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テーマ:読書(8206)
カテゴリ:本日読了
2021/11/3/水曜日/秋晴れ
![]() 〈DATA〉 河田書房新社/ウィリアム・シェイクスピア 石井美樹子 訳/ 2021年5月20日初版印刷 2021年5月30日初版発行 〈私的読書メーター〉 〈四つの内の『ハムレット』を読む。本や舞台で何度も出会った、その度のモヤモヤ。その背景を知りたくば図書館架に幅広でシェイクスピアに纏わる資料が潤沢な結構な国なのだが。沙翁初心者の私は、この本でハムレットと沙翁の骨格、構造が能く掴めた。第一資料であるテキストの誤訳に対する訳者の誠実な行動に共感をもつ。17世紀前後の英国の情勢を巧みに世相の鏡となす舞台がクリア。言葉の羅列には今の世に向けた皮肉?と得心させるもの多く。人間の思考進化の無さに加え、王の鷹揚気高さも失った我らの悲喜劇は在るかないか、それが問題。〉 シェイクスピアにアーサー王伝説がどんな影響を与えたか、なんていうのも『アーサー王と円卓の騎士』を並行読書中、気にしていた。 私の読んだアーサー王テキストでは アーサー王が大陸の戦地に赴くに際してロンドンの都市と王妃グネヴィアを甥のモルドレッドに託す。ところが、この甥は彼女を誘惑し結婚を迫り、王であると宣言する。 さて、王妃はどう反応したか。 王妃はこれを唾棄してロンドン塔に立て篭もるのだ。 ハムレットより古い時代。騎士は騎士らしく勇敢で、名誉と高貴な女性に生命を賭して駆け抜けた。 歌になり誉れとなった伝統も失われた当節に、ハムレットはいう。 「二千人の命と二万ダカットでもこの藁しべほどの問題に決着をつけられまい。これはありあまる富と平和が生んだ腫瘍だ。内部で膨れ上がり、外からは原因がわからぬまま、死にいたる。」 「乳を吸う前に、乳房に敬礼をしたたぐいだ。退廃した我らの世が猫かわいがりする、あんなやからを大勢知っている。流行の言葉使いとうわべの社交術に長けている。泡のような連中だ。世故に長けためざとい連中の間をはったりでくぐりぬけるが、試しに一吹きするとーー泡と消える。」 「おお、神よ、ホレイショー、このまま真実が伝えられぬならどんな汚名を残すことになるか!きみがいつもわたしを大事に思ってくれていたのなら天国への旅立ちの至福をしばし遅らせ、この厳しい世で、辛いだろうが、きみの言葉で私の物語を伝えてくれ。」 今現在のどこかの国の政治諸々の堕落に、真の歴史的考察を与えよとする学術、公文書を黒く糊塗する権力のやりたい放題への、ハムレット否、シェイクスピアの遺言か。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.11.06 08:03:38
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