晴れ渡る空、そよそよと肌を撫で通って
午睡へと誘う風の心地よさ。
栴檀の、花の甘き香りの漂いたる初夏の午後。
渡津神之森(ワダツミノモリ)は、麗らかなり。
栴檀(センダン)の木は、紀州などには多く見られる樹木で、日本の温暖な地域の海岸近くや森林辺縁に自生しています。 背が高く、新芽の時期、初夏の花の時期、ヒヨドリが好む実を結んだ冬など。 栴檀は四季を通じて変化に富み、探しやすい樹木です。
新緑は鮮やかで、花は甘い香りを漂わせるため揚羽蝶などが舞い、夏の日の午後は涼しげな木陰を提供してくれます。
紀州出身の博物学者 南方熊楠が、死の直前『紫の花が見える』とつぶやいたのは、この栴檀の花のことだともいわれています。 センダン科 センダン属の植物は、熱帯から温帯にかけてアジアを中心に46属700種確認されています。
生薬では、実は苦楝子(くれんし)と呼ばれ、ヒビやあかぎれ、しもやけの塗り薬に。 整腸、鎮痛薬として煎薬になります。 樹皮は、苦楝皮(くれんぴ)と呼ばれて、農家などで古くから虫除けや駆虫剤として用いられました。
『センダン』 落葉高木
科属:センダン科 センダン属
学名:Melia azedarach Linnaeus
原産:南西諸島、西日本各地、アジア各地の熱帯、亜熱帯域