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想い出は心の宝石箱に。。。

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2014.11.28
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                                      第十章

 

 

     ニューヨークは出張で幾度となく訪れたが、そこで生活する事はまた意味が違う。

     桃華にとって、なにもかもが新鮮で毎日が楽しかった。 東京のような雑踏と喧騒に

     包まれた街だけに、異邦人としての寂しさも感じられず、むしろ街の持つエネルギーに

     圧倒されていた。

 

     週末になると、セントラルパークでジョギングした後で、遅い朝食をとるのが習慣と

     なっていた。 

   何処を歩いても、公園の緑と周囲の建物が絵葉書のような、美しさをもって見える。

     園内には、動物園・スケートリンク・自然保護区・湖などがあって、一日居ても飽き

     なかった。

 

 

                   

 

 

                         

  桃華は射撃の腕をかわれ、SWAT の一員としての訓練を受けた。

  SWAT ( SPECIAL WEAPONS AND TACTICS ) は特殊火器戦術部隊であり、

      狙撃銃としてのライフルはレミントンM700、M24などのボルト・アクションが

      主であった。SWATのメンバーは、警察官の頑強な男達で、桃華の2~3倍もある体格を

      している。

 


                       

             

 

 

   テロ行為がどうも近々、アメリカで行われる可能性があると。

     日本の外事三課に問い合わせてみたが、彼等は情報を全く掴んでいない。

   CIA 内部では、日毎緊張感が高まっていた。そんな時、


  ( 桃華、相談があるのだが・・・ )


   と、ブラウンに呼びだされた。彼の話では、五洋商事のニューヨーク支社が、テロリスト

     向けの火器・銃器の受け渡し窓口になっており、その支社長飛鷹の情婦が梨華であると。


  ( 桃華は、確か梨華の姉さんですよね。シカゴ交響曲楽団との共演で、彼女は今アメリカ

          にいる。なんとか、彼女と接触して、この情報の物的証拠をとるように、依頼して

          くれませんか? )

 

  今更との思いが先だったものの、これで武器ルートが潰せるとの、ブラウンの説得が功を

      奏した。梨華の滞在している、フォーシズンホテルへと桃花は向った。

 

 

 

 

                 フォーシーズンズホテル シカゴ > Lobby

       

 

  ロービーにいる、梨華はひと目でわかった。


  ( あっ、おねえちゃん~ !! )

    

     梨華も桃華を見つけ、手を振って駆け寄ってきた。しかし、桃華の心の中のわだかまりが、

     なぜか素直にその声に応えることが出来ない。ぎこちなく挨拶を交わし、早速本題に入った。

 

   桃華の話を静かに、最後まで聞いていた梨華は、


  ( 私はずっと、おねえちゃんに逢いたいと思っていたのよ。でも叔母さんが、逢わない方が

          いいと、いつも言っていた。そんなに自分が嫌われているのかと、すごく悲しかったの。

          だから、おねえちゃんが、逢いたいと電話してきた時、嬉しくてしょうがなかった・・・

          でも、こんなことでしか、私に逢いにこないわけね。 )


  ( こんなこと?! 何言っているよ、テロを根絶する為の、正義の戦いでしょう! )


  ( 結論からいうね。はっきりお断りします。飛鷹が何をしてようが、関係ないわ。彼が、

          私にとって大事な人だということ以外。その人を貶めるようなことに、なぜ私が手を

          貸せるわけ~?!)


  ( 何を、馬鹿なこと言って・・貴方は単に、飛鷹の愛人に過ぎないでしょうが!!)


  ( あのね・・最近、やっとママの気持ちがわかったの。自分の心のままに、愛のままに

          生きるということは、この世の中では確かに難しいわ。でも、それをなしとげた

          ママは、すごいと思うの。 )


  ( パパをあんな形に追いやって・・そして、私たちまで、バラバラにして。そんな

          自分勝手な、母親なんて・・・・ )


  ( 違うわね。ママはママの人生、私たちは私たちの人生。だから、どんな状況においても

         周囲に惑わされず、自分を貫いて生きていくことが、大事じゃないのかしら?! )

       

    


     お役に立てなくてごめんねとの言葉でしめくくり、梨華はその場を立ち去った。

   怒りと憎しみにたぎった桃華の視線を、背中に受けながら・・・・

 



            つづく~  いぬ    いぬ    

 

           

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Last updated  2014.11.28 23:57:52
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