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再出発日記

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洋画(12~)

2020年10月16日
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カテゴリ:洋画(12~)
県労機関紙に投稿した今月の映画評です。


「沖縄スパイ戦史」
 2018年に観た97本の中で、マイベストワンに選んでいた作品を紹介します。なぜ今になったかというと、あまりにもマイナーなドキュメンタリー作品なので、レンタルはおろか、未だ販売さえされていなかったからです。半分紹介は諦めていたところ、なんと先月25日にDVDが売り出されました。是非観て欲しい。直ぐ返してくれるならば、私がお貸ししてもいい。

 優れたドキュメンタリーの条件はなんでしょうか?
(1)それまでの常識をくつがえす事実が提示できていること(2)フィルムの中で、想定外の映像が撮れていること(3)監督の明確な主張があること。コレだと思います。

 十数回沖縄に行ってきた私でも、知らなかったことばかりの映像でした。
 沖縄戦と言えば、米軍との戦闘で二十万人も犠牲になった「表の戦争」を思い浮かべますが、ここで記録されているのは秘密裏に展開された「裏の戦争」です。
 作戦を担ったのはスパイ養成で有名な陸軍中野学校を卒業し沖縄に送り込まれた軍人たちで、彼らは沖縄北部で15-17才の少年兵を組織して千人の「護郷隊」をつくりゲリラ戦をやらせ、負傷兵を殺し、住民たちには住民同士を監視させ「スパイ虐殺」を演出しました。さらには八重山諸島の島々では、食料確保、情報漏洩阻止のために島民が危険視していたマラリア有病地帯へわざわざ強制疎開させて波照間島民の1/3にあたる477人が発病、殺したのです。コレが(1)に当たります。

 (2)として、インタビューの中で、ある住民が「敵と通じているかもしれないから殺す」と言って住民をスパイとして見殺したと告白した場面があります。戦後75年目にして、関係者は次々と亡くなってゆき、証言する人が居なくなる今だからこそ撮れた決定的証言でした。

 貴重な映像を撮った監督2人とも(3)の明確な問題意識を持っていました。「沖縄で行われた事は本土決戦が行われたら全て実現されていた。民を守るためではなく、国体を守るためだった。過去の話ではない。現代の自衛隊法にもその伝統は生きている。現在沖縄諸島に次々と作られているミサイル基地は、再び民を犠牲にする施設になろうとしている」

(2018年三上智恵・大矢英代監督作品、定価4180円+送料、アマゾンプライム会員価格3218円、特典映像も凄く充実していました)








最終更新日  2020年10月16日 10時50分02秒
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2020年10月06日
カテゴリ:洋画(12~)
9月に観た映画、中盤の3作。


「TENET テネット」

わからないことだらけ。
そもそもオペラハウステロは必要だったのか?
テストって何?

オペラハウスで既に重要なモノがあったのだから、終盤あの事件が舞台にならないのはおかしい。

そもそも、テネット機器の使い方は、誰がどうやって導入したのか?

ニールの初登場は、おかしい。

ケネス・ブラナーの狂気で簡単に世界が滅びるのならば、世界はこれまで直ぐに滅びているだろう。もうちょっと世界を信頼してもいいのでは無いか?

オペラハウスや空港の大掛かりなセットは、なんかものすごい。ホントにそこまでやる?

忘れ去られるべき作品だと思う。

(ストーリー)
満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発。罪もない人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が館内に突入する。部隊に参加していた名もなき男は、仲間を救うため身代わりとなって捕えられ、毒薬を飲まされてしまう…しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた名もなき男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。
ミッションのキーワードは<TENET テネット>。「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。
監督 クリストファー・ノーラン
出演 ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー

2020年9月20日
TOHOシネマズ岡南
★★★


「宇宙でいちばんあかるい屋根」
清原果耶の堂々とした主演映画。また、藤井道人監督アカデミー受賞第1作としても、堂々とした若者賛歌だった。ともすると、単なる荒唐無稽のいい話に終わるところを、清原果耶の顔のアップに耐えうるあらゆる感情の演技と、桃井かおりの存在感によって、きちんと都会の自立した女性への第一歩の話に着地させた。

コロナ禍で、あまり注目されていないが、今年の佳作である。清原果耶も、なかなかいい声で歌うじゃん!

STORY
14歳のつばめ(清原果耶)は、父親と血のつながらない母親との3人暮らし。両親に子供ができたことから生まれる疎外感とともに幼なじみの大学生への恋心も抱いていた。ある日、つばめは唯一の心休まる場所だった書道教室の屋上で派手な老婆がキックボードに乗って空を飛んでいる姿を見かける。つばめは「星ばあ」と呼ぶことになったその老女に恋や家族の話をするようになり……。
キャスト
清原果耶、桃井かおり、伊藤健太郎、水野美紀、山中崇、醍醐虎汰朗、坂井真紀、吉岡秀隆
スタッフ
監督・脚本:藤井道人
主題歌:清原果耶
作詞・作曲・プロデュース:Cocco
原作:野中ともそ
上映時間
115分
2020年9月26日
MOVIX倉敷
★★★★


「パブリック図書館の奇跡」

図書館職員のマイラが、さらっと検察官に嫌味を言う言葉「修正4条に引っかかるような事態にはなっていないから大丈夫よ」
それってなんだろう、と思ったらこう言う文言だった。
修正第4条
不合理な捜索及び逮捕押収に対し、身体、住居、書類及び所有物の安全を保障される人民の権利は、これを侵害してはならない。令状はすべて、宣誓又は確約によって支持される相当な根拠に基づいていない限り、また捜索する場所及び逮捕押収する人又は物が明示されていない限り、これを発してはならない。

また、館長のアンダーソンも「生涯、図書館の自由と権利を守ることに費やしてきたんだ。それを侵害するようなことは我慢ならない」と叫んで、立てこもりの外から中に入る。

原題は「パブリック」公共(施設)である。図書館ということだけがテーマでは無い。公共のあり方は、どうなのか。力で、法と秩序を守ろうとする検察官に対して、それに本来の役割を思い出せようとするお話。

冒頭、図書館職員は「本が好きなこと、人間が好きなこと、それがあればなれます」というおそらく60年台の募集CMを流す。その原点を思いださせようとするお話。

なかなか味わい深い作品だった。

(解説)
実際の記事から着想。突然“命の避難所”となった公共図書館を舞台に、サプライズ満載の人間模様と奇跡の瞬間を映し出す笑いと涙のフィールグッドな名作が誕生
ある公共図書館の元副理事がロサンゼルス・タイムズに寄稿したエッセイにインスピレーションを得て、完成までに11年を費やし監督したのは名優エミリオ・エステベス。米オハイオ州シンシナティ。記録的な大寒波により、緊急シェルターがいっぱいで行き場がないホームレスの集団が図書館を占拠した。突如勃発した大騒動に巻き込まれたひとりの図書館員の奮闘を軸に、笑いと涙たっぷり、予測不可能なサプライズも盛り込まれた感動作。

名優エミリオ・エステベスの監督最高傑作!明日を生きるために声を上げた彼らと、図書館員の勇気ある行動があなたに届ける希望とは。
約70人のホームレスの苦境を察したスチュアート(エミリオ・エステベス)は、彼らと共に図書館に立てこもることに。しかし、図書館館長、刑事と検察官、マスコミなどそれぞれの思惑が交錯。やがて警察の機動隊が出動し、追いつめられたスチュアートとホームレスは驚愕の行動を決断する…。エミリオ・エステベス監督のもとにアレック・ボールドウィン、クリスチャン・スレイター、『ネオン・デーモン』のジェナ・マローン、Netflix「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」のテイラー・シリングなど実力派揃いのキャストが集結。
主人公の勇気ある行動は、今を生きる私たちにそっと語りかけてくるような問いかけであり、あらゆる観客の胸に響くに違いない。

STORY
米オハイオ州シンシナティの公共図書館で、実直な図書館員スチュアート(エミリオ・エステベス)が常連の利用者であるホームレスから思わぬことを告げられる。「今夜は帰らない。ここを占拠する」。大寒波の影響により路上で凍死者が続出しているのに、市の緊急シェルターが満杯で、行き場がないというのがその理由だった。

約70人のホームレスの苦境を察したスチュアートは、3階に立てこもった彼らと行動を共にし、出入り口を封鎖する。それは“代わりの避難場所”を求める平和的なデモだったが、政治的なイメージアップをもくろむ検察官の偏った主張やメディアのセンセーショナルな報道によって、スチュアートは心に問題を抱えた“アブない容疑者”に仕立てられてしまう。やがて警察の機動隊が出動し、追いつめられたスチュアートとホームレスたちが決断した驚愕の行動とは……。

DIRECTOR
製作・監督・脚本・主演
スチュアート・グッドソン
エミリオ・エステベス
1962年、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク市出身。マーティン・シーンの長男で、チャーリー・シーンを弟にもつ。『アウトサイダー』(83)、『セント・エルモス・ファイアー』(85)、『ブレックファスト・クラブ』(85)といった80年代の青春映画立て続けに出演、ヤング・スターの一団の総称“ブラット・パック”の中心人物として一斉を風靡する。23歳の時に『ウィズダム/夢のかけら』で監督デビュー。その後も監督としてのキャリアを積み重ね、ロバート・F・ケネディ暗殺事件を題材にした歴史群像ドラマ『ボビー』(06)はゴールデン・グローブ賞作品賞と全米映画俳優組合賞アンサンブルキャスト賞にノミネート。聖地巡礼の旅を描いたロードムービー『星の旅人たち』(10)では、円熟味すら感じさせる作風を披露した。本作は監督7作品目となる。また、主な映画出演作に、『レポマン』(84)、『張り込み』シリーズ(87,93)、『ヤングガン』シリーズ(88,90)、『ミッション:インポッシブル』(96)、『飛べないアヒル』(マイティ・ダック)シリーズ(92,94,96)などがある。

CAST

ビル・ラムステッド
アレック・ボールドウィン
1958年、アメリカ、ニューヨーク州ロングアイランド出身。1980年以降、舞台、映画、TVで数多くの作品に出演。『レッド・オクトーバーを追え!』(90)で一躍注目され、92年のブロードウェイ劇「欲望という名の電車」でトニー賞ノミネート、95年のTV映画版でも主演を務める。『The Cooler(原題)』(03・未)でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、TVシリーズ「30 ROCK/サーティー・ロック」(06-13)ではゴールデン・グローブ賞を3度、エミー賞を3度、全米映画俳優組合賞の主演男優賞を7度受賞している。近年の出演作に、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(15)、『ボス・ベイビー』(17)などがある。

マイラ
ジェナ・マローン
1984年、アメリカ、ネバダ州スパークス出身。子役として『コンタクト』(97)でジョディ・フォスターの少女時代を、『グッドナイト・ムーン』(98)でスーザン・サランドンの娘役を演じ注目される。その後、『ドニー・ダーコ』(01)、『16歳の合衆国』(03)などでキャリアを重ね、『セイブド!』(04・未)で初主演。近年の出演作に『ハンガー・ゲーム』シリーズ、『ラブソングに乾杯』(16)、『ネオン・デーモン』(16)、Amazon製作のドラマシリーズ「トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング」(19)などがある。

アンジェラ
テイラー・シリング
1984年、アメリカ、マサチューセッツ州ボストン出身。Netflix製作の人気ドラマシリーズ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」(13-19)の主人公パイパー・チャップマン役で知られ、同作でエミー賞、2度のゴールデン・グローブ賞ノミネートを果たしている。主な出演作に、『一枚のめぐり逢い』(12)、『アルゴ』(12)、Netflix製作『タイタン』(18・未)、『プロディッジー』(19・未)などがある。

ジョシュ・デイヴィス
クリスチャン・スレイター
1969年、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク出身。16歳のとき『ビリージーンの伝説』(85・未)で映画デビュー。『ヘザース/ベロニカの熱い日』(89)、『トゥルー・ロマンス』(93)、『ブロークン・アロー』(96)、『ベリー・バッド・ウェディング』(98)、『ウインドトーカーズ』(02)など、ジャンルを問わず様々な作品に出演。若手実力派スターとしての地位を確立する。近年では、TVシリーズ「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」(15-19)でゴールデン・グローブ賞助演男優賞を受賞、さらに2度のノミネートを果たしている。その他の出演作に、『ニンフォマニアック』(13)、『天才作家の妻 -40年目の真実- 』(17)などがある。

レベッカ・パークス
ガブリエル・ユニオン
1972年、アメリカ、ネブラスカ州オマハ出身。NAACPイメージ・アワードに5度ノミネートされており、2014年にはTVシリーズ「Being Mary Jane(原題)」(13-19)でドラマ部門主演女優賞を獲得。主な出演作に、『チアーズ!』(00)、『バッドボーイズ2バッド』(03)、『キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~』(08)、『スリープレス・ナイト』(17)などがある。

エルネスト・ラミレス
ジェイコブ・バルガス
1971年、メキシコ、ミチョアカン州出身。近年の出演作に、『チリ33人 希望の軌跡』(15)、Netflixとマーベル製作のドラマシリーズ「Marvel ルーク・ケイジ」(16)、TVシリーズ「モザイク~誰がオリヴィア・レイクを殺したか」(17-18)、Netflix製作のドラマシリーズ「Mr.イグレシアス」(19)などがある。

ジャクソン
マイケル・ケネス・ウィリアムズ
1966年、アメリカ、ニューヨーク州ブルックリン出身。TVシリーズ「THE WIRE/ザ・ワイヤー」(02-08)や、「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」(10-14) で知られる。近年の出演作に、『それでも夜は明ける』(13)、『ロボコップ』(14)、『インヒアレント・ヴァイス』(14)、『アサシン クリード』(16)、Netflix製作のドラマシリーズ「ボクらを見る目」(19)などがある。

アンダーソン
ジェフリー・ライト
1965年、アメリカ、ワシントン州出身。1994年にブロードウェイ作品「エンジェルス・イン・アメリカ」でトニー賞を受賞。2003年にTVドラマ化された同作では、ゴールデン・グローブ賞とエミー賞を受賞する。『007/カジノ・ロワイヤル』(06)からはボンドの盟友でCIA捜査官のフェリックス・ライター役、『ハンガー・ゲーム』シリーズではビーティー役としても知られる。TVシリーズの出演作に、「ボードウォーク・エンパイア 欲望の街」(10-14)、エミー賞に2年連続ノミネートされた「ウエストワールド」(16-20) などがある。

ビッグ・ジョージ
チェ・“ライムフェスト”・スミス
1977年、アメリカ、イリノイ州シカゴ出身。ステージ名「ライムフェスト」で知られるMC・ラッパー。同郷のカニエ・ウェストのグラミー受賞曲「Jesus Walk」を共作、2006年にアルバム「Blue Collar」でメジャーデビューを果たした。2015年には映画『グローリー -明日への行進-』の主題歌「Glory」をジョン・レジェンド、コモンと共作し、アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞、グラミー賞を受賞。同年、自身とホームレスでアルコール依存症の父親との関係を描いたドキュメンタリー映画『In My Father's House(原題)』に出演する。俳優として長編映画に出演するのは本作が初。
2020年9月27日
シネマ・クレール
★★★★







最終更新日  2020年10月06日 19時55分55秒
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2020年10月05日
カテゴリ:洋画(12~)
9月に観た映画は8作品でした。徐々にペースが戻りつつあります。3回に分けて紹介します。



「糸」
文字が出来る随分前から、「歌」は人と共にあったといわれている。私は音楽オンチで、カラオケは拒否しているけれども、それでもこれが流れると、様々な感情が去来する歌というものは持っている。歌謡曲・流行歌というのは、そういう場面を作りやすい歌だと思う。主役は、「歌謡曲」である。

食堂でたまたま流れ始めた「糸」を聴きながら、まずいカツ丼を掻っ込む小松菜奈、かつては香(榮倉奈々)が歌った「ファイト」を、成田凌が歌い漣(菅田将暉)が唱和するのも、歌は繰り返し歌われるものだ、エンドクレジットで流されるべきものではないことを主張している。

その他、象徴的な2つの「繰り返される行為」が、世代を繋げて、「普通の生活をしたいだけ」の庶民の願いを表していた。

短い場面を繋げて、平成31年間を駆け抜けていた。小松菜奈は、短いショットで感情を説得力持って表す良い女優になったと思う。菅田将暉は「MIU40」で共感能力のないサイコパスを演じているとは思えないほど、共感しまくりで涙もろくて誠実な青年を違和感なく演じた。



(STORY)
北海道で暮らす13歳の高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)は、互いに初めての恋に落ちるが、ある日突然葵の行方がわからなくなる。彼女が養父の虐待から逃れるために町を出たことを知った漣は、夢中で葵を捜し出し駆け落ちしようとする。だがすぐに警察に保護され、葵は母親と一緒に北海道から出て行ってしまう。それから8年、漣は地元のチーズ工房に勤務していた。
(キャスト)
菅田将暉、小松菜奈、山本美月、高杉真宙、馬場ふみか、倍賞美津子、永島敏行、竹原ピストル、二階堂ふみ、松重豊、田中美佐子、山口紗弥加、成田凌、斎藤工、榮倉奈々
(スタッフ)
Inspired by:中島みゆき
原案・企画プロデュース:平野隆
脚本:林民夫
監督:瀬々敬久

2020年9月3日
TOHOシネマズ岡南
★★★★★


「8日で死んだ怪獣の12日の物語」

映画を観た人しか買えないカプセル怪獣買いました(550円)。3日目に、一つの卵から孵った怪獣が、その次の日には3つに分かれていたという衝撃の展開の時のフィギュアでした!樋口真嗣監督は、これをウルトラセブンのカプセル怪獣と断定し、実はホントはまた2つカプセル怪獣はいるんだよね〜などと蘊蓄を語るのですが、その次の日には何故か怪獣は一つになっていて、一つが2つを食べたのか?疑問は膨らみます。その度に樋口真嗣監督の解説は場当たり的ないい加減なことで、遂には恐ろしい怪獣になりそうなところで、「殺処分」を進言することになるのです。サトウタクミは、仕方なくそれに従いますが、実は怪獣は更なる進化を遂げて、もっと危険なものになっていきます。その途中で、コロナ禍のもとに定期連絡しているオカモトソウは、無職になって二千円のホテル暮らしでやっていかなくなっている。後輩の丸戸のんは、宇宙人を買っている。YouTubeを見ていると、もえかすが順調に怪獣を育てているけど、だんだん形ができてきて怖くなったのか、途中でいなくなる。死んじゃったと彼女は言うけど、ストーリー的には空を飛ぶ巨大なこの形の怪獣の姿も写ることから「捨てた」ことは明らかである。コロナをやっつけるヒーローを育てると言う最初の目標は何処かにいって、彼らは迷走する。のんちゃんは、「大人は何もしない!」と急に目覚めて、宇宙留学すると言って連絡を断つ。やがてタクミの怪獣はマスクの形をして死んでしまう。もえかすは新たな怪獣を育て始める。のんは両親に反対されたと言って、宇宙人と別れてしまう。映画の所々に、現実の人の居なくなった都会の風景をドローン撮影したものが流れて、怪獣の顔をしたダンサーが踊りまくる。そんなシュールな作品でしたが、退屈せずに観ることができました。そんなに、凄い、突き刺さるような作品ではなくて、コロナ禍のもとに、こんな作品も観れて良かったんじゃないの?と言うような作品でした。


(解説)
SNSにて樋口真嗣監督ら5人の監督が発動した「カプセル怪獣計画」の番外編であり、全編ほぼリモートで撮影された本作。
主人公のサトウタクミを演じるのは、ミニシアターパークの活動などを通して積極的にミニシアターを支援している斎藤工。俳優としてだけでなく、監督やプロデュースまでもこなすそのバイタリティをリモート撮影という特殊な状況下でも発揮し、主演を務めます。
そして、のんが演じるのは、通販で宇宙人を買ったという丸戸のん。
「この役を演じられるのはのんしかいない」という岩井監督からのラブコールに応え、岩井組に初参加します。サトウタクミの先輩オカモトソウを演じるのは武井壮。
そして、話題作への出演が続く穂志もえかがYouTuber“もえかす”を演じ、これまでとは違った一面を見せます。個性豊かな岩井組初参加の面々に加え、原案の樋口真嗣も登場し、フィクションなのにドキュメンタリーのようなちょっと不思議で優しい世界へと導いてくれます。
世界中が今も直面している新型コロナウイルスとの戦い。このような状況下だからこその岩井俊二のクリエイティブ力が光る、2020年の今を切り取る作品がここに誕生しました。

STORY
通販サイトでコロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を買ったサトウタクミ(斎藤工)。毎日怪獣の成長を配信しているタクミの元には、通販で宇宙人を買ったという後輩の丸戸のん(のん)や、コロナの影響で無職になってしまった先輩のオカモトソウ(武井壮)など、色々な人から連絡がくる。日に日に怪獣は成長していくが、どうもYouTuberもえかす(穂志もえか)が育てる怪獣とは種類が違うようだ。怪獣に詳しい知り合いの樋口監督(樋口真嗣)にノウハウを聞きながら、日々怪獣を育てていくタクミ。果たしてタクミはきちんと怪獣を育てることができるのか? そして、この怪獣はコロナをやっつけてくれるのか?

2020年9月13日
シネマ・クレール
★★★★


「ティファの手紙」

「ラストレター」とほぼ同じ。それでも、俳優が適材適所で、こうも違うのか。本来そんなに美人でない妹役を、諸般の事情で松たか子と森七菜にしたせいで、邦画の方は説得力を欠いてしまった。また、高校時代を少しだけあっさりつくり、老いらくの恋もあっさりつくり、現代を丁寧につくり、特に下の男の子の危うさを描いたことで全体のトーンが決まった。コメディ部分は形(なり)を潜めた。伊川の2度目の真相を聞いた時の反応が説得力あるモノであり、あれは大根の福山雅治では決して出来なかった演技で、安心して見ていれた。うん、それだけだ。これが本来の「ラストレター」だ。

STORY
姉のチーナンを亡くしたチィファ(ジョウ・シュン)は、姉の死を知らせるために彼女の同窓会に参加する。ところが姉の同級生に姉本人と勘違いされ、初恋の相手のチュアン(チン・ハオ)と再会。姉ではないことを言い出せないまま、姉のふりをして文通を始める。
キャスト
ジョウ・シュン、チン・ハオ、ドゥー・ジアン、チャン・ツーフォン、ダン・アンシー、タン・ジュオ、フー・ゴー
スタッフ
監督・脚本・原作・音楽・プロデューサー:岩井俊二
プロデューサー:ピーター・チャン
音楽:ikire

2020年9月18日
MOVIX倉敷
★★★★








最終更新日  2020年10月05日 12時20分59秒
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2020年09月19日
カテゴリ:洋画(12~)

今月の映画評「COLD WAR あの歌、2つの心」

 「冷戦」と題名にありますが、米国とソ連の政治戦争を描いたものではなく、冷戦を時代背景にしながら「あの歌」をずっと耳の奥で聴きながら、男女の「2つの心」を描いたものです。

 1949年から1964年の15年間の欧州、ポーランド、東ベルリン、ユーゴスラヴィア、フランスを舞台にしたラブ・ストーリーです。あえてコントラストのハッキリした白黒映画で描き、一つひとつの場面が写真のように美しく悲しく描かれていました。その叙事詩的な描き方がテオ・アンゲロプロス監督のギリシャ現代史を描いた「エレニの旅」(2004年)を彷彿させ、或いは男女の腐れ縁を延々と描く手法は成瀬巳喜男監督の高峰秀子と森雅之が主演した名作「浮雲」(1955年)を思い浮かばせる人もいます。何れも、場面場面の間に数年の空白があり、それを想像させるように作られています。緊密な台詞と映像と演技があってこそ成立する手法であり、わかりにくいと言う人もいるかもしれませんが、「これぞ映画だ」と私は思いました。

 前置きが長くなりました。

 1949年のポーランドで、ヴィクトル(トマシュ・コット)たちは民族舞踏団を立ち上げます。その中にいたのが歌の上手いズーラ(ヨアンナ・クリーク)で、2人はたちまち恋仲になってしまいます。その時に民族歌謡から発掘したのが「2つの心」で、「オヨヨーイ」という歌詞の繰り返しが何故か耳に残る人気曲でした。冷戦の時代になると、舞踏団は大臣の要請で、ソ連賛美の歌と踊りをする劇団に変容します。ヴィクトルはズーラを誘って亡命しようとしますが、彼女は直前になってついてくるのを止めます。

 離れていると、求め合い、一緒になると衝突する2人の遍歴は、厳しい冷戦の時代に、厳しいラストを迎えます。

 「向こう側へ 景色がきれいよ」という「向こう側」とは、何なのか?ラストの解釈を巡って映画仲間と意見が分かれたりもしました。そういう様々な解釈ができるのも、映画のいいところかもしれません。(2019年ポーランド・イギリス・フランス、パヴェウ・パヴリコフスキ監督作品、レンタル可能)






最終更新日  2020年09月19日 13時04分33秒
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2020年09月09日
カテゴリ:洋画(12~)
後半の2作品です。


「思い、思われ、ふり、ふられ」
王道の片思い四角関係の、グダグダ回想話で決着させるか、誰かを殺して終わらせるか、と思いきや、案外、しっかり青春物語として決着させた。しかも4人とも魅力的に撮っている。浜辺や北村だけが突出していない。その中で、特に浜辺が良い。ちょっとこの作品で抜け出したかもしれない。

神戸の夜景や雨のシーンを綺麗に撮って、この辺りは日本映画の独壇場かな。韓国映画ならば、もっと波乱万丈にしただろうけど、これはこれで味がある。

(STORY)
恋愛に対して積極的で社交的だが自分の気持ちをうまく表現できない朱里(浜辺美波)、恋愛に消極的で自分に自信のない由奈(福本莉子)、朱里の義理の弟・理央(北村匠海)、由奈の幼なじみの和臣(赤楚衛二)は、同じマンションで暮らし、同じ高校に通っている。由奈は理央に憧れていて、理央は姉の朱里に好意を抱いていた。
キャスト
浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二、上村海成、三船海斗、古川雄輝、戸田菜穂
スタッフ
原作:咲坂伊緒
監督・脚本:三木孝浩
脚本:米内山陽子
音楽:伊藤ゴロー
劇中音楽:小瀬村晶
主題歌:Official髭男dism
製作:市川南

2020年8月15日
MOVIX倉敷
★★★★


「ポルトガル、夏の終わり」

死期を悟った名女優、隠せない老い、迷いに迷う息子や娘たち、人生の伴侶たる夫の誠実、世界遺産シントラ、友情の有り難さ、1人では生きられない人生、一夏の避暑地で起きる最後の夏を、女優・イザベル・ユペールが確かな「存在感」で歩き通す。彼女の思惑からずれて、何ひとつ物事は決まらなかったけど、人生は複雑、それで良いのだ。山の頂上で、彼女は衝撃の告白をするつもりだったんだろうけど、何ひとついうことなく下山する。あとは美しいと思える大西洋の夕陽か張り照らすのみ。

(解説)
イザベル・ユペールで描く、儚くも美しい人生。迎えた最後の夏。ポルトガル世界遺産シントラの町を舞台に、女優フランキーが仕組んだ「家族劇」とは。

夫にブレンダン・グリーソン、友人にマリッサ・トメイ、息子にジェレミー・レニエ、元夫にグレッグ・ギニア。監督・アイラ・サックス。

2020年8月23日
シネマ・クレール
★★★★







最終更新日  2020年09月09日 19時08分14秒
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2020年09月08日
カテゴリ:洋画(12~)
8月に観た映画は、まだ4作品だけだった。
なかなか増えない。二回に分けて紹介する。



「一度も撃ってません」

東京に残る昭和の飲み屋や喫茶店、そして寡黙なポパイと呼ばれるマスター、寡黙なパーテンダー、紅糟の妻、暗黒街と繋がるヤメ検、「人生最後の悪あがき」と嘯く元女優、それらしい臆病な殺し屋、それらしくないホントの殺し屋、東京の午前零時の雑多な姿が未だ映画になるかも知れないとコメディに仕上げた。秀逸なコメディにはなったけど、もはや北方謙三は、これを舞台に、小説を書けない、だから水滸伝に向かったのだととも確信した夢のような作品でした。

原田芳雄揮毫の「y/z」というバーは、多分ホントにあるのだろう。コロナ禍の元、どうなっているんだろ。


Introduction
市川進、御年74歳。彼は巷で噂の伝説のヒットマンだ。……というのは、まったくの嘘!
本当の正体は、理想のハードボイルドを極めるただの小説家だった!――

日本映画界を代表するバイプレーヤーの石橋蓮司が、阪本順治監督(『大鹿村騒動記』『半世界』)の熱いラブコールを受けて19年ぶりに78歳で映画に主演。ハードボイルド・スタイルで夜の街をさまよう、完全に「時代遅れ」の主人公を渋く、そしておかしみたっぷりに演じる。

共演には、妻役の大楠道代をはじめ、夜な夜な市川のもとに集まる怪しげな友人役に岸部一徳と桃井かおり。「探偵物語」の丸山昇一が描く最高にしゃれたオリジナル脚本を得て、実力派レジェンドたちの夢の共演がここに実現した。
本作の魅力はそれだけではない。いまや日本映画を牽引する主演級の役者陣もこぞって参加。佐藤浩市、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡、井上真央、さらに柄本佑、寛 一 郎など
「令和」を担う若き俳優たちなど世代を超えたガチの演技合戦も見物だ。

人生最期の究極の「こだわり」を「かっこいい」とするか「悪あがき」と呼ぶか――。
いまだ青春時代を忘れられない大人たちの、「おかしみ」と「愛らしさ」たっぷりな「ハード(ト)ボイルドコメディ」が、2020年ゴールデンウィークに「心を撃ち抜く」映画になること間違いなし!

(ストーリー)
大都会のバー「Y」で旧友のヤメ検エリート・石田や元ミュージカル界の歌姫・ひかると共に夜な夜な酒を交わし、情報交換をする。

そう、彼は巷で噂の「伝説のヒットマン」だ。
今日も「殺し」の依頼がやってきた――。

がしかし本当の姿は…ただの売れない小説家。

妻・弥生の年金暮らし、担当編集者の児玉からも愛想をつかされている。

物語のリアリティにこだわり過ぎた市川は「理想のハードボイルド小説」を極めるために、密かに「殺し」の依頼を受けては、本物のヒットマン・今西に仕事を頼み、その暗殺の状況を取材しているのだった。

そんな市川に、ついにツケが回ってきた。

妻には浮気を疑われ、敵のヒットマンには命を狙われることに!

ただのネタ集めのつもりが、人生最大のピンチ。

「一度も撃ったことがない」伝説のヒットマンの長い夜が、始まる。

2020年8月9日
シネマ・クレール
★★★★


「ANNA アナ」

私の生涯マイベストに「レオン」がある。少女が果敢に理不尽な悪に挑み、無骨な不良がそれを助ける。やがて、ヒロインから見事に世界のトップ女優に変身したナタリー・ポートマンは、リュック・ベンソン監督の世界観を否定する。「少女にあんなことをさせるべきではない」と。

今回のアナは、もはや少女ではない。それだけに、暴力性は「レオン」の比ではない。だから、その比較で言えば「若い女性にあんなことをさせるべきではない」のかもしれない。しかし、それに似ているからこそ「レオン」に似た「新ヒロインに対する見守り感」が出現し、最後は「良かったなあ」と感じた。

まるで「マトリョーシカ」のように、次から次へとたましとおすスパイの世界を、ロシア崩壊直前の西欧に舞台を移し、ノンストップで見事なエンタメ作品を作った。どうしてこれが単館上映なのか、不思議でならない。

(解説・ストーリー)
『ニキータ』『レオン』『LUCY/ルーシー』に続き、
リュック・ベッソン監督が〈闘うヒロイン〉で放つ
ノンストップアクションエンターテインメント!

世界を操る2大組織KGBとCIAの脅威と化した頭脳明晰で驚異の身体能力を誇る最強の殺し屋アナに成功確率0%の究極のミッションが待っていた!!
 1990年、ソ連の諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋、アナ。美しきファッションモデルやコールガールなど複数の顔を持つ彼女の使命は、国家にとって危険な人物を次々と消し去ること。その明晰な頭脳とトップクラスの身体能力を駆使して、国家間の争いを左右する一流の暗殺者へと進化を遂げるアナ。そんな中、アメリカのCIAの巧妙な罠にはめられたアナは、捜査官レナードからCIAに寝返れという驚愕の取引を迫られる。だが、二重スパイという最大の試練を前にしたアナは、さらなる覚醒を果たし、世界の命運を握る2大組織の脅威へと化していく──。
 『ニキータ』『レオン』『LUCY/ルーシー』で魅力的な〈闘うヒロイン〉を世に送り出し、『TAXi』『トランスポーター』『96時間』シリーズをプロデューサーとして世界的大ヒットへと導いたリュック・ベッソンが、本作では監督・脚本・製作を担当。映画への深い愛と冒険心に溢れた初期作品のスタイルとテーマに自ら回帰し、フルスピードで展開する行先不明のストーリーと、武器を持たずに敵地へ乗り込んだアナが5分で40人を倒すなど、リアルかつ壮絶なファイティングシーンを完成させた。
スーパーモデルからアクションスターへ!
オスカー女優と実力派俳優との華麗なる競演で誰もが爽快に騙される結末が完成!
 主人公のアナには、16歳でランウェイデビューを果たし、シャネル、ディオール、ヴァレンチノなどハイブランドのモデルを務めるロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルス。1年をかけてマーシャルアーツを学び、『ジョン・ウィック』シリーズでも話題の〈ガン・フー〉をマスターし、レストランではグラスに皿、フォークまでを駆使して息をのむアクションシーンを成し遂げた。本来のキャリアであるファッションモデルの華麗なお仕事シーンとのギャップで、観る者を楽しませてくれる。
 殺し屋としてアナを育てたKGBの上司オルガ役には、『クィーン』でアカデミー賞を受賞したヘレン・ミレン。ヘアメイクと眼鏡、完璧なロシア訛りで毒舌捜査官に変身、パワハラ上司が少しずつアナに愛情を感じていく様をウィットに富んだユーモアを添えて演じた。スカウトしたアナと恋におちる肉体派のKGB捜査官アレクセイには『ワイルド・スピード ICE BREAK』のルーク・エヴァンス、アナを寝返らせる頭脳派のCIAエージェントのレナードには『ダークナイト』のキリアン・マーフィ、他にも『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』のアレクサンドル・ペトロフ、ロシア生まれのファッションモデルで本作がスクリーンデビューのレラ・アボヴァと、独自の世界を切り開く個性派が顔をそろえた。
 撮影監督は『フィフス・エレメント』でセザール賞に輝いたティエリー・アルボガスト、音楽には『グレート・ブルー』で同賞を受賞したエリック・セラと、初期のフィルモグラフィからベッソンを支える一流スタッフが集結した。
 二重スパイの果てにCIAエージェントのレナードによって、KGB長官暗殺作戦に引きずり込まれるアナ。この成功確率0%の究極のミッションを前に、必ず生き抜くと誓ったアナが見つけた、2大組織を出し抜く道とは──? すべての予測を爽快に裏切るノンストップ・アクションエンターテインメントが誕生した!

2020年8月16日
シネマ・クレール
★★★★






最終更新日  2020年09月08日 23時18分51秒
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2020年08月08日
カテゴリ:洋画(12~)
後半の3作品です。


「名もなき生涯」
1943年8月9日、オーストリアの1人の農夫が処刑された。罪名は、兵役拒否。あのドイツにも良心的兵役拒否制度がなかったわけではない。病院勤務に移ることも可能だった。しかし彼は拒否する。何故ならば、そのためには「ヒトラーへの忠誠を誓う」ことが必要だったから。人を殺すのがイヤだから拒否したのではない。ヒトラーの戦争は間違っている、と思い、それを誤魔化すことができないから処刑されたのである。
軍事法廷判事(ブルーノ・ガンツ)が、何故そこまでの信念を持つのか、個人的に聞く。彼は云う。「わからない。人間は間違うこともある。けれども。私のフィーリングがそう命じている。信念を曲げるなと」
手練れた監督ならば、30分有れば感動的な話を作れると思う。しかしテレンス・マリック監督は、奇跡のような雲の上の高原の村の風景から始まり、彼ら夫婦の表情の一つ一つを撮り続ける。結果、3時間近い大作になった。正直少し退屈した。しかしこれこそがテレンスなのだ。
名は「フランツ」と、作品中で呼ばれていて、はっきりとしている。そんなに有名ではないかもしれないが、知る人ぞ知る名前だろう。何故この題名が選ばれたのか、それは最後のジョージ・エリオットの引用句で明かされる。その言葉に如何にハッとするかで、この作品の印象は、大きく変わると思える。
(解説)
伝説の映像作家テレンス・マリック、初の実話映画化
今、伝えなければと巨匠を駆り立てた〈名もなき生涯〉とは――?愛と信念でナチスに立ち向かった男を描く一大ヒューマン・ドラマ
五感を揺さぶる唯一無二の映像体験によって観る者を別次元へと誘い、今や生ける伝説と呼ばれる映画監督、テレンス・マリック。『天国の日々』(78)でカンヌ国際映画祭監督賞、『シン・レッド・ライン』(98)でベルリン国際映画祭金熊賞、『ツリー・オブ・ライフ』(11)でカンヌのパルム・ドールを受賞し、アカデミー賞監督賞にも2度ノミネートされるなど、確固たる称賛と評価を贈られてきた巨匠だ。
そんなマリックが、最新作では長編映画監督としての46年のキャリアの中で、初めて実在の人物を描く。第二次世界大戦時、ドイツに併合されたオーストリアで、ヒトラーへの忠誠と兵役を拒絶し、ナチスに加担するより自らの信念に殉じることを選んだ、フランツ・イェーガーシュテッターという一人の農夫の生涯を、自らの映像に刻みつけることを切望したのだ。
2019年、カンヌ国際映画祭公式上映において世界初披露されるや、鳴り止まぬ歓声を浴び、「人間の内面を豊かに描いた作品」に贈られる、エキュメニカル審査員賞を見事に受賞した。自身の最高傑作を塗り替えたという絶賛の声とともに送り出された、映画史に重要な足跡を残す一本が、ついに日本にもやって来る。 見事に受賞した。自身の最高傑作を塗り替えたという絶賛の声とともに送り出された、映画史に重要な足跡を残す一本が、ついに日本にもやって来る。
ヨーロッパの名優たちが知られざる人々を〈生きる〉平和への祈りが心を震わす、かつてない感動の物語
オーストリアの山と谷に囲まれた美しい村で農夫として働くフランツは、妻のファニと3人の娘と、穏やかで幸せな暮らしを送っていた。けれども、第二次世界大戦の戦火が日々激しくなり、フランツにも召集令状が届く。基地に出頭したフランツは、ヒトラーへの忠誠を誓う署名を頑なに拒み、直ちに収監される。非国民と責められ、孤独に耐えながら裁判を待つフランツを、ファニは手紙で優しく励ますが、彼女自身も村で裏切り者の妻としてひどい仕打ちを受け始める──。
フランツには、ヨーロッパで数々の賞に輝き、『イングロリアス・バスターズ』で国際的に注目されたアウグスト・ディール。マリック監督のたっての希望から主演を務め、罪なき人々が殺される戦争への憤りを強い眼差しで表現する。ファニことフランチスカには、『エゴン・シーレ 死と乙女』でオーストリアの栄えある賞を受賞したヴァレリー・パフナー。ひたむきな瞳が、愛とは相手のすべてを尊重することだと教えてくれる。さらに、先ごろ亡くなったヨーロッパ映画界最高峰の名優、『ヒトラー ~最期の12日間~』のブルーノ・ガンツが、判事役でスクリーンに厳粛で深い感銘をもたらす。その澄み渡った音色に心洗われる音楽は、アカデミー賞に8度ノミネートされた『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のジェームズ・ニュートン・ハワード。
なぜ、政府や軍に脅されても市長や神父から説得されても、フランツは最期まで己の信念を貫き通したのか? そこで彼が見つめていたものは何だったのか。神の存在すら身近に感じさせるあまりにも美しい光と風景のなか、ファニとの愛に満ちた胸を震わす書簡を紐解きながら、人間の真実と尊厳に迫る。
世界に再び争いの季節の足音が響き始めた今だからこそ、76歳を迎えた巨匠が作家生命をかけて人々に問う。知られざる男の〈名もなき生涯〉を力強く崇高に描き切った、観る者の魂を揺さぶってやまない感動のヒューマン・ドラマ。
2020年7月26日
シネマ・クレール
★★★★


「カセットテープ・ダイアリーズ」BLINDED BY THE LIGHT
佐野元春のルーツがわかった。まるまるとんがった元春じゃないか。ならば、1981年にボクが元春にだけハマった理由がわかる。恋歌じゃ世界は歌えない。この歌は、僕らの世界を歌っている。若い時には、そういう時が必ずやってくる。(佐野元春はその後、リズム&ブルースを捨てて米国留学をしてしまう)
サッチャーとレーガミックスにまみれた1987年、移民排斥と解雇の嵐は、正に現代の世界であり、日本のプロトタイプでもある。その時代で、自分なりに道を見つけたジャベドの姿は、何処かに日本の突破口のヒントがあるのかもしれない。
別れ際にお母さんにプレゼントしたときのお母さんの表情にウルッと来てしまった。どうしてボクは、そういうことができなかったんだろう。
(解説)
原作はパキスタンに生まれ、現在は英国ガーディアン紙で定評のあるジャーナリストとして活躍し、自身もブルース・スプリングスティーンの大ファンであるサルフラズ・マンズールの自伝的な回顧録。
監督は『ベッカムに恋して』をはじめ多くのヒット作を生み出し、自身も原作者と同じ境遇のグリンダ・チャーダ。
もちろん劇中にはブルース・スプリングスティーンの歌詞とメロディーも満載。映画化に際してスプリングスティーン自身の協力のもと、おなじみの名曲群がふんだんに使用されるほか、なんと未発表曲も登場。
自分らしい生き方を見つけた時の歓びと興奮をロックに乗せて、誰もが走り出したくなる感動作!
(ストーリー)
1987年、イギリスの町ルートンで暮らすパキスタン移民の少年ジャベド。人種差別や経済問題に揺れる時代に、自分が暮らす町の人からの偏見や、パキスタン家庭の伝統やルールから抜け出したくてたまらない。ある日ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会い、彼の世界は180度変わり始める。
監督 グリンダ・チャーダ
出演 ヴィヴェイク・カルラ、クルヴィンダー・ギール、ミーラ・ガナトラ、ネル・ウィリアムズ、アーロン・ファグラ、ディーン=チャールズ・チャップマン、ロブ・ブライドン、ヘイリー・アトウェル、デヴィッド・ヘイマン
劇中で登場する
ブルース・スプリングスティーンの楽曲
■ ダンシン・イン・ザ・ダーク(Dancing In The Dark)
アルバム「ボーン・イン・ザ・USA(Born In The U.S.A.)」(1984年)
■ プロミスト・ランド(The Promised Land)
アルバム「闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)」(1978年)
■ 裏通り(Backstreets)
アルバム「明日なき暴走(Born To Run)」(1975年)
■ ザ・リバー(The River)
アルバム「ザ・リバー(The River)」(1980年)
■ 涙のサンダー・ロード(Thunder Road)
アルバム「明日なき暴走(Born To Run)」(1975年)
■ バッドランド(Badlands)
アルバム「闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)」(1978年)
■ カヴァー・ミー(Cover Me)
アルバム「ボーン・イン・ザ・USA(Born In The U.S.A.)」(1984年)
■ 明日なき暴走(Born to Run)
アルバム「明日なき暴走(Born To Run)」(1975年)
■ 闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)
アルバム「闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)」(1978年)
■ ハングリー・ハート(Hungry Heart)
アルバム「ザ・リバー(The River)」(1980年)
■ ビコーズ・ザ・ナイト(Because The Night)
ボックス「闇に吠える街~The Promise: The Darkness on the Edge of Town Story」(2010年)
■ ジャングルランド(Jungleland)
アルバム「明日なき暴走(Born To Run)」(1975年)
■ 光で目もくらみ(Blinded By The Light)
アルバム「アズベリー・パークからの挨拶(Greetings From Asbury ParkNew Jarsey)」(1973年)
■ 独立の日(Independence Day)
アルバム「ザ・リバー(The River)」(1980年)
■ 暗闇へ突走れ(Prove It All Night)
アルバム「闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)」(1978年)
■ アイル・スタンド・バイ・ユー(I'll Stand By You) 未発表曲
上映時間:117分
2020年7月30日
TOHOシネマズ岡南
★★★★



「コンフィデンスマンJP プリンセス編」
嘘から出た真(まこと)を、真からやるのかと思っていたら、まさかのすべての作り事だった。最後の最後で「破綻」はないことは分かったが、危ない橋だし、結局ダー子の取り分はどうなるの?それで満足できるの?
最後で脚本を書き換えたとしか思えない。でも、破綻しているでしょ?
三浦春馬が生き生きと演じているのが、なんか不思議な気分。
(解説)
2018年に放映されたドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版シリーズ第2弾。香港でし烈なだまし合いを繰り広げた詐欺師たちが、今度は大富豪一族が抱える遺産を狙う。シリーズの演出・監督を務めてきた田中亮がメガホンを取る。ダー子、ボクちゃん、リチャードを演じる長澤まさみ、東出昌大、小日向文世のほか、竹内結子、江口洋介、広末涼子らシリーズに登場した面々に加え、ビビアン・スー、北大路欣也、デヴィ・スカルノらが新たに出演する。
(ストーリー)
世界屈指の大富豪として知られるレイモンド・フウ(北大路欣也)が逝去し、彼の子供たちのブリジット(ビビアン・スー)、クリストファー(古川雄大)、アンドリュー(白濱亜嵐)が遺産をめぐってにらみ合うが、相続人として発表されたのは所在のわからない隠し子のミシェル・フウだった。すると、10兆円とされるばく大な遺産を狙うため、世界各国から詐欺師たちが集まりミシェルを装う事態になり、信用詐欺師のダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)もフウ家に潜り込む。
キャスト
長澤まさみ(ダー子)
東出昌大(ボクちゃん)
小手伸也(五十嵐)
小日向文世(リチャード)
織田梨沙(モナコ)
関水渚(コックリ)
瀧川英次(ちょび髭)
前田敦子(鈴木さん)
ビビアン・スー(ブリジット・フウ)
白濱亜嵐(アンドリュウ・フウ)
古川雄大(クリストファー・フウ)
滝藤賢一(ホテルの支配人)
濱田岳(ユージーン)
濱田マリ(ヤマンバ)
デヴィ・スカルノ(元某国大統領夫人)
石黒賢(城ケ崎善三)
生瀬勝久(ホー・ナムシェン)
柴田恭兵(トニー・ティン)
北大路欣也(レイモンド・フウ)
竹内結子(スタア)
三浦春馬(ジェシー)
広末涼子(韮山波子)
江口洋介(赤星栄介)
スタッフ
監督
田中亮
脚本
古沢良太
音楽
fox capture plan
主題歌
Official髭男dism
2020年7月30日
TOHOシネマズ岡南
★★★







最終更新日  2020年08月08日 20時41分04秒
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2020年08月07日
カテゴリ:洋画(12~)
七月に観た映画は、少し鑑賞ペースが復活して6作品、まだまだいつもの調子ではない。でも少しずつ心と身体を治して(直して?)いきます。二回に分けて紹介する。


「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
コロナ禍で、すっかり映画館に行かない生活が身についてしまった。一旦足が遠退くと、なかなか一歩が踏み出せない。私の悪い癖だ。ブリがついたら、また始まると思う。そういうわけで、今年のアカデミー賞の一端を賑わせた(衣装賞)今作を見ることにした。19世紀初めの北部アメリカの雰囲気がよく現れている。
邦題から、てっきり原作者の半生を「若草物語」になぞりながら作ったオリジナル脚本かと思いきや、思いっきりオルコット原作の脚色だった。だったら、「新・若草物語」とでもしてくれたらよくわかるのに。
最終シークエンスにおいて、これが一種の少女たちの理想姉妹物語の反映だとわかる。結婚、理想、恋愛、女性の理想を、ほとんど大きな葛藤もなく、妹の病死はあるが、悪い人は出てこないで着地する。「姦(かしま)しい」とは、こういうことを言うのか、とも分かる。
(ストーリー)
しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、アクティブな次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、ピアニストの三女ベス(エリザ・スカンレン)、人懐っこくて頑固な四女エイミー(フローレンス・ピュー)、愛情に満ちた母親(ローラ・ダーン)らマーチ一家の中で、ジョーは女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く。ジョーは幼なじみのローリー(ティモシー・シャラメ)からの求婚を断って、作家を目指す。
(キャスト)
シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメ、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、エマ・ワトソン、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ、ルイ・ガレル、クリス・クーパー、ボブ・オデンカーク、ジェームズ・ノートン
(スタッフ)
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
原作:ルイザ・メイ・オルコット
製作:エイミー・パスカル、デニーズ・ディ・ノヴィ、ロビン・スウィコード
音楽:アレクサンドル・デスプラ
衣装:ジャクリーン・デュラン
2020年7月7日
MOVIX倉敷
★★★★



「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」
老いてなおみずみずしい感性を持とうとするウディ・アレン監督の脚本に驚嘆するばかり。
ミューズはミューズとして輝きながら、今回は美しい青年のみずみずしさにヒューチャーした。
アシュレーもギャッビーも、若き日のアレン監督さえ出てくる様なそんな遊びを見せながら、母親の出自を知った後の、彼の軽い自由さが心地よい。高等遊民の何処が悪い。その成れの果てのアレン監督自身が、その価値を証明している。
STORY
学校の課題として著名な映画監督ローランド・ポラード(リーヴ・シュレイバー)のインタビューをマンハッタンですることになった大学生のアシュレー(エル・ファニング)。彼女と恋人のギャツビー(ティモシー・シャラメ)は、それを機に週末をマンハッタンで楽しむことに。ニューヨーカーのギャツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーに街を案内しようと張り切るが、ポラードに新作の試写に誘われた彼女が約束をキャンセルするなど、次々と予想もしていなかった出来事が起きる。
キャスト
ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウ、ディエゴ・ルナ、リーヴ・シュレイバー、アナリー・アシュフォード、レベッカ・ホール、チェリー・ジョーンズ、ウィル・ロジャース、ケリー・ロールバッハ
スタッフ
監督・脚本:ウディ・アレン
製作:レッティ・アロンソン、エリカ・アロンソン
共同製作:ヘレン・ロビン
製作総指揮:アダム・B・スターン、ハワード・フィッシャー、ロナルド・L・チェズ
撮影監督:ヴィットリオ・ストラーロ
美術:サント・ロカスト
編集:アリサ・レプセルター
衣装:スージー・ベンジンガー
キャスティング:パトリシア・ディチェルト
上映時間
92分
2020年7月18日
MOVIX倉敷
★★★★
https://longride.jp/rdiny



「精神0」
前半は「精神」の様な緊張感ある映像が続く。どう緊張感があるか、というと、次々とやってくる患者さんたちは一見して普通の人と変わらない、ところが、一様に山本先生が辞められてしまうと明日から私はどうしたらいいのか、と不安を語り、あるいは十数年の診察に感謝する。緊張感持って観察していると、患者が何処かに病気を抱えていて、十数年間でやっとここまで普通に話すことができるようになったのだと納得する。
映画冒頭、おそらく県立図書館で開かれた退任記念の講演会映像がある。山本先生は云う。「この前身体の不具合があって、朝食や昼食食べるのも面倒になって軽い鬱のようになった。すると子供たちが、身体を動かさないと病気になるよ、食事を取らないと悪くなるよ、と云う。それができないから、こんなになっているんだ、と言いたかった。患者たちは、ホントにすごいと思う。ずっとこんな理不尽な周りの声に堪えてきたのだから」改めてホントにそうなんだなあ、こういう先生だから信頼を勝ち得ているんだな、と思った。
後半は、しかし認知症になった妻のために、寄り添いながら退官してゆく山本先生の姿、奥さんの容子さんのことをゆっくりと追う。時々12年前の元気な頃の奥さんの映像が挟み込まれる。見事に容貌が変わっている。現在は、一言で言えば貌がむくれている。今はすべての食事は、山本先生が買うか、貰っている。そのせいか、純粋に病気のせいなのか、奥さんは言葉少なになり、ゆっくりと老いていた。昔は先生の方が老けていたのに。それでも、2人は仲睦まじい。近所の奥さんの話友が見事に、60年間の夫婦生活を見せていた。
観察映画第九弾らしいが、ベスト3に入る傑作である。
introduction
「こころの病」とともに生きる人々がおりなす悲喜こもごもを鮮烈に描いた『精神』から10年—
映画作家・想田和弘が、精神科医・山本昌知に再びカメラを向けた
ベルリン国際映画祭をはじめ世界で絶賛された『精神』(08年)の主人公の一人である山本昌知医師が、82歳にして突然「引退」することになった。山本のモットーは「病気ではなく人を看る」「本人の話に耳を傾ける」「人薬(ひとぐすり)」。様々な生きにくさを抱えた人々が孤独を感じることなく地域で暮らしていける方法を長年模索し続けてきた。彼を慕い、「生命線」のようにして生きてきた患者たちは戸惑いを隠せない。引退した山本を待っていたのは妻・芳子さんと二人の新しい生活だった…。精神医療に捧げた人生のその後を、深い慈しみと尊敬の念をもって描き出す。
病とは、老いとは、仕事とは、夫婦とは、
そして愛とは何か?
想田和弘監督自身が「期せずして“純愛映画”になった」と語る本作は、第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門〈エキュメニカル審査員賞〉を受賞。また、ニューヨーク近代美術館(MoMA) Doc Fortnight 2020のセンターピースとして上映されること早々に決定した。『港町』『ザ・ビッグハウス』を経て、さらに深化した「観察映画」の最新作は、そう、愛の物語だ。
2020年7月19日
シネマ・クレール
★★★★★
https://www.seishin0.com/







最終更新日  2020年08月07日 10時48分31秒
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2020年07月25日
カテゴリ:洋画(12~)

「火車 Helpless」

2012年作品。宮部みゆき「火車」が原作の韓国映画作品。宮部みゆき女史がロングインタビューで「映像化No.1」と言っているのを読んで、観た。

「作品に対するアプローチが原作と全然違いますし、映像も素晴らしく美しくて、悲しい。ヒロインも素敵です」と女史は言う。
確かに中居主演の「模倣犯」はひどかった。「理由」も、途中まではよかったんだけど。ただ、「ソロモンの偽証」は頑張っていたと思う。あれより良かったんだろうか。テレビドラマの「火車」も酷かった。

結果としては、悪くはないという感じだった。
「ヒロインが素敵です」もしかしたら、これが1番女史の眼鏡に適ったのかもしれない。如何に原作に忠実に描いても、小説と映画では作法が違う。だとしたら、原作では最後に出てくるヒロインを最初から出して、じっくりとヒロインの演技を観た方がいいだろう。キム・ミニ(映画「お嬢さん」主演)は、幸せな恋人も、惨めな人生も、非情な部分も、全て演じ切った。「ソロモンの偽証」の中学生演技ではやはり女史の満足を取れなかったのかもしれない。映像で見せる映画ならば役者の熱演を見せるのが1番である。そして、韓国映画は、原作にはない「ラスト」を付け足した。確かにこうならざるを得ない部分はあるのだけど、日本人は受け入れることができるかどうか、微妙。

私の行ったことのある堤川が、わりとそのまま出てきて嬉しかった。日本人はほとんど知らないと思いますが、昔ながらの日本式家屋が現役のまま未だ多く残っていて凄いところなんです。

(2012年ヒョン・ヨンジェ監督作品 キム・ミニ、イ・ソンギュン出演)






最終更新日  2020年07月25日 23時52分49秒
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2020年06月23日
カテゴリ:洋画(12~)
今月の映画評です。

「バイス」
 「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」ディック・チェイニーの半生を描いた作品を紹介します。9.11の後に「テロとの戦い」を口実に、影の大統領としてブッシュ大統領を差し置きアメリカを操り、強権を発動、バクダッドに、侵攻し、平和と民主主義を破壊した男です。数万の犠牲者を出しただけでなく、自分の会社に莫大な利益をもたらしています。「バイス」とは、〈副〉大統領を表すとともに、〈悪徳〉をも意味するそうです。

 バッドマン俳優のクリスチャン・ベールが20キロ増量してチェイニーの役をつくりました。エイミー・アダムスがその彼をさらに陰で操る妻リンを演じ、オスカー俳優のサム・ロックウェルが頭が空っぽのブッシュ大統領を演じています。その他、ラムズフェルド国防長官(スティーヴ・カレル)、ライス国務長官(リサゲイ・ハミルトン)も、皆んな本人と見間違うほどの特殊メイクと演技で、とってもリアルでした。

 冒頭において、「これは真実の物語である」と宣言します。ただし、事実だけどチェイニーは秘密主義だったので、わからない所は断っていると言っています。例えば一旦断った副大統領職を夜中の妻との会話の中で引き受けることにする場面は、何処にも記録がないのでわかりません。けれども「影の大統領誕生」の重要な場面ので、シェイクスピア劇みたいにして演出しました。楽屋落ち含めて、様々な描き方で、嘘で戦争に突き進んだ現代史を、立体的に創造しています。結果的に、ドキュメンタリーのようなドラマになりました。これを観るとアメリカ現代史(70年から2000年代)に詳しくなります。

 コメディ映画部門で、昨年度のゴールデングローブ作品賞を獲りました。確かに笑いもありますが、それは「こんなに酷かったのか!」ということを知る「知的笑い」です。ラストシークエンスを忘れずに見てください。この映画をまとめるシーンがありますが、共和党支持者が「これはリベラルのプロパガンダだ」と非難します。そういう彼も、作品の事実は認めているのです。プロパガンダで何処が悪い。「表現」とは、そもそもそういうものだと、私は思います。翻って、イラク戦争開始日に「アメリカの武力行使を理解し、支持します」という声明を出した小泉元首相のことを描いた日本映画は、未だに作られていません。あれこそ、「真実の物語です」と宣言して、コメディ映画として上手く作れると思うんだけど。(2019年米国アダム・マッケイ作品、レンタル可能)






最終更新日  2020年06月23日 18時27分39秒
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