不正の告発といえる。 そして、その不正を容認してきた行政やメディアへの異議申し立てであり、 北海道とアイヌ民族の正しい歴史を知ってもらいたいという内容だ。 当然、北海道アイヌ協会からは度重なる協会や道議などへの告発により除名され、 今や孤軍奮闘状態のように思われる。 しかし、その根底には、 「今の日本のアイヌ政策はアイヌの誇りや自立を阻害するものだ』という信念があり、 無視できない内容だと思う。 私は北海道に住みながらも、一方的なアイヌの歴史を鵜呑みにしていたのかとガックリした。 私達日本人の祖先は、平和に暮らしていたアイヌ民族の土地にヅカヅカと入り込んで 「開拓」という名でアイヌの人たちの文化や言葉を奪ったという認識で、 常に彼らに申し訳ないという気持ちがあった。 私は直接はわからないが、アイヌの人たちに対する差別もまだ残っており、 そのために進学や就職などもままならない現実があるのだから、 支援も当然だし、アイヌ語教育や修学支援も当然だと思ってきた。 しかし、そこに利権が絡み、行政と議員とアイヌ協会とメディアのなれ合いや、 様々な不正が放置されているとしたらとても残念で由々しきことである。 彼が書いているように、この状態が本当でアイヌの人たちが利権に依存し続けているとしたら、 新たな差別意識が他の日本人に植え付けられてしまうような気がする。 ここに書かれていることがすべて事実なのかどうかは私には検証のしようがないが、 間違いなくアイヌ民族の血脈にあり、 自身もアイヌ協会に所属していた人の覚悟の告発なのだから、 今後はそのような視点も持ってアイヌ政策とアイヌ協会の動向を見ていきたいと思う。 そういえば、来年オープン予定のウポポイも、利権がらみと言うことなのか。 このような事業に利権が絡むのは今では日本の常識みたいなものだが、 実は私は、この施設が採算がとれるのかどうかとても懸念している。 アイヌの血をつなぐ人たちが、誇りをもって自立することに役立てばよいと思うし、 アイヌの人たちと私達日本人は、遥か昔から支えあい助け合いつつ、 この大地で生きてきた歴史も大切にしてほしいと願う。 蛇足であるが、以前から不思議に思っていたことの一つが、 アイヌの人たちのチセに大切にされている宝物に、 日本から伝わった(多分、和人との交易で得た)漆器や織物があることだった。 それを所有することを誇りにするということは、 和人を尊敬し交易することを生きる糧としていたことなのだろうと思いつつ、 心のどこかで不思議な感覚があったのだ。 搾取する相手の持ち物を、どうしてありがたがるのかと。 そんな疑問も、彼の書くアイヌ民族の歴史を読むと、腑に落ちる気がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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