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カテゴリ:戯言
最近何かと聞くのが、どうやら野球ファンの女性が巷に急増中なんだとか。 中でも俗に言う『カープ女子』なる広島カープのファンの女性達が熱いとか。 俺の中でのイメージでは、野球ってどちらかというと球場でも茶の間のテレビでも男が一方的に一人で熱くなるスポーツだと思ってたわけ。 もう30年近く阪神タイガースファンをやってるオレなんか、ハッキリ行って今まで一人も「阪神ファンなんです」という女子に会った事が無い。 それが何で今、野球なんだろう?女子が熱くなりそうなスポーツは他にもたくさんありそうなのに。 まぁサッカーとかは女性サポーターの姿がよく見られるよね。でも、それに比べれば野球はやっぱりどちらかというと男のスポーツに見られがちなのに。 色々見てみると、やっぱり球団側のファンサービスや集客努力の賜物だろうという結論に至る。 少なくとも広島カープの場合はね。 広島カープの場合、以前は『広島ファン』を名乗る人の8割以上は地元の広島出身者で構成されてた。 地元以外で広島を応援するファンというのは、かなりマイナーでコアな存在だ。 そもそも広島カープ自体、資金や経営面では決して潤沢な資金があるわけではない…というより、むしろハッキリ言えば貧乏球団だ。 12球団における平均年俸でも上位の阪神や巨人の半分以下でぶっちぎりの最下位。総額でも半分以下の最下位。 金が無いので他球団からのFA移籍も少なければ金銭トレード補強も少ない、FAに関しては過去一人も獲得したことがない。 そもそもFA自体、選手が今よりも高い年俸や契約条件を求めて宣言するものなので、資金の打ち合いになるのを嫌がるからだろう。 12球団の中で、市民からの寄付で球場建設資金のうちの数億円を賄ったチームなんてカープくらいのもんだ。 それでも名選手を数多く輩出し、しかし年俸に限度があるので他球団への移籍やメジャーに有力な選手を放出しながら若手を育て続けて戦ってきてる。 金さえあれば有力な主力選手を放出する羽目にならずに済むし、成績出した選手に報いてやる事もできる。 その為に球団はあの手この手で観客動員数を増やす努力をしてきたんだろう。 随分前、甲子園での阪神戦で甲子園のレフトスタンドのビジター席が真っ赤に染まった事があった。 甲子園と言えば阪神タイガースの聖地であり、タイガース戦がある日は、ビジター席の一角くらいは敵チームの色になるが、その他大半は真っ黄色に染まるのが定番だ。 ふと夜の野球ニュースで阪神戦を見たときに「3塁側スタンドすげー赤いな」と思った記憶がある。 カープファンが甲子園に押し寄せたからだそうだが。 カープにはオレも昔から好きな選手は多い。去年引退した孤高の天才こと前田であり、阪神に移籍してきた金本もそうだ。古くは緒方とかも好きだった。 元から魅力はある球団なのだ。しかも他球団からの補強じゃなく大半の選手は広島生え抜きでもあるし、地元のファンが思い入れ深くなるのも自然なので、それゆえに広島カープは昔から地元に土着した市民球団だった。 それが最近じゃ広島近隣どころか、関東にもカープのファンが増えてるそうで、しかも女性が多い。 12球団のファンクラブの男女比を見ても、阪神なんか女性会員は2割ちょいしかいないのに、広島は半数近くが女性のファンクラブ会員で占められる。 ちなみにファンクラブの男女比で一番女子が少ないのは巨人と阪神だそうな。 …これが何を意味するか?ちょっと野球好きな野球ファンなら察しが付くだろう。 この女性ファンの数は、おそらく球団のファンサービス意識と観客獲得の努力に比例してるとオレは思う。 巨人や阪神は誰が見ても人気球団だ。 巨人はどうか知らないが、阪神の経営サイド、フロント陣はお世辞にもファンサービス意識が高いとは言えない。 それは一言で言えば「黙ってたって客は入る」という驕りが出るからだ。 巨人だって一昔前はドームで試合やるたびに球場は満員になった。 別に努力する必要なんかなかったんだな。 それに巨人や阪神は親会社の資金も豊富だし、観客動員以外の収入源も豊富だ。 それに比べて広島はハッキリ言ってしまえば本拠地のマツダスタジアムの観客のチケット収入とグッズの売り上げが生命線だ。 だから球場に客を呼びたい。 カープは最近、ファンサービスの一環で関東のカープファンの女性を対象に往復の新幹線代を球場負担で払う観戦ツアーを企画したそうな。 まぁ意図はわかる。いくら関東でカープのファンが増えて東京ドームや横浜スタジアム等の関東の球場に観戦に行っても、広島の収入には繋がらないので、できれば広島まで来てマツダスタジアムで金を落として欲しいという事だろう。 なかなか太っ腹で思い切った企画をするもんだ。しかし同時に女性の熱中癖の上手い部分を突いてる気はするなと。 まぁね、長年の野球ファンから見れば広島カープが女性に選ばれる理由は、さもありなんというか、よくわかる気はする。 まず強すぎず、弱くも無いという地位。「常勝球団」という響きに憧れるのは男性だけで、女性はそこにそれほどこだわりも無い。 そして、優秀なベテランや有力選手が他球団に持っていかれるせいで、若手を使わざるをえない台所事情が、逆に女性ファンを呼ぶ要因でもある。 決して強くも無く、若い選手が貰ったチャンスをモノにするために全力でプレーする。女性の母性を刺激する要素としては充分だろう。 この流れに対して古いオジサンの野球ファン達からの苦言も聞かれる。 「野球じゃなくて選手を見に来てる」「そもそもルールもよくわかってないじゃないか」「アイドルのライブ会場じゃないぞ」などなど(笑 まぁ、下手すれば年齢的にそろそろこの「古いおじさん野球ファン」に分類されかねないオレから言わせてもらえれば「いいんじゃない?ビール片手に野次とハッパ飛び交う球場じゃ来たくても来れない客層が増えたんだし」とは思うが。 そういや、俺もハタチくらいの頃に、当時付き合ってた女性を西武球場に連れてった事があるんですが、ちょうどオープン戦で阪神vs西武の一戦だったんですね。 もちろん彼女は野球は一切興味なし。単にオレが見たいから一緒について来ただけなのだが、まぁ当然オレは三塁側に座るわけさ。 んで、やはりそこは阪神ファンが陣取る席でして、まぁー野球知らない人から見たらハッキリ言ってガラ悪いように見えるよね。 んで、試合見ながら少しでも楽しめればと所々でオレがルールとか今の状況とか説明するわけ。 まぁ今にして思えば、逆に言ってしまえばオレが全然興味ないジャニーズのライブとかに彼女に連れて行かれたのと同じ状況だろうと思うと彼女には悪い事したなとは思いますが、試合終わって彼女の感想が「5番の選手カッコ良かった」でした。 当時の阪神の5番と言えば新庄剛志。それ見て「顔しか見てないやんけ!」なんて思いましたが、まぁ無理も無い。野球に興味はないんだから。 でも、その後、しばらくして部屋で野球を一緒にテレビで見てたら丁度そこに新庄が出てきて「あ、5番だ!」と反応した彼女を見て「あぁ、野球はともかく、5番は気になるんだな」と(笑) 別にキッカケなんて何でもいいと思うわけ。 この前のニワカファンの記事でも似たような事言った気がするけど、ルール知らなきゃ見るな。選手じゃなく試合を見ろ。なんて堅苦しい事言ってたらファンなんか増えないぜ? 最初は誰だってニワカファンから始まるんじゃなかろうか? 野球のテレビ中継が激減してファンが離れつつある昨今。野球ファンのオレから言わせてもらえれば、別に顔目当てだろうがニワカだろうが、ファンが増えてくれなきゃ競技としても衰退するだけだろう。 そういう意味でカープの経営努力は他の球団も見習うべきではあるというか、むしろテレビ放映がなくなった昨今じゃモデルケースにすらなりえるとは思うんだけどね。 カープ女子は一人でも球場に応援に行くんだそうな。 そこで同じファンの子達と女子会やったり情報交換もするとか、まぁ男とはまた違った野球との接し方だとは思うけれど「グッズとユニフォームでお洒落に可愛く応援したい」と言う女性ファンのインタビューを見て「グッズかってユニ買って球場でチケット買って球団からしたら観客の鑑だな」と思う次第。 オレなんか普段着のままフラッと行って試合開始直後あたりからチケットをダフ屋で買い叩いてユニも買わなきゃグッズも買わないし球場でビールも飲まないで試合だけ静かに見て帰るからね。 スクワット応援とかもやらないし、特に声張り上げて応援するわけでもないし、同行者が居れば軽く会話しながら見るし、一人なら一人で座って静かに野球見て帰るという、球団からしたら「お前何しに来てんだよ」な客ですらある(笑) しかしそんなファンクラブにも入らなければグッズやユニフォームも買わないけれど、俺の阪神愛はもう30年続いてるのだ。 オレみたいな野球ファンは昔は一般的だったはず。 ただ、こんなファンばかりじゃ球団経営が成り立たないから今の時代に即してこんな流れが生まれたんだろうな。 いいと思いますよ?カープ女子。願わくばカープだけじゃなく各球団に似た現象が起きてくれればと思いますが。 やはり流行やブームを作るのは男じゃなく女性のパワーだと思うし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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