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テーマ:アメリカ外交史(232)
カテゴリ:米外交史
▼三つの可能性2
第二の可能性は、カストロがマフィアなど反ケネディの動きを裏から支援した場合だ。マフィアはオズワルドを利用した。支援の仕方としては、暗殺の見返りに、マフィアの利権の一部を認めるなどの便宜供与が考えられる。マフィアを完全に口止めできれば、米国によるキューバへの報復という最悪の事態を回避する可能性が高くなる。カストロがケネディ暗殺前に「ブーメラン」のように仕掛けた本人に戻ってくる、と言ったことも説明できる。 このシナリオでは、カストロは可能な限り、マフィアとの関係を否定することで、火の粉が降りかからないようにすればよい。ただ問題は、米軍によるキューバ侵略のリスクが減るといっても、マフィアが口を割らないとも限らないわけで、それほどマフィアとカストロの間に信頼関係があったとは思えない。 そもそもマフィアは、カストロ政権が誕生したときに、当時キューバで経営していたカジノなど賭博場を没収されており、カストロに恨みをもっていた。カストロとマフィアは犬猿の仲であった。だからこそ、マフィアはCIAのカストロ暗殺計画に参画したのだ。カストロも、昨日まで自分を暗殺しようとしていたマフィアを信用するはずがない。事件後、カストロがマフィアに何らかの便宜供与をした形跡も全くない。 ▼三つの可能性3 第三の可能性は、CIAの中の反ケネディ派が仕組んだもので、カストロ陰謀説をマコーン長官やジョンソン大統領に信じ込ませたというものだ。この場合オズワルドは、単にカストロ関与を臭わせるためのめくらましに過ぎず、ピッグス湾事件など反カストロ工作に関与した亡命キューバ人の活動グループ(反カストロ分子)と、ケネディの対キューバ政策に不満を持つCIAの一部がグルになって、ケネディ暗殺を実行した。一見途方もない仮説に思えるが、実は、当時の状況を最もよく説明できるのが、このシナリオなのだ。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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