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テーマ:アメリカ外交史(232)
カテゴリ:米外交史
▼再調査
トマス・ダウニングの報告書の内容に触れる前に、この報告書が作成された経緯を説明しよう。 ケネディ暗殺から10年以上が経ったにもかかわらず、真相が一向に解明されていていないのではないかと考えた米下院議員のダウニングは75年4月、ケネディ暗殺を再調査する特別委員会を下院に設立するよう呼び掛けた決議案を提案した。それを機会にダウニングの下に多くの情報が寄せられた。その中で、元CIA工作員、ロバート・マローの「裏切り」という著作があった。 その著作の中でマローは、自分がCIAの工作員として反カストロ分子によるカストロ政権転覆計画に携わっていたとした上で、ケネディ暗殺事件には、この反カストロ分子とCIAが関与していると結論づけている。ダウニングは早速、マローから事情を聴くなどして独自の報告書を作成、76年8月にマローの解説付きで記者発表した。こうした疑問提起の動きが奏功して、下院は同年9月、ケネディとキングの暗殺を調査する特別委員会設置を決定、初代委員長にダウニング自身が就任した。 76年7月に書かれた「ケネディ暗殺の背景にある動機」と題する13ページにわたるダウニングの調査報告書は、ピッグス湾事件の1年前に、CIA、反カストロ分子、ニクソン副大統領(当時)の3者で合意した密約にまで遡って分析している。その密約こそ、ケネディ暗殺につながる決定的な内容を含んでいたのだ。 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.06.18 09:50:04
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