テーマ:政治について(20207)
カテゴリ:音楽・映画・アート
NHKスペシャル「世界に響く歌 ~日韓POPS新時代」を見ました。
1980年代の台湾ニューシネマ(侯孝賢や楊徳昌)もそうですが、 2000年代以降の韓ドラやK-POP(冬ソナやBTS)も、 国家的な文化事業が成功した結果だったのね…。 かたや日本の場合、 今回のYOASOBIの「アイドル」がアニソンだったことを考えると、 日本の文化政策が基幹産業に位置づけるべきなのは、 映画や音楽ではなく、やっぱりアニメなのかなあ…と思う。 ◇ ひとたび海外でアニメ作品がヒットすれば、 それにともなってアニソンや劇伴音楽も輸出できるし、 さらには実写映画化、演劇化、ゲーム・玩具化、 あるいは出版・ノベライズ化などによって、 周辺産業にまで海外展開の可能性がひろがるし、 もちろんライセンスの使用権を輸出することもできる。 アニメに登場するシーンが、 海外からの観光客の「聖地巡礼」を促すことも、 ファッションや食品の輸出増につながることもある。 ジブリパークのような施設さえ輸出できるかもしれない。 ◇ 国家的な文化政策としては、 助成制度、受賞制度、教育制度などを整備する、 …みたいな方法もありますが、 たとえば、 ブラック労働を強いられてる末端のアニメーターを、 経済的な面から支援していくだけでも、 産業全体の底上げになるんじゃないかと思います。 ソニーや東宝のような国際企業を通じて、 海外の市場調査・マーケティングをしていくのも重要になる。 ◇ …さて、 ここからは昨年末の紅白についての話です。 ジャニーズを排除したぶんK-POP勢が増えて、 いろいろと賛否両論もあるのだけど、 わたし自身は、なんだかんだで、 やっぱりK-POPのパフォーマンスの実力を見せつけられ、 日本のアイドルとの差を痛感させられた感じ。 ◇ 文化の違いといえばそれまでだけど、 K-POPのグループには、 音楽とダンスを一体的な作品として見せる発想があって、 わたしみたいに個々のメンバーに興味のない人間でも、 そのパフォーマンスの魅力は十分に伝わってくる。 わたしは、 K-POP勢にアイドル的な興味はもってないし、 そもそもメンバーの名前もまったく知らないけど、 それでもBTSやTWICEのパフォーマンスには魅了されます。 今回の紅白でも、 SEVENTEENやNewJeansのパフォーマンスに惹きつけられた。 ◇ ダンスの技術にかんしては、 日本人と韓国人の筋力の差ってのもあるだろうけど、 それ以上に重要なのは、 やっぱり振り付けやプロデュースの方法じゃないかな。 SEVENTEENなどは、 「自分たちで振り付けをした」と言ってましたが、 音楽とダンスの相乗性が高くて、 テレビの生パフォーマンスでも映えるように、 視覚的な効果がよく考え抜かれている。 YOASOBIの「アイドル」のときにも、 日韓のアイドルが代わる代わる踊ってたけど、 やっぱり日本勢より韓国勢のダンスのほうが映えます。 日本勢で対抗できるのはPerfumeぐらいじゃないかしら? ◇ 日本のアイドルグループの場合は、 個々のメンバーをアピールすることが主目的で、 ダンスはそのための手段でしかないように見える。 旧ジャニーズやAKBのパフォーマンスを見てても、 ダンスそのものの魅力を感じることはほとんどない。 個々のメンバーに興味がなければ、 パフォーマンスそのものはちっとも魅力的に思えない。 これは子供の学芸会と同じことで、 親たちは大喜びしてるけれど、 無関係な第三者から見たら、 ただの取るに足らないお遊戯でしかないってこと。 この点が世界市場にアピールするか否かを分けていると思う。 ◇ もちろん、 今後も日本のアイドルグループが、 国内のガラパゴス的な市場だけで活動していくのなら、 それもまたひとつの文化だとは思うけど、 NHKの紅白歌合戦が、 そういうガラパゴス的な文化を披露する場なのか、 それともボーダレスな文化に開いていくべきなのか、 そこは判断の分かれていく部分になる。 おそらく、 ボーダレス化を拒否して、 あくまでガラパゴス的な文化の存続を望むのは、 おもに40代以上の世代だろうと思うけど、 コンテンツの未来を考える上では、 そういう層は無視すべきじゃないかって気もする。 ◇ 先日、ネットニュースを見てたら、 AppBrew「今なりたい顔」ランキングってのがあって、 ↓どれだけ信用できる調査かは知らないけど、 https://news.mynavi.jp/article/20231220-2844783/ どうやら日本の10代・20代の女子は、 みんな「韓国アイドルみたいな顔になりたい!」と思ってるらしい。 あまりの隔世の感に驚いてしまいましたが、 若い世代はあきらかにボーダレス化のほうに向かっていて、 日本のガラパゴス化なんてぜんぜん望んでないのでしょう。 ◇ 来年の紅白には、 旧ジャニーズ勢もすこし戻ってくるだろうけど、 ふたたびガラパゴス的なイベントへ逆戻りするのなら、 紅白という番組自体を存続させる意義も薄いかなと感じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.01.18 04:51:05
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