カテゴリ:世相について
北海道新聞より
11月19日は国際男性デー。1999年にカリブ海の島国トリニダード・トバゴで始まり、近年は国内でも講演会などのイベントを開く自治体があるなど、注目を集めつつある。男性の健康に目を向け、ジェンダーの平等を促す日と位置づけられたこの日は「らしさ」を常に求められてきた男性の生き方を考える日とも言える。「男は弱音を吐かない」「男が稼ぐべきだ」という考え方はいまだに根強く残り、無言の圧力となって個人にのしかかる。その結果、長時間労働やパワハラなどの不合理な状況に置かれても我慢し続けてしまい、心身のバランスを崩してしまう。「男らしさ」の押しつけに苦しんできた男性たちを取材した。(有田麻子) 札幌市内のコールセンターの契約社員だった男性(44)は2018年冬のある日、会社へ向かう地下鉄の車内で、心臓がバクバクし始め、身動きが取れなくなった。「すごく怖い」。パニック発作だった。やっとの思いで降車し、ベンチでしばらく呼吸を整えた。 体を酷使している自覚はあった。午前7時に家を出て、1時間かけて出勤。24時間稼働のシステムの保守点検作業を担っており、週6日、午前2時まで働き、ホテルで寝たり、自腹でタクシーで帰宅したりする日々が続くこともあった。倦怠(けんたい)感とめまい、片頭痛に悩まされ、とにかく休みたかった。 当時は専業主婦の妻と小学生の息子2人の4人家族。生活の安定のために正社員を目指していた。上司に出社時間を遅らせたいと相談したが「正社員を目指しているんだよね?」と言われて何も返せなかった。 体がつらいので仕事を休みたいと妻に打ち明けた時、妻は「それじゃ困る」と答えた。その後、義父から電話で「一家の長として責任を果たせないなら、けじめをつけてくれないか」と離婚を迫られた。結局、仕事を辞め、妻と離婚し、息子たちの親権を失った。精神科でうつ病と診断され、今も症状に悩んでいる。 当時を思うと、無念さがよみがえる。「結婚後の自分の人生の7、8割は、男だからというだけで自動的に決定されていたと思う。収入の柱になること、良い父親になること。本当はもっと育児も家事も楽しみたかったのに、妻ときちんと話し合いができなかった。自分の中にも『男は強くあるべきで、稼いで当たり前だ』との意識があった」と男性は振り返る。 男性は今、生活保護を受けながら、精神疾患の当事者らを支援する北海道ピアサポート協会(札幌)で、自らの体験を生かして仲間を支える「ピアサポート」の担い手になるため、研修を受けている。 ジェンダーの平等などを掲げて活動する一般社団法人「Lean In Tokyo(リーンイン東京)」(東京)が2022年8~10月に国内に勤務する男性435人に行った調査では、職場で「男だから」という固定観念により、生きづらさや不便さを感じると答えた人は約4割だった。 「男だから生きづらい」と感じる具体的な内容として20代で最多だったのは「昇進に対して野心的でいなければいけない、競争に勝たなければいけないというプレッシャーを感じるとき」、30代、40代は「収入が高く安定的な職業・職種を選ばなければいけないという意識」。50代は「周りに弱みを見せてはいけないという意識」、60代は「ストレスのかかる業務や危険な業務が男性に割り振られること」が上位だった。 釧路市内の公務員の男性(33)は、小さいころから母親に「おまえは男だから、いずれ家族を養うんだよ」と言い聞かされて育った。20代後半、職場でのパワハラを我慢し続け、眠れなくなり、うつ病に。付き合っていた女性が、結婚後も見越して「私も稼いでいるし、仕事を辞めたら」と言ってくれた。仕事を辞めるか迷っていると母に告げると、電話で「ヒモになるのか。そんなふうに育てた覚えはない」と言われ、ショックを受けた。 体を壊してまで、男は働き続けないといけないのか―。その後も仕事を続け、うつ病は改善。女性と結婚し、子どもが生まれた後、上司に育児休業の取得を申請すると、「男のくせに」と嫌みを言われた。男性は「女性は仕事を辞めてもヒモと言われないし、育休も当たり前に取っている。女性ばかりがひいきされていると感じる」と憤る。 男性学が専門の大妻女子大学准教授の田中俊之さん(47)は「『男は一家の主として稼ぐべきだ』という考え方は、意識の問題だけではなく、男女間の賃金格差が大きいという問題でもある」と分析する。男性の賃金が女性よりも高いという状況があるために、人々は「男性が働いた方が収入が多くなる」と考え、男性が家計の収入を稼がなければならないという空気感をつくり出すという見立てだ。田中さんは、ジェンダーバイアス(社会的・文化的な性差別や偏見)を解消していくとともに「男女平等の労働環境を作る必要がある」と指摘する。 生きづらさを感じる男性に対してのアドバイスとして、「自分自身を縛る『男たるものこうあるべきだ』といった固定観念は手放していい。周囲からのプレッシャーでつらいなら、自分の言い分をきちんと伝えること。波風が立つかもしれないが、ちょうどいいあんばいを話し合いの中で見つけていくことが大切」と助言する。 ■心を健やかに保つためのヒントは 札幌市中央区で心理カウンセリングルーム「銀のすずプレミアム」を運営する公認心理師、土井裕さん(56)に、男性の悩みの傾向や、心を健やかに保つためのヒントを聞いた。 カウンセリングに訪れる男性たちの、職場や家庭での悩みを掘り下げていくと、「男性はこうあるべきだ」という考え方にぶち当たることは多々あります。たとえば、男は弱音を吐かない、感情を出してはいけない、という考え方により、人間関係がうまくいかなくなったり、仕事をため込んでしまったりと、好ましくない結果に結びついてしまうのです。 社会のひずみによる不公平感も関係していると思われます。かつて男性は家族のために大黒柱として働くことで、尊敬され、家長としての威厳を保っていました。近年では妻も経済力を持ち、夫の威厳は失われる一方で、職場での労働時間は依然として長く、その上家事と育児を担うことが期待されています。 「こんなに頑張っているのに誰もわかってくれない…」と閉塞(へいそく)感を抱え続けた結果、上司の叱責(しっせき)など、何らかのきっかけで心のバランスを崩してしまうのです。 そうなる前に、家庭でも職場でもない場所での人間関係を、広く浅く築くことを勧めています。利害関係のないところで、世間話や愚痴を話せる環境を作ることが大切です。また、「負の感情を表に出していい」と知り、その時々に感じたことを言語化し、ため込まないことも、心の健康には重要です。 ---------------------------------私の意見------------------------------- こういう記事を見ると私は古い人間なんだろうなと思う。家族を養うことは当然のことだと思っているし、仕事が趣味みたいなものだし、クレームこそ最大のビジネスチャンスという考えだし、頼りにされていると感じる時が一番嬉しく感じる。 私が尊敬する土光敏夫さんの格言に以下の言葉がある。 会社に来て自分の仕事をすることが、極上の道楽である。 私はこの身体が擦り切れるまで、極上の道楽をしていこうと思う。 また土光さんの格言に以下がある。 今日という日に全力を傾ける。 今日一日を有意義に過ごす。 これが私の座右の銘である。 たった一度切りの人生なのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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韓国では「男のくせに」「一家の主」「弱音吐くな」はいずれも「セクハラ」となり、訴えられます。
「男だから正社員を目指さないとね」 「将来は家族を養わないといけないよ」 もアウトです。 今はどこの職場でも、セクハラに対する教育があります。 韓国だったらその札幌市内のコールセンターの契約社員だった男性(44)は義父を訴えて、反対に慰謝料と息子たちの親権がもらえただろうと思います。 (2022.11.17 21:05:59)
私はまさにこの世代のどストライクです。
やっぱりどこかで男が養うもの、、と思ってます。 いまだに、結婚すると、男の人の都合で女は仕事辞めたりしますし。 今はどうかわかりませんが、病院へ子供に付き添っているのは女性でしたし。 私も仕事してましたが、子供が病気になったら100%、私が仕事を調整して病院に連れて行ってましたし。 家事も育児も農業も私がして、主人が「うつ」といったとき、やっぱり、言わなかったけど、心の中で「男のくせに」「私には甘えるな!って言ってたじゃない!」って思いましたもの。 かかりつけ医の歯医者の歯科衛生士の方も、結婚するので、仕事をやめるって言ってました。せっかく資格を取ったのに。。 こういう風にしておいて、今更「一家の主」というのが、生きづらいって、女のほうが生きづらいよ。 恥を言いますが、私は30も年下の社長の息子より給料安かったですよ。 男の人にはもっとたくましくなってほしいです、、ってこれってきっとパワハラ、セクハラになるんでしょうね。 (2022.11.18 06:15:14)
はんらさんへ
おはようございます。恥ずかしながら韓国の方が男尊女卑が日本より強いのだろうと思ってました。 ジェンダーに関しては完全に韓国の方が先進国ですね。まさに日本の常識世界の非常識を改めて認識しました。もっと学習しないといけませんね。教えて頂きありがとうございます。 (2022.11.18 07:29:45)
ひよこさんへ
おはようございます。私のライフワークである共同親権問題なんですが、まさに、妻子から逃げる父親というのがこの問題の根っこにあります。 離婚後養育費の支払い率30%であります。結局逃げてしまうのです。ですから現在の単独親権制度は妻子から逃げたい男にとって優位な制度でもあります。 男らしくという風潮なのに、ちっとも男らしくないのが今の日本の現状であります。そしてひとり親助成というのがいわば既得権益のようになってしまいました。 逃げる男と既得権益を離したくない女、これが現在の日本の状況と思ってます。 ギャップがある日本ですね。まさに日本の常識世界の非常識ってことですね。 (2022.11.18 07:55:33)
alex99さんへ
おはようございます。私も師匠のように思っていましたが、ハンラさんのご指摘により調べてみましたが、2019年7月に職場ハラスメント禁止法が施行されておりました。 あのナッツ事件からの法制化のようです。 2015年には姦通罪が廃止になりました。もし日本に姦通罪があったなら、かつての私は逮捕・収監されておりました(笑) 憲法を6回改正している韓国と1回も変えていない日本との違いかなとも思います。 変わることに抵抗がない国と、変わることに激しい抵抗がある国との違いかなと思います。 (2022.11.21 07:31:15)
tckyn3707さんへ
韓国は男尊女卑がひどいので、法を改正して、法で規制しようとしているのです。 韓国はここ20年くらいでものすごく変わってきています。 だから、今の60代以上と30代以下で大きなジェネレーションギャップがあり、衝突が絶えません。 今の60代以上はまだまだ古い男尊女卑思想の人が多いです。 30代以下は急激に変わっています。 でも今も、男性によって女性が被害者になる事件は後を絶ちません。 それで男女間の葛藤もとても大きくなっています。 今はまだまだ過渡期です。 ジェンダーに関して、日本と韓国ではどちらが~というのは、私にはわかりません。 日本は元々、おもてなしの国、他人に配慮するお国柄です。 その点、韓国は自分が一番です。 コロナの時も、マスクや感染した場合の外出自粛も日本は特に法で決められなくても自分でマスクして外出を控えた人が多かったと思いますが、韓国は法で決められました。 マスクをしない人、感染しても外出した人には罰金が科せられ、それでもまだ守らなかったら逮捕されました。 それくらい、韓国人は法で決められないと、自分勝手に動いてしまう国民性なのです。 (2022.11.22 20:35:27)
はんらさんのおっしゃることに納得しています
ありがとうございました 李朝の儒教500年の歴史を経て 新しい風が吹いているのでしょう ちなみに、私は、先祖のほとんどが士族という家系に生まれたものの 幼年時も結婚後も、家族内では女性勢の圧政の下 男尊女卑の美風(笑)とは縁遠い人生を送ってきました (2022.11.22 22:40:31)
はんらさんへ
alex師匠へ おはようございます。色々と教えて頂きましてありがとうございます。 現在進行系で韓国企業へのフレゼンを行っています。私はマーケティングリサーチと販促方法の指導役として参画しております。人に教える立場というのは、まず私自身がプロにならないと教えることができませんし、還暦を過ぎておりますので、ヘタをうることもできません。 市場調査に必要なのは、マクロ経済に似ていますが、あらゆる現象面を数値化し、分析しどう判断していくかなんです。これは学習だけではどうにもなりませんし経験するしかありません。 スタッフに徹底的にリサーチしろと言ってる私が現在の状況を誤判断すれば、方向性を誤ってしまいます。 変化への対応を徹底しろが私の方針でもあります。 共同親権への法改正すらできない日本、ウクライナの現実を見ても憲法改正の発議すらしない岸田首相、私はこんな日本に喝です。 (2022.11.23 07:54:09)
私は、韓国の儒教の影響を受けた男尊女卑が
改善しつつあると認識しましたが それは日本もほぼ同様 したがって 韓国は変われるが、日本は変われない などという韓国寄りの決めつけはおかしい そもそも、どの国であれ、たかが法律一本で その国の精神風土・風習・国民性が ガラリと一変することは、ふつう、ありません ましてや韓国は 法治国家と言うよりも 人治主義と言われる国で 国際条約である日韓基本条約でも 素直に認めようとはしていません ただ、韓国も極左政権が退陣して 関係改善の方向性が出て来ています (2022.11.23 23:25:36)
韓国はまた、社会的には男尊女卑の逆バージョンがあったりして、余計に複雑になっています。
それはすなわち、男性のみに課せられた義務、兵役義務です。 韓国男性は兵役を終えていないと就職もできません。 だからみんな大学生の時に2年間、学業を中断して兵役に行ってきます。 学業が2年間も中断されるのだから、当然、女子大生の方がずっと成績がいいわけで、普通に就職しようと思うと、成績順だと上位は女子学生が占めてしまいます。 特に韓国の人気職業である教師は、成績順で上から取るので、今では小学校教師の9割は女性の先生です。 20代半ばを過ぎると、兵役を終えていない男性は、外国に行くたびに兵務庁の許可を受けなければなりません。 兵務庁の許可が下りないと、外国に行けません。 K-pop歌手たちが海外公演しようとしても、兵務庁から許可が下りなくて行けないケースもあります。 海外に留学していて25歳を過ぎた兵役を終えていない男性韓国人留学生は、夏休みや冬休みに、韓国に戻って来ることはできますが、他の第3国に海外旅行ができないことになっています。 女性留学生はどこの国に遊びに行くのも自由です。 成人するとパスポートは10年パスポートが取れるのは韓国も同じですが、兵役を終えていない男性は5年しか取れません。 サッカー選手たちが海外に移籍しようとしても一番ひっかかるのが兵役問題です。 兵役を終えていない、免除も受けていない選手は海外移籍が簡単ではありません。 このように、社会的には男性が非常に不利なんです。 そのため、韓国は儒教から来る深刻な男尊女卑思想はありますが、20代の男性たちが同年代の女性たちより不利な現実があるので、 「もっとジェンダーを」 と言う若い男性は少なくなってしまいます。 そして男女間の葛藤は非常に大きくなっています。 こんな問題を含め、韓国のジェンダー問題は複雑です。 (2022.11.24 12:26:04)
なるほど
人生において、心身ともに最も輝かしい成長の時期を中断する兵役義務は 男性にとって過酷ですね また、国家にとってもかなりの損失の様に思われますが 朝鮮戦争がまだ休戦中であり 北朝鮮の存在という現実を考えれば 韓国の兵役義務もやむを得ない事 日本の若い男性はその点、恵まれている事を自覚すべきでしょう 知人のある若い韓国人男性は 彼が昔日本にいた頃からの付き合いですが 兵役で海兵隊に入隊した経歴があり 過酷な訓練を経て体は壮健になったものの 訓練での事故で片足が少し不自由になっていて気の毒に思いました (2022.11.25 02:03:03) |
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