塩狩峠
塩狩峠三浦綾子 著新潮社文庫中学校の図書便りに紹介されていたこの本。何の予備知識もなく読みました。キリスト教信者が「ヤソ」と呼ばれ、世間からは疎まれていた時代、鉄道員であり、また熱心なキリスト教信者であったという男性をモデルに綴られた小説。人はなぜ生まれてきたのか。善悪とは何か。自分に何ができるのか。などなど、主人公信夫は心底真面目に悩み一歩一歩進む。人が生きていくということは、なんともどかしいことだろう。すべてが見渡せて、先を見越したり振り返ったりやり直したりできたらどんなに幸せになれるだろうか。しかしながら、私たちに見えるのは、「いまこのとき」だけなのだ。信夫と共に、心の旅が味わえる。こういう生き方もあるのか、と、この年になっても改めて思う。