「Bring on the Rain…!」雨に唄えば
2022/02/11/金曜日/午後から晴で雪消えるいつ以来だろうか、の舞台ミュージカル。しかも、ザッツミュージカルと呼びたい「雨に唄えば」。ロンドンからアダム・クーパーのカンパニーがシアターオーブへやって来て、雪を雨に変えてしまった。↑本日はマチネーで、夜の部はクーパーのトークもあったけど残念ながらそのことを知らず、お昼の舞台を観た。右上、分かりづらいけれど前5列くらいはレインコート席。雨がざんぶり降る舞台、オーケストラは何処に⁉︎それは中休みにちゃんと分かるけど、でもオーケストラも前後動く仕組み?不思議が残る。↑撮影可能タイムの様子アダム・クーパー扮する大スター、ドンの雰囲気はクーパーにピッタリで不可分なくらい。気品と育ちの良さが身体、身振り、歌声に反映される。役の台詞「ディグニティ」が明朗さ軽やかさと共にある。こういう姿は日本の役者では中々得られない、文化様式の違いに近いと感じる。駆け出し女優キャシー役のシャーロットもほんと素晴らしかった。踊りも声も容貌も役どころにピッタリ。他のステージも見てみたい。例えばメリー・ポピンズやサウンドオブミュージックなど。ひょっとしてシカゴなんかもいけそう。大女優のコミカルでどこか憎めない可愛らしさ満載リナ役を演じたジェニーの、本当の生声もどんなのかしら?素晴らしいコメディエンヌ振りで笑いを誘う。あと、強く印象に残ったのは↑右下2番手、3番手の役で歌った彼、名前が分からぬ。何しろ、パンフレットは写真集の体裁で、公演が可能かどうか、ぎりぎりの所で作った様子。クーパーのインタビューと舞台写真のみ、なのだ。そのパンフレットに昨夏、ロンドンで一年半ぶりに舞台が戻り、この演目の千秋楽カーテンコールの様子を舞台奥の指揮者が撮影した一枚が掲載されている。観客と役者の歓喜、舞台との一体感が見事に伝わる。Show must go on, and done!観劇中は四六時中、コロナ下のマナーを喚起されるのでついつい椅子に沈み込む私たちがいる。演じる側だけでなく観る側も加わって舞台は出来上がるのだから何となく煮え切らない。今日のステージは舞台の熱の方が遥かに高い。その日集った観客の個性でもパフォーマンスは毎回変化する。あの写真のような溶け合う一体感の一期一会こそ舞台の、フェイクの真実だと思う。それこそ考えられる限りの準備、細心の注意を払っても実現できない事もあった舞台が、奇跡のように持たれ、そこに居合わせる喜びにもう少し寛容であっても良いのでは。余計なお喋りは論外だけども、感動に足枷はできない。