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テーマ:アメリカ外交史(232)
カテゴリ:米外交史
ハワード・ハント登場
場面は再び委員会に戻る。トリプレットの質問はエドゥアルドこと、ハワード・ハントの話に移った。言わずと知れたCIAの悪名高い情報部員だ。反カストロの亡命キューバ人とCIAを結ぶカギを握る人物で、ケネディ暗殺直前にロレンツが本当にハントとダラスで会っていたのかが、大きな焦点となっていた。 「この時期(編注:ヒメネス将軍とつき合っていた時期)、あなたはエドゥアルドと会ったことがありますか?」 「エドゥアルド。エドゥアルドとはその前に会いました」 「いつ最初にエドゥアルドに会ったのですか?」 「一九六〇年です」 「エドゥアルドというのは、ハワード・ハントのことですね?」 「そうです」 「どこで最初にエドゥアルドに会ったのですか? 「最初に会ったのは、マイアミのブリックル・ガーデンというアパートでした。フランク(スタージス)がそこに行き、何かを受け取らなければならない、と言ったのです。私たちは皆、車の中にいました。そこへ、エドゥアルドが出てきて、封筒に入ったものをフランクに渡したのです」 「フランクは当時、エドゥアルドを知っていたという感じでしたか?」 「はい」 ハワード・ハントは当時、対キューバ問題を担当するCIA情報部員で、フランク・スタージスは対キューバ工作員。ハントから定期的に工作資金などを受け取っていたとみられる。その後もウォーターゲート事件でスタージスが捕まるまで、あるいはそれ以降も、彼らの密接な関係は続くのである。 「エドゥアルドがフランクに何を手渡したか、知っていますか?」 「お金です」 「いくら?」 「正確にいくらだったかは分かりませんが、私たちがやっていけるに十分な金です」 「次にエドゥアルドを見たのはいつでしたか?」 「何度も見ました。というのも、彼は私たちがやっていけるよう、この種のお金をいつもくれたからです」 「彼がお金を渡すとき、いつもフランク・スタージスに手渡したのですか?」 「フランクが受け取ります。そうです」 「ほかの人はどうですか? たとえば、ペドロ・ディアス・ランツが受け取ったことはありましたか?」 「いいえ。ペドロは私たちと一緒でした」 「ほかにいつもあなたと一緒にいた人がいるのですか?」 「時々、オーランドが一緒だったり、ノボ兄弟が一緒だったりしました」 「ノボ兄弟のファースト・ネームは覚えていますか?」 「いいえ」 「オーランドとは、オーランド・ボッシュのことですね?」 「オーランド・ボッシュです」 ロレンツが訓練中に撃たれた怪我を治療した医者だ。 「ハワード・ハントとフランク・スタージスが一緒のところを何回ぐらい見たと思いますか?」 「三十とか、三十五回ぐらい」 「それは六〇年に始まった?」 「そうです」 「最後に彼らが一緒だったのを見たのはいつですか?」 「いつかはよく覚えていませんが、六一年に私が将軍と関係を持ったときと、六三年に将軍が本国送還になった後、彼らが一緒だったのを知っています」 「将軍というのは、もう一度記録のためですが、姓名で述べてもらえますか?」 「マルコス・ペレス・ヒメネス将軍です」 (続く) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.09.12 11:21:31
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