|
テーマ:アメリカ外交史(232)
カテゴリ:米外交史
▼恋多き女3
ロレンツの複数の恋に決着を促したのは、FBIであった。彼らは「父親のいない子を産むのはよくない」と言って、子供の実の父親であるルイスと結婚したほうがいい、と勧めた。 しかし、それには裏があった。FBIはおとり捜査ができる人間を二人必要としていたのだ。ルイスとロレンツ。ルイスには特別捜査官としての実績が、ロレンツには経験と基礎知識があった。二人が組めば、完璧なチームが組めると思っていたようだ。 そのためには、“些細な問題”もあった。ルイスも別居していたが結婚しており、法的な離婚が成立していなかったのだ。FBIの連中は、メキシコに行けば簡単に離婚ができ、ロレンツとルイスは結婚できると言い張った。 ロレンツは決めかねていた。そして返事をしないまま、1969年12月13日、陣痛が始まった。死産となるかもしれないと思われるほど難産であったが、男の子が生まれ、マークと名づけられた。 ロレンツがマークを抱いてアパートの部屋に戻る途中、FBIのエージェントたちが再び、ルイスとの結婚を打診してきた。ルイスと一緒に、通りの向かいにある豪華高層ビルの管理人の妻にならないかというのだ。今度のおとり捜査には、管理人の夫婦が必要だった。管理人の部屋にはベッドルームが3つか4つもあり、ロレンツの母親も希望するなら同居が可能だという。 悪い話ではなかった。とんとん拍子で結婚が決まった。ロレンツとルイスはメキシコに飛んで結婚。ニューヨークに戻ると、その豪華高層ビルに引っ越した。 ロレンツは、仕事とお金、美しい住まいを手に入れた。ルイスにも友情を感じていた。二人は仕事の一貫として結婚したが、ちゃんと誓いの言葉を交わした夫婦でもあった。 (続) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[米外交史] カテゴリの最新記事
|
|