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テーマ:男女不平等(2)
カテゴリ:政治・政治家
今朝の北海道新聞でこの記事を読み、強く共感した。
しかし、道新では全文コピーできなかったので、どこかに同じ内容が掲載されていないかと探したら、沖縄タイムスで見つけたのでコピーしておく。 識者コラム「現論」「少子化の原因は男女不平等 断片的対策で解決せず」 中満泉沖縄タイムス 2023年6月9日 政治的、経済的、社会的な男女格差の諸調査を見ると、日本は先進国の最下位というだけでなく、世界でも底辺近くにある。法制度上の男女差別はほぼないが、長く続いた慣習や社会文化に基づく不平等を解消するには、社会の隅々であらゆる方策を組み合わせて実施し、包括的、戦略的に思い切った改革を進める必要がある。 過去30年にわたって上昇せず、先進国では下位に転落した平均年収とともに、ジェンダー不平等が少子化の大きな原因であることは間違いない。まずしっかり理解する必要があるのは、少子化問題は社会の構造的な問題の帰結であって、根本的な問題に対応しなければ、断片的対策では解決しないということだ。 「世界人口白書2023」の発表に際し、国連人口基金(UNFPA)のカネム事務局長も「職場や家庭での性差別といった構造的な状況が、不本意ながら子どもを持つことができない状況をいかに助長してきたかを、経験と調査は示している」とし「問題視されるべきは不平等である」と述べている。 ▽女性が流出 先進国ではジェンダー格差と出生率の間に関連性があることが経済協力開発機構(OECD)の分析で明らかになっており、内閣府の資料もジェンダー格差が少ないほど出生率が高まる傾向があることを示している。 男女にかかわらず取得できる育児休業制度があっても、男女間の賃金格差が大きければ男性が育休を取るのは難しい。日本で女性の平均賃金は男性の約7割、非正規雇用も多い。非正規の場合、出産後の離職率も高い。出産・離職後にシングルマザーになれば、貧困に陥る可能性もあるわけで、合理的に見れば出産は経済的なリスクとなっている。 女性も男性も将来に不安を感じ結婚や出産をためらう社会状況の中で、児童手当や婚活支援といった断片的な方策が効果を発揮することはまずない。安定した雇用が少なく、男尊女卑的な文化の残る地域から女性が都市部に流出していく。そして賃金が上がらない日本からチャンスを求めて海外移住が増加している。過去最高を記録した昨年の55万人のうち、3人に2人は女性だった。 人口動態から見て少子化対策は2030年までがラストチャンス。これを肝に銘じて、深く根付く不平等な慣習や社会構造にメスを入れ、女性も男性も一人一人が将来に希望を持ち、安心して働きながら子どもを育てられる環境を早急に整えなければならない。 若い世代が安定した雇用と収入を得ること、ひとり親でも不安なく子育てができる社会にすること、現在OECD加盟国で最低レベルの教育への公的支出を増やすこと、長時間労働などあしき習慣をなくすこと、そして職場や学校などあらゆる場所でのジェンダー不平等を正していくことが必要だ。 ▽男性は高げた脱いで 政治、行政、企業や教育機関などの意思決定レベルで、女性の数を大幅に増やすことは、こういった改革を推し進めることに貢献する。クオータ制など、人事決定で女性を増やしていく特別措置は大きな効果がある。 「女性にげたを履かせるのか」という反論がある。逆である。日本で生まれ育ち教育を受けた私は、日本社会では生まれ落ちた瞬間から目に見えないジェンダー差別や偏見、男女の役割についての「刷り込み」が網の目のように張り巡らされていることに海外に出て初めて気付いた。男性が意識せず履いている高げたを脱いでもらうための措置が必要なのだ。 同質性の高い組織よりも多様な構成員を持つ組織の方がパフォーマンスが良いことは各種の研究から明らかで、これは日本社会全体の活性化にも直結する。 日本の場合、特に政治の分野で女性が圧倒的に少ないことが、改革が実現しない大きな理由だろう。そんな中、4月の全国315の区・市議会選挙で女性議員が過半数となった地域がいくつか誕生した。生活に直結する地方議会から、生活者の視点で変革を進めていく大きな動きが生まれてくることに期待したい。(国連事務次長) × × なかみつ・いずみ 1963年、東京都生まれ。早稲田大卒、米ジョージタウン大修士。89年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)入りし、国連勤務を開始。一橋大教授(2005~08年)を経て平和維持活動(PKO)局や国連開発計画(UNDP)幹部を歴任した。17年から軍縮担当上級代表(事務次長)。(共同通信) わたしがいつも感じているモヤモヤを、すっきりさせていただいたような気がする。 ありがとうございます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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