カテゴリ:ガーデンデザイン
私が現場から手を引いた理由。約10年、一通りの仕事を覚え閑をもらい、次男ということもあって30代の頃、独立の夢を持ち親元を離れた。その頃の私は6人で出資した会社をつくり其処に自分の身を置いていました。 自分で営業しながら現場を収めるという独立採算の方法で会社が元請けとして仕事を発注し、それを請けるというスタイルです。請けた仕事は責任を持ってこなします。2年目が過ぎた頃、2間ほどの竹垣の仕事が入り、当時先代と兄、私とで考えた創作御簾垣があったので写真と共に見積をもって客先に提示し、契約の後に製作した。 ところが、造った後、こんな連絡があった。「自分が望んだ竹垣と違う」と・・・自分が望んでいるのは普通の竹垣だという。説明が困難だったようで特長をいうと「そうそう、それそれ」。なんと建仁寺垣のことだった。すぐに建仁寺垣に作り直す。 契約も済み、提示もしているのに「何故なのか?」疑問を持ちながら涙ながらに造った垣根を壊した。「自分が勧め、自分の作ったものを自分で壊す」今までに無い憤りと落胆に陥り、このときから総ての現場から手を引き、足袋から靴へ、首にはネクタイを締め、二度と誤りの無いようにと設計と営業に徹するようになったのです。 その後、客先から聞いたことですが、どうやら友達が来て「こんな垣根見たこともないわ」と言われ「そう言われてみれば・・・」が何気ない変更の理由だったそうです。 自分が作ったものを壊す。つまり、自分の今までを壊すのと同じぐらいの衝撃、その後も繰り返し8年周期に自分を見直すきっかけにもなっています。
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おなじ「ものづくり」に関わる者として、
お気持を察します。 われわれにとって一番こわいのは、 このお客様の「友人」のような人種です。 根拠のない無責任なコメントをし、 新しいデザインを葬り去ろうとする。 困ったものです。 (2006年12月19日 16時09分06秒)
写真の竹垣とても涼やかでいいなぁと思いました。
御簾にはないさっぱりとした清涼感を感じます。 一本一本の竹の幅もとても考えられていると思いました。 私などからみれば、本当に作るという「意味」を考えられていて、ただただ敬服するばかりです。 現場作業をしていますと、営業とかはまた別の「人種」のように思われますが、「作る」という一点において同じことなのだとも思います。 (2006年12月19日 16時30分19秒)
れぢあ建築堂さん
>おなじ「ものづくり」に関わる者として、 >お気持を察します。 >われわれにとって一番こわいのは、 >このお客様の「友人」のような人種です。 >根拠のない無責任なコメントをし、 >新しいデザインを葬り去ろうとする。 >困ったものです。 ----- こんにちは、曇っているせいか冷えています。外は少し暗くなっています。 そうですね。予算の関係とか使われていないものの目は厳しいものがありますよね。でも、時々こうしたほうがよかったなんて現場で思うことがあります。 やっぱり現場は創作を超えてます。机の前で悩むより、現場に行くとそんなに悩むこと無かったりと・・・・・ (2006年12月19日 16時41分01秒)
フィトライフさん
>写真の竹垣とても涼やかでいいなぁと思いました。 > >御簾にはないさっぱりとした清涼感を感じます。 >一本一本の竹の幅もとても考えられていると思いました。 >私などからみれば、本当に作るという「意味」を考えられていて、ただただ敬服するばかりです。 >現場作業をしていますと、営業とかはまた別の「人種」のように思われますが、「作る」という一点において同じことなのだとも思います。 ----- ありがとうございます。 親子の結晶だったんですけどね~・・・・ 設計営業に徹するようになってから同じような経験をしています。そんな時は、ご心配なく「造るのは私ではないですから」って言っちゃうときがあります。最初は怖かったけど指導するうちに責任を持ってやってくれています。 (2006年12月19日 16時46分37秒)
私もお気持ち察しいたします。
私の場合は現場でしか残る道はないと思い、今で言うインフォームド・コンセントを作る立場ではなく 相手(顧客)の希望に少しでも沿うような庭つくりを 心がけてきました。あたたかいお言葉ありがとうございました。 エコ・ガーデン きのした (2006年12月19日 18時06分58秒)
バカボンのお庭1077さん
>私もお気持ち察しいたします。 > >私の場合は現場でしか残る道はないと思い、今で言うインフォームド・コンセントを作る立場ではなく >相手(顧客)の希望に少しでも沿うような庭つくりを >心がけてきました。あたたかいお言葉ありがとうございました。 エコ・ガーデン きのした ----- 私の場合、現場から手を引いても庭師の魂だけは大切に持ち続けていたいと思っています。 テーマ「手入れ基本」の時が一番盛り上がっていましたが自分で庭を造り、そして自分の手で手入れする。基本ですよね、何処にでも造れる場「庭」があるのに・・・・・ (2006年12月19日 18時27分18秒)
バカボンのお庭1077さん
>私もお気持ち察しいたします。 > >私の場合は現場でしか残る道はないと思い、今で言うインフォームド・コンセントを作る立場ではなく >相手(顧客)の希望に少しでも沿うような庭つくりを >心がけてきました。あたたかいお言葉ありがとうございました。 エコ・ガーデン きのした ----- 私の場合、現場から手を引いても庭師の魂だけは大切に持ち続けていたいと思っています。 テーマ「手入れ基本」の時が一番盛り上がっていましたが自分で庭を造り、そして自分の手で手入れする。基本ですよね、何処にでも造れる場「庭」があるのに・・・・・ (2006年12月20日 00時36分28秒)
15年も前の記事ですが、今の私の気持ちをえぐります。
何回やっても慣れません。自分の手で壊すことに。 かといっておざなりにも出来ません。 思い付きの変更を思いとどまらせるほどのものを作り 一言も口を挟めないほどのものを作れる日は来るのでしょうか。 それとも、そもそもそういう日は存在しないのでしょうか。 このところ発想すること自体に嫌悪感が伴うような感覚があり 恐怖を覚えています。 独り言ですみません。 (2021年05月11日 23時01分02秒) |
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