風雲 いざなみ日記

「愛」ってなんだろう？


私には、口にするのも少々気恥ずかしくて抵抗がある言葉です。


サンケイ新聞の文化面、佐伯順子さんのコラムによれば、[現代語の愛は、聖書の愛という言葉に影響を受け、明治以後に一般化した言葉。　聖書は、「自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」と教える。　～以下略～　隣人（他者）愛があったならば、利益中心的な過ちを犯すことなく、先のJR事故は未然に防げたかも知れない。　また、逆に当事者でもなく、親類縁者でもない地域の人々が、自分たちの生活や仕事を棚上げにして、救助にあたった行為は、隣人愛の権化である。]と文中で述べ、　現代の日本では、この「愛」という言葉、映画や小説、ドラマ、コマーシャルにと安直に氾濫しながら、その言葉は実を伴っていないと文中で嘆いています。


「愛」ってなんだろう？　
「道徳心」、「善意」も、「愛」を根源にするものだと、私は思います。

愛という言葉を、誰もが軽々と口にし、まるで言葉や文字にすれば、幸せや平和が訪れる念仏であるかのように唱える社会風潮。　

けれども、不自由を感じ、難儀している人々に目を向ける人、気づく人、立ち止まる人、手を差し延べる人のなんと少ないことか・・・。　この国に愛はあるのかだろうかと疑いたくなります。

難儀している人々に目を向けた人、気づいた人、手を差し延べた人、そういう心ある人々は、「愛」などと言葉に発することなく人を救い、何らかの形で社会に貢献していることでしょう。

敗戦後の目覚ましい復興の中で、私達は繁栄と引き替えにして、日本人としての美徳を失いつつあります。　自己利益だけに関心を持ち、人を出し抜き、人の難儀している様を、自分に置き換えることのできない、或いは、そう感じようとしない人々が、同じ社会に増殖して来た昨今、この国はもはや、先進国でも文明国でもなくなりつつあるのでは・・・？