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ザビ神父の証言

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2009.01.26
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カテゴリ:民衆の歴史
マリア信仰の形成(10)

カトリック教会が残した歴史上の汚点は、数え上げればいくつも出てきます。ただ、その中で最大のものをあげるとすれば、私は迷わず魔女狩りをあげます。詳しいことは別の機会に譲りますが、ローマ教皇庁によって、魔女狩りが解禁されたのが14世紀前半だったこと、魔女狩りの最盛期が16世紀~17世紀の前半だったことの、2点を記しておきます。

中世ヨーロッパでは、王権よりも教権が優勢だったのですが、それでも、教会の支配は支配層にしか及ばず、民衆はカトリックの神よりも、土着の神々を信じていたのです。唯一の神を信奉するカトリックの教義が、隅々まで浸透しているとしたら、妖精たちや地域の守り神の登場する西欧の民話や伝承が、語り伝えられることはありえませんよね。

そうなんです。教会は民衆と妥協し、民衆の信ずる土着の神々を、キリスト教の聖人に同化させる作戦で。支配層から民衆へと信仰を広める作戦を取っていたのです。さの作業が多少進んだところで、キリスト教の分派、教皇庁が排除することを目的に「異端」のレッテルを貼った分派を駆逐するために、編み出した戦術が魔女狩りでした。

最初はそろりそろりと、そして、15世紀中頃から、魔女狩り攻勢は本格化していきます。これは、教皇庁の言うことを聞かぬものは、魔女裁判にかけて、魔女として処刑するぞと言う、恐怖による信仰の強制です。しかし、人は恐怖に対しては面従腹背の態度をとるものです。心の支配が目的の宗教にとって、これでは目的は達せられません。

恐怖によって、「異端」を排除した後に、どのようにして民衆に教皇庁の教えを信じさせるのか。ここに大きな問題がありました。魔女狩りに眉を潜める教皇庁の良識派は、ここぞとばかりに、民衆教化のプランを練り、ここに登場したのが、聖母マリアの母性を強調することだったのです。とりわけ、北イタリアから南フランスにかけての一帯は、異端の信仰の強い所でしたが、小さな大人と称された6~14歳くらいの子ども達にとって、父よりも一緒に過ごす時間の多い、母の影響力が強いことに彼らは注目したのです。

成人の男たちを教化するよりも、母親と小さな大人たちを教化することが大事だと気付いた彼らは、農村女性たちの母性をくすぐる作戦に出たのです。教会は母なる女性をターゲットに、その強化に努めよ。さすれば、子ども達もまた母の影響を受けて、改心するに違いない。女性を教化して、その影響を家族に及ぼしめるという方針が、ここに明確に定められたのです。15世紀も中頃に近づいた頃でした。こうして母なる女性たちの母性に訴えるために、教会の手によって、マリアの聖性と母性が強調されることになったのです。
                               続く





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最終更新日  2009.01.26 16:28:09
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