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2015.01.24
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カテゴリ:元気が出る話

 最近やたらとストーリー仕立ての変な夢を見るので、そろそろ夢のない眠りが恋しくなってきております。
 今朝は母の実家が舞台になっていたみたいなんですが、始終若干青みがかった陰鬱な雰囲気の夢でしたね。

 以降は、少々オカルトがかった夢の話題になりますので、そういうの全然オッケーという方のみご覧いただければと思います。


 間取りは三部屋続きの畳間でした。
 私が横になっていた部屋が手前だったんですが、昔ながらの綿布団で寝返りも打てず、クソ重いなあと思いながらうつらうつらしていたんですよ。

 部屋を片付けてほしいと、一番奥の部屋から声がします。
 声の調子からして、今は亡き母方の祖母のような感じもしました。

 眠い目をこすりながら身を起こしたつもりだったんですが、実際はヘビのように畳の上を這っていました。
 どうも身体の力が入らないのです。

 隣の部屋は十畳ほどの古畳の間だったんですが、どうにかふすまを開けて真ん中の部屋に入ったとたん、火の灯っていない使いかけの白ろうそくが目に飛び込んできました。

 こんなやつが部屋の両端に、しかも端から端までびっしりと並んでいたんですよ。



 なんかイヤだなと思ったのですが、一番奥の部屋に行かなければならないので、ズルズルと這いながらろうそくの間に入りました。

 部屋の畳には、小さな古びた男女の和人形がたくさん並べられていました。
 イメージはこんな感じ。
 もっと顔は小さくて、昔のモデルだということはすぐにわかりました。



 全部で数百体はあったでしょうか。
 ギョッとはしたものの恐怖感はなく、とにかく奥の部屋に行かなければという思いで進んでいったわけですが、さっきからズルズル這っているじゃないですか。

 当然、人形の波の中を進まなければいけなかったんですよ。
 うわーごめんと思いながら人形をゴーカイになぎ倒し、やっとの思いで奥の部屋にたどり着きました。

 部屋には両親が座っていました。
 家財を処分するので、手伝ってほしいという話でした。

 家財もそうですが、さっきの気持ち悪い人形を何とかしたいという思いが先立ちましたね。

「あの部屋の人形も捨てるんでしょ?近くの神社でお焚き上げ?」

 そう尋ねると、母は明らかに不機嫌になりました。

「ダメ。今は人形はそのままにしておいて。」


 場所ばかり食ってカビくさくなるだけなのになあと思ったのですが、家の所有者でない私には主導権はありません。
 まあ、いいかと窓の外をぼんやりと眺めると、二匹の白っぽい若い猫がニャーニャーと鳴いてアピールしています。

 家に入れてくれと言っているようでした。
 両親は忙しそうに壺や皿を木箱に収めています。

 母親の実家にそんな家財があったのも驚きなのですが、はよ手伝えという母親の目配せがあったので、しぶしぶ手近にあった皿を箱に入れ始めたわけですよ。

 窓の方からパタン、と小さな音がしました。
 窓の下にペット用の小さなドアがついていて、さきほどの二匹の猫が家に侵入してきたのです。

 もともとここは猫の居場所だったのかもしれません。
 そこに私たち人間が家財整理のために上がり込んでいるのですから、彼らにしてみれば縄張りを荒らされた気分だったのかもしれません。
 ただ、彼らは私たちにそれ以上のアピールはせず、壁づたいにそろそろと部屋を這うようにしてどこかに消えて行きました。

 私はその一部始終を目で追っていたわけですが、なぜか両親は猫の存在にまったく気づかなかったんですよね。
 変なの、と頭を傾げているとチャイムが鳴りました。


 この奥の部屋には勝手口がついていて、裏口からの来客にも対応できるようになっていました。
 外商とか、仕事関係の人たちがこの裏口を使っているようです。

「良い品が入ったんで、ご覧に入れたいと思いまして……。」

 そんなことを言いながら、茶色のストライプスーツ姿の若い男と、リクルートスーツ姿の女性が風呂敷包みを抱えて現れました。

 部屋に上がった二人は、ゆっくりと風呂敷を広げました。
 薄い緑色をした長方形の絵皿でした。
 筆で描いたような魚らしき模様も確認できました。


「横山一樹の新作版画を焼き付けた限定品でございます。」


 両親は絵皿を眺めながら、きれいな色ねえと物欲しそうにしていました。
 でも、横山一樹という名前でピーーーンときたんですよ。


「おかしいですね。横山一樹の版画の新作発表があったのはつい先日のことです。今回の刷数は限定100のはず。」


 すると先程まで極上の営業スマイルをふりまいていた美術商の表情がみるみる凍りついていきました。
 私は厳しい調子で続けました。


「高値で取引されるはずの版画ならまだしも、加工品がこんなに早く出回るわけがない。」

 すっかり険しい表情になった二人はそそくさと風呂敷包みをまとめ、勝手口で靴をはき始めました。
 そのとき、男がつぶやきました。


「クソッ」


 私たちをだまそうとしたことや、謝罪の言葉も挨拶もなしに去るという一連の無礼も、百歩譲って目をつむるつもりでいたんですよ。

 でもこの悪態にはさすがにカチンときましたね。
 だからこう言ってやったんですよ。


「あのさあ、あんたらの身のために言っておくけど、詐欺罪って知ってる?まあ、ニセモノ売るにしても、もっと信憑性のあるウソをつかないと、どうせこんなの一枚も売れやしないけど。」


 私が言い終わる前に、勝手口の扉は乱暴に閉じられました。
 母は安堵のため息をもらしました。


「あぶない、あぶない、ニセモノつかまされるところだったねえ。」
「あのニセモノをつかまされた人なんかが、数年後にお宝鑑定番組に出てきちゃったりしてね。そりゃそれで可哀想なんだけどさ……。」


 イカサマ美術商とのやりとりでノドがかわいてきたため、コーヒーを淹れました。
 そのとき、ふと思ったんですよ。


『あれ……横山一樹っていったい何者?どうしてそんな版画家のことを知ってんだろう?』


 というわけで、今朝は数々の謎を残したままの起床となりました。
 ちなみに、母の実家はフツーの庶民の暮らしぶりでございました。



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最終更新日  2019.02.14 20:37:30


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