カテゴリ:哲学・思想
三原弟平「思想家たちの友情―アドルノとベンヤミン」 白水社 2000年刊 ≪人間のアポリアのひとつは、共生・群居のさなかにあって、 ひとりになりたいという強烈な思いと、 ひとりでは生きられない事実とのあいだに引き裂かれていることである。≫ バートランド・ラッセル曰く、 「人間はトラやライオンのように、たったひとりぼっちで生きて行くことはできない。 しかし人間はまたアリとかハチのように、もっぱら集団的に、社会的にだけ生きて行く こともできない。人間は半分社会的で、半分孤独な動物なのだ。」 「そしてほんとうによい社会とは、人間のもっている二つの面を同時に満足させてくれる ような社会でなければならない」 ≪・・ホッブスにせよ、スピノザ、バートランド・ラッセルにせよ、人間存在のアポリア から発しながら、彼らの思考はみな、ありうべき国家や社会論へと導かれていく。 ところが1933年以来、ベンヤミンもアドルノもクラカウアーも、 そうした社会や国家を失った亡命者として生きた。≫ ≪彼ら哲学者たちは、いっきょに社会や国家という抽象構造体におもむくが、 われわれにはそのまえに友情とか交友というかたちの具体的な生存圏があるわけで、 社会や国家を失ったベンヤミンたち亡命者は、そのぶん、友情というこの細い糸に いっそう頼らざるをえず、そこでは人間存在における友情の可能性、その強靭さや 屈撓性が試されることとなったのである。≫ <目次> 友情 自然の連関(ordo naturae) 往復書簡 癖物語 どこまでも追ってくる! その日の精神的気圧配置図 穴のなかの異端者たちの対話 間奏曲と前哨戦 悪友? ペリペティア(運命の急変)〔ほか〕 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.12.20 21:35:28
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