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ザビ神父の証言

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2007.07.31
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カテゴリ:外国史

フランス革命(20)

では、国王の逃亡失敗が齎したもう一つの重大な事実とは何か。実はこちらの事実こそが、フランス革命をフランス革命足らしめる上で、決定的に重要な事柄なのです。

それは、国王自身が逃亡を準備する過程で、亡命先に選んだ妻の実家のオーストリアを始め、いくつかの王家に自らの逃亡の予定を伝え、反フランス革命の戦いを始めるに際しての助力を申し出ていた事実に由来します。こうしてルイ16世一家の逃亡記は、ヨーロッパの諸君主の注目の中で行なわれたのです。

そして、ヨーロッパの諸君主は、イギリスとオランダ(ここでは、立憲君主政が定着していました)を除けば、皆絶対君主です。君主の言う事に、領主も民衆も従うものという感覚が染みついている君主達なのです。今、ルイ16世は馬車の行方を農民達に阻まれ、意志に反してパリに連れ戻されたのです。しかも議員の監視の下に置かれて…。

注目していただけに、このニュースは旬日を経ずして君主達に伝えられます。その時彼等の脳裡に何が浮かんだのでしょうか。革命というものはとんでもないものである。天地がひっくり返るよりももっとショッキングである。都市や農村の民衆の発言権が強まるような事態は、何としても避けなければならない。自国にフランス革命の余波が及ぶ事態は絶対に避けなければならない。そのための最も確実な方法は、フランス革命を潰し、ルイ16世の権力を取り戻すことである。こう考えるのは、ごく自然の成行きでした。

こうして犬猿の仲だったオーストリア皇帝とプロイセン国王は、ザクセン選挙侯に仲立ちを頼んで、対フランス革命政府の連合を組みます。既に指摘しましたが、両国は18世紀中期以降シレジェンの領有を巡って戦闘を繰り返してきた間柄だったのです。その両国の君主、オーストリアのレオポルド2世(マリー・アントワネットの2番目の兄です)とプロイセンのフリードリッヒ・ウィルヘルム2世は、両国の対立抗争を一時的に棚上げしてでも、今は打倒フランス革命のために手を組む必要があるとの判断で一致したのです。

6月下旬以降、何度かの使節の往来を経て、2人の君主はザクセン選挙侯を交えてピルニッツで顔を合わせます。こうして発表されたのが、8月27日のピルニッツ宣言です。宣言の中には「……フランスにおける秩序再建のため、必要とあれば、軍事行動をとることも厭わない。……」と書かれていました。

この文書は、当時の外交に通じた者の目には、まず第1弾のジャブであって、言葉の恫喝で相手がどういう反応を示すかを見ることに主眼があり、ただちに軍を派遣しようとするものではないことが、すぐに読み取れるものでした。しかし外交面では何の訓練も受けていない革命政府は、文字通り戦争の危機が迫っていると受けとめました。そしてパリ市民や各地の民衆もまた、革命政府と同じように、戦争の危機が迫っていると考えたのです。

開戦は翌年の4月20日、こうしてフランス革命は、ナポレオンのワーテルローでの敗戦まで続く、長い戦争の時代へと入っていくのです。そして、この事実こそが、兵士となって革命防衛戦争を支えることになる都市及び農村民衆の発言権を、強く大きなものとしていったのです。

              続く






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最終更新日  2007.08.01 11:25:11
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