大聖堂の街、イングランドで一番小さなシティ「ウェルズ」は門前町。日本なら差詰め土産物屋が軒を連ねているところ。ここでは土産物屋の代わりに毎週水曜日と土曜日の2回、市が立ちます。この日は土曜市で賑わっていました。大聖堂ゲート前一帯が、この街のマーケットプレイスです。オーガニック野菜、果物、洋服や防寒着、ジュリーやアクセサリー、花屋さん等々、ストール(屋台)が立ち並びます。一通り見歩くと雨が降り出しました。商品が濡れてしまうと思う間もなく、手際よくテントに運び込まれました。雨が上がればまた商品を出す。誰も雨なぞ、少しも苦にしない素振りです。
マーケットプレイスから伸びるメイン・ストリートの歩道と車道の境界には、幅20センチ程度、足を取られても大丈夫なほどの浅い水路がありました。口をつけて飲めそうな清冽な水が止めどなく流れています。こんなに綺麗なこの水は、この土地の泉から湧き出た水でした。街外れに近づくとピンクの建物が目につきました。茶や灰色の石造りの建物の中でひときわ目立ちます。軒下一杯に架けられたハンギングフラワーは、咲き始めたばかりのようです。やがて訪れる長く暗い冬は、気も滅入りがち。こんな風に建物をピンクに染めて花を飾れば、どんなに心が和むことかと思います。