Shionの部屋

以前、「雪の華」の紹介を書いたのですが、この本はそれと同じく、伊藤たかみさんという方の作品です。

この「ミカ！」という本に関しては、以前にタイトルを紹介して・・そういえば、そのまま放置しておりました
遅くなりましたが、感想を記しておきます。

第４９回小学館児童出版文化賞受賞作。
小学６年生の男女の双子、「オトコオンナ」と呼ばれるほど元気なミカと、ミカに比べたらちょっと気弱なユウスケの日常を、男の子・ユウスケの立場で書いたお話です。

著者の伊藤たかみさんにとっては２８歳のときの作品でしょうか。
正直申し上げて、私の感性ではお勧めいたしかねます。
以前、村山由香さんの「約束」という本を、中学受験に頻出の本、というコーナーにあったという理由だけで買ってきて後悔した、と書いたのですが・・それに近い感覚です。

しかし私の「おすすめ度」の脱力ぶりとは反対に、「中学受験模試の問題には使いやすそうだなあ。」という感覚もあり。（苦笑）
きっと短い文章の中に謎かけのように主人公の気持ちが綴られるこの物語は、試験の問題文にぴったりでしょう。
しかしながら、リアルな小学生の姿を知っている母親という立場で見ると、この物語に出てくる子供たちの姿は現実味に欠けるので、親子で夢中になって読める本だとはちょっと思えません。

あっと驚く謎解きが用意されているわけでも、すごい盛り上がりがあるわけでもないし、主人公たちがわかりやすい何かを乗り越えていく物語でもない・・。

それでも受験問題は解り易い文章の問題ばかりじゃありませんから（＝難解な物語にこと欠いて、受験問題に恩田陸のSF小説まで引っ張ってくる始末だし）、「いろいろなかたちの文章に触れる」という意味では、余裕のある子はこういう本に触れておくのも良いかも・・と思います。
主人公たちが６年生なので、６年生の子が対象の物語ですね。

この本を読んで、あらためて「雪の華」に目を通してみると、その洗練された文章に、伊藤たかみさんの進化を感じます。
こんなに丁寧に文章と向かい合われる方が、こんな荒削りな本（＝「ミカ！」）を書いた人と同じだなんて、ちょっと信じられません。
それだけ「雪の華」を書かれるまでに伊藤さんは文章を書くということを、高められたということでしょう。
この進化ぶりは、ちょっと興味をひかれます。
あともう１冊くらい、伊藤たかみさんの本を読んでみたいです。

個人的には、双子がかくまう動物が「謎の生物」であるのが惜しいと思いました。
子供って、こういう「スッキリしない、ごまかしのようなこと」をもっとも嫌うんですよね。（特に高学年。）
このような「謎の生物」という手が物語のツールとして通用するのは、せいぜい小学校３年生までだと思います。そしてそういう小さな子でも、謎が解決しない終わり方をすると、シビアに厳しい評価を下すものです。
子供をあなどってはいけません。（笑）
これが子猫か何か・・リアルに存在している生き物だったら、もっとぐっと、主人公たちが読者に近づいてくるのになあ、と残念に思いました。

そうそう、この本、図書館でハードカバー版を借りたのですが、すでに文庫化されているんですね。
文庫版へのリンクも、貼っておきますー。↓




・・余談ですが、日記の検索に「ミカ」と入れたら画像の２つ目にこれが・・。（↓）



名前が関連してただけだったのですが、おもわず日記を書く手を止め、クリックして詳細を見てしまいました。

自分、つくづく甘いモノ好きなんだな～、と、苦笑。
こんな調子で夏までにダイエットできるだろーか