「優維香も甘すぎるよ~~。もぅ~~。」
「優維香も甘すぎるよ~~。もぅ~~。新人にはすぐそれなんだから~~。…って言っても。2年目だぞ~~。」その声に、「ん~~~。まっ、確かにね~~。」別のファイルの資料を見ながら、「甘過ぎる…、かも、知れない。…んだけど~~。まっ。頼られるとね~~。…ってか、逆に、今までの新人さん。ここ数年、人を頼らずに…。しかも…、それでいて、自分で失敗して辞めてった人、いるから、さぁ~~。そういう意味では、分かんない事があれば、どんどん…。」そこまで言って優維香、頭を傾げて、そして苦笑いをして、「まっ。どんどん頼って…、と、言うのも…どうかな…???…と、思うんだけど…。自分から真っすぐにぶつかって。その挙句に失敗して潰される。しかも…、落ち込んで。…その落ち込みも誰にも相談しない。後はもぅダメ。私、この仕事、向いていない、辞めます。じゃ~~、世間様には筋が通らないでしょ。ま。実際、そういうのも2年も続けば…。まっ、確かに。全員ではないにしろ。」「ふん。まっ。確かにね~~。それにしても、友也君の場合、甘え過ぎでしょ。何かって言ったら、すぐに~~~。」そんな悠里に優維香、「でもさ~~。彼の場合、結構~~。男子としては、仕事は…。う~~ん。…でも、気は利く方だよね~~。そういう意味で、私、個人的には、嫌いにはなれない…かな~~~。」「出た出た~~。さすがに、入社2年目でいきなりチーフに抜擢。さっすが~~。」そんな悠里に優維香、「な~~に言ってんだか~~。それよりも、蓼科(たてしな)工業のデザインのレイアウト、どうなってるぅ~~。確か、今日の午前中までって、約束でしたけど~~。」悠里、「はいはい。朝からやってますよ~~。滅茶苦茶注文付けちゃってくれてますから~~。予算なんてクソくらえ。」「そこを何とかするのが悠里、あなたの腕前~~。かかか、見せてよね~~。」ニコニコ顔で優維香。「はいはい。承知致しました~~チーフ殿~~~。」そして悠里、傍らのカフェオレを一口。「けどさ~~。」その声に優維香、「ん~~~???」「櫻田(さくらだ)リーダーが抜けたって言うのは…。この穴、おっきぃよね~~~。」優維香も、「う~~ん~。確かにね~~。営業から企画まで、何でも出来る人だったから~~。」ふたりが言う、櫻田と言うのは、トラディショナル事業部の、先月まで在籍していたリーダー格の女性である。一大決心で、オーストラリア移住を決断。夫が元々オーストラリア人で日本に帰化したのではあるが…。父親の急逝で国に戻る事に。それに家族も同行。移住と言う事になった。悠里、「とにかく、痛いわ。あれだけ出来る人って、滅多にいないからさ~~。…って言うか、なんで、あぁいう人がもっと上に…???…と、私は思うけど…。」優維香、そんな声に、「まぁまぁまぁ。会社にもいろいろとあるんじゃないの~~。…まっ。確かに、今、リーダー不在って言うのは、実際、キツイ。」「だよね~~~。」「ヨォ~~。オス。頑張ってるか~~。」いきなり登場した男性。優維香も悠里も、「部長~~~。」そして、ふたり同時に、ペコリと、「お疲れ様です。」他のメンバーも、「お疲れ様で~~す。」優維香、「あ、あの。今、課長…、外回りで…。」「うん。あ~~。知ってる~~。うん。ちょっと戻り、遅くなるかな~~。」優維香と悠里、「は…、あ…。」「あ、でね。」そして部長と呼ばれたこの男性。真宮麟(まみやりん)と言う。「2つ程、伝達事項。」優維香と悠里、「あ、はい。」他のメンバーも…。トラディショナル事業部、メンバー、凡そ10数名。麟、「まず、そのひとつ目~~。…毎年、この時期に開催される、インテリア・ゴールデン・スタッフコレクションへの出品が、我がインテリアショップ・ジョエル・トラディショナル部門が選ばれた。」その瞬間、メンバーたち、歓喜。「わ~~~~。」優維香と悠里も、瞬間、「わ~~お。」「や~~り~~。」「まっ。確かに。櫻田が抜けた穴はとてつもなく大きい。」メンバーたち、その声に各々顔をコクリと。「うんうんうん。」「…けど…。そんな中だからこそ、君たちの今までのおっきなコミュニケーション能力発揮して、頑張ってもらいたい。そして、その出品のリーダーを。」麟、メンバー全員を見回して…。そして、「優維香。おまえに任す。出来るな。」優維香、思わず目を真ん丸に。悠里も同じく。そして、メンバーたちも、「や~~り~~。優維香~~。」「チーフ~~。」「チーフ、おめでとう~~。」麟、そんな声に嬉しそうに、そして、にこやかに。「と、言う事だ。頼むな。」そして、両手をパンパンと。「みんなも頼む。」メンバーたち、一斉に、「はい。」 好きになれない。 vol,007. 「優維香も甘すぎるよ~~。もぅ~~。」※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※