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カテゴリ:栢山くんの呟き
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。 栢山くんの呟き8 先輩と二人に成れた。 ラッキーというかこんなチャンスに恵まれた事に感謝すべきだろうか、どちらにせよ、二人で食事に向かった。 綺麗とはお世辞にも言い難い古ぼけた店だった。 学校の近くの定食屋、質より量と言うがここは以外にもどちらもバランスがいい。 そんな古ぼけた店に顔を輝かせてメニューを見ながら俺の顔を見る。 あの入学式に初めて見た厳しくも綺麗な顔、あれから思い続けた先輩とこうして食事を出来るなんて思いもしなかった。 普段、守護神の様に寄り添う倉本舜一は彼女の方が大切なのか泣きそうな顔の先輩を振り向きもせずに帰って行った。 それを拾ったのが俺、彼は俺がこんな邪な思い抱いているなんて思いもしないでひょいひょい付いて来た。 だけど今はまだ手を出さない、仲良くなってそれからだ。 先輩を泣かせる気は無いから俺に心を許してくれるまで待つ、それは俺に取って残酷な拷問だけどそれは信頼を得る為の努力、この笑顔を壊さない為だ。 俺にどこまで我慢が出来るだろうか? 「栢山」 「あ、はい?」 「お前は何を注文するんだ?俺はこういった場所では食事しないからな」 「俺はですね、カツカレー定食がお勧めですがここはどれも旨いですよ」 「じゃぁ、それ。。。それにする」 「はい、分かりました、それにしましょう」 二つカツカレー定食を頼んだ。 きっと食事が来たら目を丸くして驚いてくれるかなって思った。 こういった所で食事があまり無いって事はここで食事するのは初めてなんだなって思ったらなんだか嬉しくなった。 「先輩は食事は家ですか?」 「俺は一人暮らしだから自炊なんだ」 なんて素晴らしい情報なんだ、先輩が独り暮らしで自炊って事はあれこれ出来るってことなのだと妄想が渦巻いた。 自然と顔がにやけるのを誤魔化すように水を飲んでなぜ独り暮らしなのかをきいてみた。 「弓道やりたかったし大学受験するならここって決めてたんだ」 輝くような笑顔、これを独占してるのは自分だけだと思うと心が弾む、それにしても先輩はよほど弓道が好きなんだと思った。 そういえば俺は何でここを選んだかなって改めて思った。 先輩のように将来までは考えないで試験に受かったから、ここに入れたのはまぐれのようでちゃんと勉強した奴に申し訳ないって今は思うが後悔はしていない。 だって先輩とこうして出会えたのだから。。。。 その時だった、隣の客に親子丼が運ばれて来た。 先輩はそれを見るなり俺の予想通りの反応を示した。 「栢山あれ大盛りなのか?」 丼からはみ出さんばかりの卵丼、蓋は具を押さえる道具と化している。 これで980円なら安いもんだ、元々この店は建設業や工事関係者の働き手が集まるから自然とこうなったのでと聞いてる。 「いえ、並ですよ」 「大盛りなんて頼めないな?」 「俺のクラスで大盛り食った奴居ましたよ」 「え、マジでか?」 「ええ」 話に乗って来た先輩、身を乗り出して俺の言葉に耳を傾ける、この人がこんな楽しげにしてる姿は普段、見たことが無い、なんだか優越感に浸る。 テーブルに置かれた大きな薬罐から湯飲みにお茶を注いで口を付けなら横目で先ほど運ばれて来た隣の席をチラチラ見る姿がとても可愛い。 「はい、お待たせ」 ドカンと置かれたカツカレー定食の量に目を白黒させている。 「これ?」 「凄いでしょ?」 山盛りのご飯にそれを覆うカレーのルーそしてはみ出して皿から落ちそうなカツに山盛りのサラダと味噌汁は普通のお椀よりも一回り大きい。 どうやってスプーンで掬えばば良いのか悩んでる。 皿を一つ借りて先輩に渡すと極上の笑顔が向けられた。 俺、凄い幸せだと思う。 食事を終えて二人で店を出る、支払いは割り勘だけど今度は絶対俺が先輩に奢るって心に決めた。 「今日は楽しかったまた、来ような」 「え、良いんですか?」 「なに言ってるんだ当たり前じゃないか」 俺は思った、出来れば今度は先輩の手料理を食べてみたい。 だがそれは追々ということにして忙しい生徒会長と部長を兼任してる彼と一緒に居られるならそれで良い思うことにした。 「弓道の話もしたいし俺、お前がこんなに楽しい奴とは思わなかった」 俺ってどんな印象を持たれているのだろうと思ったけど好印象を植えつける事に成功したのならばこれで正解だったと思った。 そう、いい人を演じれば良い。 ![]() にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年10月03日 03時17分52秒
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