バスガイドさんと行く西馬音内盆踊りと花輪囃子 ③
2023/08/24/木曜日/最高気温は33度とあるけれど8/18 会場は天候不安で開催もおぼつかない予想があったためか、思ったよりも混雑は少なく地元の方が多い様子に、また雨があがり安堵する。お囃子には四つの曲目、踊りは「音頭」と「がんけ」の二種「音頭」踊りそのものはとても優雅で指先の使い方や反りが美しい。だが、動きの無いうなじと、袖から見える手首、腕が何故か能弁で艶めかしい。宵闇と篝火が踊り手に影を与え、年配男性の声と大太鼓、小太鼓、鼓、鉦、笛、三味線が高い櫓から降りかかるように包む構成も洗練されている。男女同じ振り付けで踊るけれど、それぞれ個性が少しずつ、着物の柄のように表れて二つと同じものがない。彦山頭巾で踊る人、由来は幾つかあるそうだけど、亡者を表すと受け止められているとガイドさんから聞く。生者と亡者が篝火とお囃子に呼び集められてぐるぐる回り踊る様は誠にお盆に相応しい。「がんけ」を踊る男性。この方、実に美しく待っていた。がんけもまたその由来には諸説あるらしい。月光の夜空を飛ぶ雁の姿から「雁形」或いは、現世の悲運を悼み来世の幸せを祈る「願生化生」の踊り、願化踊、亡者踊とも。確かにどこか鳥の舞のような味わいもあり、鳥が運ぶ魂を表すようでもある。そのがんけの甚句の一番始め♬お盆恋しや かがり火恋し まして踊り子 なお恋しうん、どう考えても亡者が三途の川の向こうから生者と盆踊りを懐かしんでいるように聞こえる。それに比較すると、上方の優雅さを思わせる音頭の地口は♬時勢はどうでも 世間はなんでも 踊りこ踊たんせ日本開闢 天の岩戸も 踊りで世が明けたと、打って変わって賑やか、冷やかし茶化しお色気まぶしの、アドリブづくし、なのだ。秋田県羽後町で毎年8/16〜18に開催される西馬音内盆踊りは、日本三大盆踊りの一つという。700年以上前、源親という修行僧が豊作祈願の踊りを広め、400年ほど前に山形城主最上氏に滅ぼされた西馬音内城主小野寺一族を偲び、家臣たちが踊った盆供養の踊りが融合した、と考えられているそうだ。実際に踊りを体験するとその二つの要素が実感される。西馬音内盆踊りは、二つの捻れで円を描く盆踊りだ死者と生者が交差する回廊だ一番前に陣取れる席は3人用で六千円。団扇付き。盆踊り会館の奥で買える。二人なので個別で一人2500円で買える後ろの高い席が良かったのだけど、ツレの主張を飲む。手拭い好きな我ら。一枚千円を二つ買う。この手拭い、私の勧めた個別席の特典に付いてたらしい。えー、席と手拭いで8000円出したよ?5000円で丸く収まったのよ?3,000円ムダ遣いよ?しかし、一方でそれは死者へのスパチャであるかもしれないと考える私がいる。家計など考え始めれば、地上に意識が戻され、すなわち集合時間が近づいて数字に追われる事とあいなりぬ。盆踊りが終わるのは3時頃となるらしいが、バスツアーはそこまで付き合ってはくれない。 お宿は盛岡市のつなぎ温泉、ここは秋田、盛岡は岩手。当地からは1時間半のバスライドなのである。 殆ど眠りこけ、ホテルに着いたのは12時半を過ぎていたが温泉には兎にも角にも浸かる。目が覚める→ビールとカレーパン→盆踊りの終わる時間に律儀に就寝朦朧とする意識に、色とりどりの端縫い、藍染の浴衣、帯、編笠、秋田美人が走馬灯となり、浮かび、寝落ち、する。