秘恋 甘いチョコレートを君に
BLです。
興味のない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。
気分を害しても当方では責任は持てません。
ちょいエロありです。
「あ、あ、あぁ~倉本」
熱い腕に抱かれながら味わう幸せ、心地良い疲労感、倉本の声が遠のいて、その代わりに誰かが俺を呼ぶ。
「会長、会長」
揺さぶられて目が覚めると目の前には副会長の顔、驚いて椅子から転げ落ちそうに成るのを助けられた。
「大丈夫ですか?お疲れの様ですが、倉本さんが来ていますよ、僕はお先に失礼します」
「ああ、お疲れ」
会長?倉本の兄ちゃんから生徒会長なんてものを譲ってもらったのが9月、暫くの間は兄ちゃんに教えてもらいながら、仕事をこなして来た、独り立ちして何とか生徒会をまわせるようになってきたというのに、やっぱりまだ慣れない、忙しい、弓道部の部長の役目も果たさなくちゃ成らないし、いらん要望持ってくるバカが居るし、まぁ、それはことごとく却下してやるだけなんだけどな、世間ではバレンタインデーが近い所為か、校内が妙に浮かれてる気がする。そういえば、去年の11月頃、バレンタインイベントをやれなんていうバカな要望持ってきた一年坊主が居たっけか?反論出来ないほど言い負かせて却下、頭が痛い、こっちは決算近いんだ、そんな余裕、どこに有るというのだろう。
「さっくん」
後ろから抱き締められて頬ずりされる。
「止めろ、気色悪い」
「酷いなぁ、スキンシップだろ、それに兄ちゃんに言われてさ、煮詰まってる頃だからって、一息入れろよ」
この兄弟に、何度助けられただろう、俺がこうしてこの場に居られるのも、暗闇から抜け出せたのも、二人のお陰なんだ。体を離して、笑顔で渡された缶コーヒー、疲れてるのを見越して甘いホット、今、欲しいものをこいつは分かってくれている。二人が居なければ、俺はずっと、日陰を歩いていた、目立たない様に影を引きずって、いや、生きては居なかったかも知れないな。
「お~~い、独りで過去に戻るなぁ」
とぼけた声が現実に引き戻す、そして、いつもの様に軽く耳を引っ張られた。良いタイミングで引き戻してくれる。
「痛いなぁ、べ、別に、も、戻ったりしてない」
「じゃぁ、なんだ、目に涙溜めて、缶コーヒー如きに感動してくれたとでも言うのか?」
「ご、ゴミが入ったんだ」
「はい、はい、見せてみろ」
眼鏡を取られ、髪を掻き揚げられて顔を両手で挟まれて覗かれる。
「伊達眼鏡なんだろ、髪切れよ、伸ばしてるから目に入るんだ」
ちょっと顔が赤く成ったの気付かれたかな?それを誤魔化す為に強気にでる。
「髪型も、眼鏡も校則違反じゃない」
手を振りはらって眼鏡を取り返すと元の形に整える、唯一の武装、人には邪魔じゃないかってよく言われるけれど、不自由は無いと答える。それを倉本は指摘してくれているのだけど、強く言って来ないのは俺のトラウマを知っているからなんだ。
「そう、お前が良いならそれで良いか、馴染んでるし」
そういって、机の上に有った資料を手に取ると横の席に腰掛け、パラパラと捲りながら何も無かった様に開けたコーヒーを口にする。同級生や先生とは違う幼馴染という存在、こうしてこのタイミングでこいつを差し向けてくれた兄ちゃんにも感謝したい。
「なぁ、14日、何してる?」
「部活終わったら暇だからな、家にいるかな、宿題とか予習とか、塾行ってないからな、時間だけは余ってるけど、それにそいつも今週中には片がつく」
「そう、だったら俺も暇だし遊びに行ってやるよ、練習終わったら暇だしな」
何で14日なんだろう、カレンダーを見ると金曜日か、そのまま、泊まって土日は入り浸りって訳か、やつは普段から、俺の部屋を別荘と呼んでいるからな、それに、土日は監督の都合で部活は休みで自主練サボって遊ぼうってとこだろう。
「なぁ、泊まるの?」
「勿論だ」
「土日練習あるんじゃない?」
「監督の都合で休み、自主練はするからお前、付き合え」
そう来たか、付き合ってやろう。それならば、急いでこっちの仕事は終わらせなくちゃ、今週で終わるなんて大嘘だ、いっぱいいっぱいで煮詰まってるんだからな、来週の金曜日がタイムリミットか、モチベーションが上がった。資料を取り上げて、ペンを走らせる、良い、息抜きをくれたお陰だ。
「さっくん、無理すんなよ、休める時は休んどけ」
「ああ、コーヒーありがと」
「邪魔したな、じゃ、練習行くわ」
邪魔なんかじゃない、そう言いたいけど、倉本の背はそれを言わせまいとして、背を向けたままで手を振って部屋を出て行く、なんか凄く格好いいなって思えてしまう。
「俺には出来ないな」
つづく
バレンタインまであとちょっと、藤野さんと倉本君のお話です。
本編とはちょっと違うところが有りますがベースは本編寄りです。
友里ちゃんと栢山どこで出しましょうか?
タイトルが余り宜しくないです。センスが欲しい!
誰か、タイトル考えて!って言いたいです。。。乙
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