カテゴリ:哲学・思想
Century books 人と思想 148【後払いOK】【1000円以上送料無料】アドルノ/小牧治 小牧治「アドルノ」(Century Books―人と思想) 清水書院 1997年刊 1903年、フランクフルトに、ユダヤ系ドイツ人の裕福なワイン商人の一人息子として 生まれる。母は歌手、叔母はピアニスト。 アドルノの少年期の体験・・ ≪・・幼少のころからオペラに親しんだ。 まさに早熟の天才・・ のちほど、音楽に関してすぐれた論を展開するにいたったのは、 また彼の哲学が芸術的・音楽的な感覚をおびているのは、 この幼少からの天分や環境や体験によることが大きかったといえよう。 しかしユダヤ系市民の出であるこの少年は、彼の天分が豊かであればあるほど、 やがて、精神的な孤独・苦悩に見まわれねばならなかった。 そしてついには、ペシミズムに追いやられることにもなるのである。≫ 『ミニマ・モラリア』の「意地の悪い学友」でのアドルノの思い出によると、 少年時代・・1910年代後半には、ヒトラーユーゲントの先鋒ともいえる 意地の悪い学友を通して、すでにファシズムの到来を予期していた。 「どんな幸福もいつ取り上げられるか分からない一時の借り物」とみなすようになっていた。 ≪人間の熟練と知識とは分業によって分化してきたが、その人類は同時に、 より非人間的な状態へ押し戻される。 支配の持続は、生活が技術によって楽になってくる反面、より強い抑圧によって 本能の硬直をひき起こすからである。≫ ≪啓蒙は、さまざまの質から量への転換であった。 それは、自然の個別的・異質的なものの等質化であり、思惟の抽象作用による 普遍化・一般化である。・・ が、それとともに、今や事実的・現存的なものが唯一のものと見なされる。≫ ≪・・「啓蒙は神話へ逆転でする」。 現存する事実的なものの永遠化は、神話的な映像の深長な意味のなかにひとしく 言明され保証されているものなのである。≫ ≪さらに啓蒙は、運命とか宿命という概念を消去することを目ざした。 が、抽象作用によって個々の諸対象が持つ特殊性を精算してしまう限り、 それは個々の対象にとって、神話的運命を異なるところがない。≫ ≪「市民的な商品経済がひろまるにつれて、神話の暗い地平は、 計算する理性の太陽によって照らし出される」が、その氷のような理性の 光線の下に、新しい神話的な暗さや野蛮、恐怖が育ってくる。 合理的・啓蒙的な支配の強制の下に、人間の労働は、神話の外に連れ出されながらも、 支配の下で、つねにまたはかりしれない神話に引きこまれ、神話に左右される のである。≫ <目次> 音楽的な家庭環境 音楽と哲学 キルケゴール論―美的なものの構成 時代の波―私講師からイギリス亡命へ アメリカ亡命 啓蒙(文明)の野蛮化の省察―『啓蒙の弁証法』 ドイツ帰還 ミニマ・モラリア(小倫理学)―傷ついた生活裡の省察 音楽論 諸哲学思想に対する対応と批判 『否定弁証法』 学生との対決 悲劇的な死去と葬送 遺作、『美の理論』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.12.20 19:47:19
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