381525 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

フリーページ

プロフィール

佐玖螺

佐玖螺

カレンダー

日記/記事の投稿

カテゴリ

お気に入りブログ

世界征服執行委員会 ウメザワ暗黒卿さん
わたしのブログ ミルク4659さん
2014年02月03日
XML
 

秘恋 甘いチョコレートを君に

 

BLです。

興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

気分を害しても当方では責任を負えませんのでご了承下さい。

 

久し振りの部活、報告書を仕上げるまで休ませてもらったのは有り難かった、その分、ちょっと体が鈍っているのは仕方が無い、先生にお願いして一時間だけ練習を増やす。倉本に付き合わなくて良いのなら、土日も練習をしたい気分だ。仕方ない、自主練で解消してやるとしよう。それよりも、さっきから何か騒がしい、部活は既に終わって俺だけが残っているはずなのに、一年の女子が何かコソコソしてる。ちょっと不機嫌気味に声をかけてみる。普段なら、蜘蛛の子を散らすように逃げる一年達、今日は後ろの人間に押されてオズオズと前に進んでくる。

「あの、藤野先輩、好きです、これ、受け取って下さい」

差し出された綺麗な紙袋、察しはついた、そうか、今日はバレンタイン、その為の応援団付き、告白って訳か、面倒だ、昨年は誰一人、告白なんて来なかった、それなのに生徒会長と部長って言うだけで本当の俺を知らない女子が声をかけてくる。

「ごめん、俺、好きな子居るんだよね」

真っ赤な嘘、体良く断って良い人になる。俺なんかのどこが良いのだろう、眼鏡で伸びた前髪のもっさいこんな俺でも、この子達には関係ないのかな、生徒会長や部長してるとモテるのか?だったら夢見すぎだろ、トラウマ抱えて汚れたただの人、正体知ったらきっと逃げるだろうに、必死なのは可愛いけど、それ以上の感情なんて持てやしない。

「ご、ごめんなさい、だ、だったらチョコだけ受け取って下さい、それだけで十分です」

「良いの?」

「良いんです、先輩とちょっとでもお話出来ただけで」

それだけ言って、強引に紙袋を持たせてダッシュで逃げていく、女って分からない、もらっちゃったのは仕方ない、これ、お返し必要かな、まぁ良いか、倉本に自慢してやろう、あいつ、毎年、自慢してくるから今度は俺が自慢し返してやる。机に入ってたのと、今ので12個か、去年の倉本は5個だったから勝ったかも、出来なかった練習を切り上げて帰ると倉本が既にいる。

「ただいま」

「お帰り」

部屋に入るとこれみよがしに包みが並べてある。

「それなに?」

知らない素振りで聞いてやる。腹が立つなんで20個も有るんだ、去年よりも四倍増しって、有り得ないだろう。

「チョコレート、貰っちゃったから、分けてやるよ」

「去年より多い...」

「エースでキャプテンで4番って以外にモテるのかなってな、野球人気は下火だけど、高校野球は違うらしい、これでも半分以上、皆に分けて来たんだけどな、美味そうなの取って置いたからやるよ」

「嘘...今年は勝ったと思ったのに...」

余裕の微笑み、なんだかむかつく、それよりもその中に本命は無いのかな、俺みたいに告白されて『好きです』っていうの、倉本なら多く有りそうだと思ったらなんだか腹が立のとちょっとした敗北感、それを隠す様に明るい声で手にした紙袋を目の前に出して自慢げに見せ付ける。

「お、俺だってチョコぐらいもらえたもん」

「ほ~で、何個?」

「12個、でも、1個は告白された」

「で、その1個、答えは?」

「断った」

腕を掴まれて引っ張られて、倉本の腕の中に抱きとめられた。

「ちょ、何するんだ、危ない」

腕の中から逃れようとするけれど、逃げられないように捕まえらる。こいつってこんなに力強かったかったかな、腕が痛いよ。

「苦しい」

「だったら逃げるな、大人しくしてろ」

なんだろう、低い声の影に何かが隠れてる気がする。その何かが分からなくて、抵抗は止める。それを知りたい、倉本は何を隠してるんだろう。

「初めからそうすれば痛くないんだ」

優しく耳を擽るような声、なんだかドキドキしてしまう。それより、どうしちゃったのかな倉本は?

「体良い断り方して良い人になってんじゃねぇよ」

「好きでもない女に告られて、過去思い出して、傷開いて血流してんじゃねぇよ」

「そういうんじゃ...」

「傷付いてることに気付きもしないで、嬉しそうにして、ムカつくんだよ」

こんな倉本知らない、もしかして妬いてるのかって思えるほどの苛立ちが伝わってくる。

だったら、こんな時、俺はどうすれば良いのだろう。少し考えて見つけた言葉を紡いでみる。

「だったら、傷を埋めてよ、そして、流れてるって言う血を止めてよ」

こんなことしか言えない自分が情けない、本当にダメだなって思う。

「そんな顔すんなよ、泣かせたくないのに...俺を跨いで向かい合わせに座って」

何をしようっていうのだろう、恥ずかしくて照れ臭い体制、真正面から倉本を見るなんて、顔がこんなにも近くで触れそうな距離、視線を逸らしたくなる。

「逃げるなよ」

「う、うん」

妙に冷静な倉本、こいつは緊張しないのかな、所詮、男同士のスキンシップと変わらない訳だし、意識し過ぎる方が変なのかもしれない。だけど、落ち着かない。

「目を閉じて」

この場は言いなりになってみようと思った。だから、何も言わないで目を閉じてみる。幽かに漂う甘い香り、チョコレートかな?

「目開けて」

倉本の唇に咥えられたハート型のチョコレート、誰かからのプレゼントかな、チクリと胸が痛む、傷を塞ぐどころか傷を広げちゃったんじゃない?

「何やってるの食べて」

聞き取り辛いけれど、そう聞こえた。だから、目を閉じて唇を寄せて感覚だけでチョコを口にする。なんだか、キスするみたいだって思えて頬が染まるのを感じてしまう。

「甘い」

「なんか、エロいな、お前好みの味だと思うんだけど、どう?」

「うん、好き」

「だから言ったじゃないか、美味そうなのとって置いたって、それ使って俺が作り直したんだ、そんでもって、この箱は全部空、美味かったろ?で、俺のことは?」

倉本の唇に付いたチョコを舐め取って言う。

「好き... だから、もっと食べさて」

そう、これが俺の抱いていた倉本への想い、ずっと隠してきたことに今、気付かされた。

「食べるだけで良いの?」

「キスもしたい」

近寄る唇、視界がぼやけ、薄れていく倉本の姿、嫌だと思った瞬間、目を開けると眩しい光が顔を照らす、部屋に広がる甘い香り、あれ、夢見てたんだ、過去には無かった、もうひとつの俺達の形、あれも悪くないなって思う。

「お!起きたか、済まんな、朝から部屋が甘くって、バレンタインまでに何個か頼まれたの作んなくちゃならなくてな、目覚めのチョコ食うか?」

「紅茶入れようか?」

「おお、いいいねぇ、その前に服着ろよ、朝から俺を煽るなよ」

「ば、バカ...」

シーツを巻いて倉本の後ろに立つ、覗き込むとそこには大きなハートのチョコレート、誰の手に渡るのかな?不意に奪われた唇、夢の続きの様で頬が火照る。

「だから、煽るなっていったんだ」


にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014年02月04日 03時43分15秒
コメント(0) | コメントを書く
[君がいるから 番外編] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.