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テーマ:官僚・公務員(206)
カテゴリ:政治・政治家
古賀茂明「接待中毒の高級官僚を一掃せよ」〈週刊朝日〉3/16(火) 7:00配信
総務省の幹部官僚接待不祥事は次官と同格の歴代総務審議官ら幹部が、次々に処分、更迭、辞職などに追い込まれる異例の展開となった。なぜここまでド派手な接待にエスカレートしたのか。 東北新社の件では、菅義偉総理の長男の誘いを官僚は断れなかったと解説されたが、NTTにはそんな事情はない。また、山田真貴子前内閣広報官や谷脇康彦前総務審議官以外の幹部官僚も同様に行動しているから、個人の特殊性という説明も難しい。 今回の事件の主役は「官僚」、特に「キャリア官僚」だ。彼らは、国家公務員総合職試験に合格して役人になり、それ以外の官僚、いわゆる「ノンキャリ」の人たちと違って、最初から幹部候補として育成され、速いスピードで出世していく。 また、定年前に肩たたきで退職する際には多額の割り増し退職金をもらい、しかも、その後は天下りで70歳くらいまで悠々自適の生活が保障されている。 キャリア官僚にも個々に見ればいろいろなタイプがいる。公務員の鑑である「消防士型」は、私心なく国民のために働き、高額の給与も大きな権力も望まない。国民に感謝されればそれで十分という人たちだ。最近は絶滅危惧種になってしまった。 「中央エリート型」の官僚は、自分たちが一番頭が良い、一番偉いと思っている。安月給で夜中まで働いてやっているのにバカな国民とマスコミは何かと自分たちを叩きに来る。こんな仕事を我慢して国のためにやっているのだから、退職後に天下りでぜいたくな生活を保障されるのは当然だと思う。究極の上から目線の連中だ。一方、ただ安定した生活と着実な昇給、そして天下りが保障されていれば贅沢は言わないという「凡人型」のキャリア官僚もいる。 このうち、「派手な接待」に引き寄せられやすいのが「中央エリート型」である。 彼らは、必ずしも金目当ての人間ではなく、今回の接待も酒や美食が直接の目的だったのではない。 彼らをド派手な接待に導くのは「自分たちは一番偉い」という思い込みだ。 「官尊民卑」の意識も強烈。話をするときに相手が接待するのは当然ということになり、接待は派手であるほど、「自分が偉い」と実感できる。 相手がNTT社長という大物なら満足感はさらに上がる。その結果、当初は意図していなくても接待企業に借りができ、行政が歪められるのだ。 本音の話を聞いて貴重な情報を得るというのは後付けの理屈。どうしてもやめられないから、5千円の領収書で割り勘とする偽装工作まで行う。 接待側も「こんな素晴らしいお話を聞くのにこの程度のことですみません」などと官僚のプライドをくすぐる。現金は払わず領収書だけもらうのも実は日常茶飯事だ。 こうした高額接待を受ける官僚は一種の病気である。だから中途半端なルールを作っても必死で抜け穴を探す。 彼らに口実を与えないように、民間企業との飲食を割り勘でも一切禁止として、相手が利害関係者なら違反は免職にする。 許すのは会議室での千円以下の実費負担の弁当のみとすればよい。認めるのは純粋に個人レベルの会だけにする。私の30年超の官僚経験から見て、それで情報が取れず仕事ができないということはない。 高額接待中毒の官僚は、この際、霞が関から一掃するべきだ。 ※週刊朝日 2021年3月26日号 ■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』(集英社)など お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年03月18日 10時23分26秒
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