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カテゴリ:焦れる僕を満たして欲しい
BL小説です。興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。
甘い3 和樹さんの家に着いたのは10時ぐらい、玄関ではハルさんが出迎えてくれた。 「お帰りなさいませ」 「ああ、ただいま」 「ハルさんお世話に成ります宜しくお願いします、先日はありがとうございました」 「いいえ、貴方は和樹さんの大切なお客様ですから当たり前のことをしたまででございますよ」 そういうとハルさんは初老の顔ににこやかな笑顔を作り、僕達の後ろに控えて付いて来た。 僕は彼女の顔を見て思う、きっと彼女が後20歳若かったら物凄く美人じゃないかって。。。 「どうした?ハルさんに惚れたか?」 「ち。。。違います、ハルさんの若い頃ってどんなかなって思ったので」 「そうか、やっぱり惚れたか?」 和樹さんは悪戯な笑顔で荷物を持っていない手で僕の肩を抱く、僕はドキリとして後ろを振り向くとハルさんはクスクス笑いながら言う。 「お二人共中が宜しいのですね」 「ああ、私達は恋人同士だからな」 って和樹さん、なんて事をハルさんに言うのだろうと思ったけれどハルさんはハルさんでとても楽しそうだった。 「まぁ~それはなんて素敵な事なんでしょう、では今晩はお祝いですね」 って冗談とも本気とも取れる会話をしてるし、僕は正直付いていけない。。。 「ハルさん、ご馳走を頼むよ」 「はい、畏まりました」 和樹さんの部屋の前に付くとハルさんは深々と頭を下げてドアを開けてくれた、そして僕達を部屋の中に送り込むと続いて中に入り、窓のカーテンを開けて和樹さんの上着と僕の上着を受け取ってクローゼットに仕舞ってくれた。 「では、お茶の準備致しますね、お昼はいかがされますか?」 「中庭で頼むよ」 「はい」 それだけ話し終えるとハルさんは僕達を残してお茶を入れにキッチンへと下がって行った。 「荷物は寝室に置くといい、あのドアから行けるからね」 前にも思ったけれど白い部屋のテレビの横のドアを指して和樹さんは自分の荷物を解くと鞄野中から小さな長細い包みを取り出した。 「渡しそびれてしまった、土産だ」 「僕に?」 「ああ、君の好みだと良いのだけれど。。。」 「開けて良いですか?」 和樹さんはどうぞという仕草で僕に開封するように進めて自分は作業を続ける。 人にプレゼントを貰うなんて何時以来だろうか、なんだかとても久し振りのことでドキドキする。 僕はゆっくり丁寧に包みを開ける、とても綺麗な包みだからなんだか破るのが勿体無い気がした。 包装紙を外すとそれをテーブルの上に置く、中から出て来た箱はなんだかネックレスでも入っていそうな青い細長い箱だった。 蓋をスライドさせると中からシルバーの万年筆が出てきた。 「万年筆?」 「君はアクセサリーをしていないから何が良いか分からなくてね、結局、単純な発想になってしまった」 和樹さんが言いたいのは作家イコール文房具だって言いたいのだろうけれど僕にはとても嬉しい品だった。 それにこのメーカーのは僕の好みにぴったりのフォルムだ、そしてペン先には金で細工がしてある凝った作りに成っている。 よくペン先を見てみるとイニシャルらしき物が施してあった。 『k&k』って二人のイニシャルるじゃなか?なんだかペアリングみたいで照れくさい。 僕が立ち尽くしているといつの間に片付けを終えたのだろうか、和樹さんに抱き寄せられた。 「気に入ってくれた?」 「嬉しい。。。でも、良いの?」 「それは君のものだよ、それに同じのを私も買ったんだ、お揃いだ」 この2日で和樹さんの知らない顔を発見出来た、いったいこの1週間でどれだけ知らない彼を発見出来るのだろうか、そしてこんなにも幸せであって良いのだろうか?僕はこの先を考えると怖くなった。 その時だった、ドアをノックする音、そしてお茶を運んで来たハルさんが顔を覗かせる。 「ハルさん、ありがとう、そうだ君にプレゼントがあるんだ」 「あら、私にですか?珍しい、何か起こらなければ良いのですが」 「何も起こりはしないよ、はい、どうぞ、それから昼まではこの部屋に誰も近づけないで欲しい」 「これは買収ですか?」 和樹さんていったいどんな人なんだ、二人の会話を聞いていると分からなくなってくる。 ハルさんは小さな包みを受け取ると言葉とは裏腹に嬉そうで大事そうにその箱をエプロンのポケットの中に仕舞うと笑顔で会釈して部屋を後にした。 この部屋には僕と和樹さん以外居なくなった、和樹さんはさっきハルさんが開けたカーテンを閉め切ると薄暗い闇が広がった。。。なんだかこれから起こることを暗示しているようだった。 にほんブログ村←ランキングに参加しています。バナークリック宜しくお願い致します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年07月04日 03時51分12秒
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