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2023.10.25
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テーマ:読書(8190)
カテゴリ:本日読了
2023/10/25/水曜日/日中はインディアンサマー




〈DATA〉 早川書房
著者 バーナード・コーンウェル
訳者 泉川紘雄

1990年3月20日  初版印刷
1990年3月20日  初版発行


〈私的読書メーター〉〈懐かしいような馬鹿馬鹿しさと真理の端っこを掴ませる手応えの海洋冒険小説。セーリング好きには応えられないだろうヨット操縦心得満載。フォークランド紛争で負傷したニックは障害を抱えながらも『テンペスト』の魔女名シコラクスをもつ愛艇で海洋に出る夢を諦めない。生来のおぼっちゃまパーソナリティ故の行きがかり、嵐の大西洋でヨットwildtrackをワイルドトラックする羽目に。「世の中を動かしているのは正直さでも正義でも愛でもない」と諭す父のような成功者の側ではなく、艇を動かす風の吹く海で生きる選択の清々しさよ。〉




ハリー・アボット警部補は、いい漢なんだなぁ。

「仕事ってなんだったんだい、ハリー」
彼は質問を無視した。
「サンドイッチをすこし持ってきた。それに新聞は置いてくよ。嘘ばっかし書いてあるが、漫画くらいは楽しめるだろう」

新聞の記事はといえば(←1982年のフォークランド紛争から1.2年ほど後の設定?因みにこの本が日本で出版された1990年、英国とアルゼンチンの国交は再会されたが、本年3月ニューデリーでの20カ国サミットでは再び島の領有権の交渉がテーブルに載ったという)

「北アイルランドではひとりの男が膝頭を撃ち抜かれ、イラクとイランは砂漠でおたがいに痛めつけ、ロシア人はアフガニスタンで農民を痛めつけ、炭鉱夫はだれかれ見境なく痛めつけている。エイズと呼ばれる病気が、清教徒が千年かかってできなかったことを達成しようとしている。イギリスはまだクリケット一色」

という時代のリアルな新聞報道の最後のゴシップ記事では物語の核が進行している。

すなわちニックの愛する女性アンジェラの結婚

ニックは関わる新聞記者からも闇商売に精出す造船業主人からも大バカ呼ばわりされているある意味愛すべきやっかい者。

フォークランド紛争最中、作戦ミスで敵陣突撃したとき、自分が何と叫んだか、思い出せない。

嵐の中、素人に操縦を任せ、恋敵の命を救おうと隣接させた艇に障害のある身体で乗り込もうとする刹那、自身の口から同じ言葉が飛び出したことに打たれる。

「気違いやろう!気違いやろうだ!」


前者はつまるところ、紛争=戦争時の軍人として、女王陛下の国土を守るという軍事目的が

後者では、恋敵の命を救うよう懇願する愛する女性のためのブルトン騎士精神が発露され?たごく私的な目的が


海を相手の船乗りで神の存在を否定するものはない、と無神論者のアンジェラと会話するヨット内のシーンがある。

極限で、そのアンジェラが祈るのだ。


自然の猛威の中で人間存在のあまりに無力だと知る、そんな経験を海で山で人はもつ。

丘では間も無く運転手のいないタクシーが走るそうだが人間よ、思い上がってはいけない。
一身の力と知恵と心を尽くし生きてみたことがあるだろうか?

そんなふうに、この冒険ミステリーは問いかけもするのだ。

やはりニックはビクトリア女王の愛称をもつ黒猫と今日も海に出ていく。
その名の勲章は刑務所で暮らす父に託して。



警部補はまともな男だった。
日本にもまともな元警部補がいる。
それは希望といえるものだ。





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最終更新日  2023.10.25 14:33:06
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